用事はいつでもそうなのだが、こちらの処理能力とか都合とかに関係なく一気に流れ込んでくる。元々遅筆気味ではあったが、いまは、先方に伝えたい思いや書き込みたい情報量の多さに半分溺れてしばしば滞留しその度に立ち尽くし天仰ぎ、それでも紙の森に分け入って筆を何とか進めている、そんな書きかけの手紙をいくつか抱えている。
今朝のラジオは、ニコラ・ベネデッティの弾くブルッフ作曲『スコットランド幻想曲』。ひたすら懐かしくて美しい曲想が心の琴線に触れてくる。日頃の心の澱りがさっぱり洗われすっきり払われていく心地良さを覚えつつ、明るんだ窓辺の机前に座り、長い停滞、滞留の後にいま漸く走り始めたペンを握り紙に向かうのだ。それは、これまで何度も筆を執ろうとしたけれども叶わなかった手紙。まずは感謝の思いから綴っていく。