カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

知らないことばかり。

2020-02-22 22:22:22 | Weblog

中澤系さんの有名な一首、

3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって/中澤系(『uta0001.txt―中澤系歌集』所収)

を某歌会中に思い出した。いろんな読みようがあると思うが、取り敢えずこの作品から私は、たとえば、多くの参加者からなかなか理解されなくて「わからない」「読めない」という言葉ばかりを口々に言われてしまっているような作品を提出している歌会のような場面での、その作者の「理解できない人はただただ下がって。私の作品はこの駅には停車しない3番線快速電車みたいなものだな。。」という思いを想像する。一首の作り方として、下句が「歌の核」かもしれない。


夢に、若くして脊椎カリエスに罹患し早死にした曾祖父が学生時代の姿で教室で作文を書いている場面が出てきた。不思議なことにすぐにわかった。その曾祖父については、その遺品というものを見たことがない。写真も見たことがない。東京大空襲で家財一切焼けていると聞くからそのせいなのか、結核菌による脊椎カリエスで亡くなった患者の持ち物はすべて死後に焼却しなければならなかったからなのか、よくわからないけれども、この曾祖父のことは知らないことばかり。

 

梅内さんの作品で好きな一首。

パトカーのボンネットには魔女が乗る夜道の先を闇は吸ひこむ/梅内美華子『夏羽』

 

メロディ。
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