自分の師匠の葬式に集まるひとびとの賑わいを見て、死がひとつの季節を開いたかのようだったと書いたのは堀辰雄。私も、昨夏父が亡くなって、そのあと、恰ももうひとつの季節が開いたかのような感じを受けているのはたしかだ。父が生前親しく年賀状やりとりをさせて頂いていた方々に母が父生前のご厚情への感謝御礼を込めた葉書を書いた。その宛名のおひとりに、そのお名前とご住所からわかってびっくりしたことだけれども、私の入っている短歌会の古い会員のSさんがいらっしゃった。父とは父の教員生活最初の私立中高立ち上げ時代にSさんのお子さんを通じ、以来50年余り親しくさせて頂いたようだ。情けないことに、父からそのことを私は聞いていなかったので、だいぶ前の歌会でSさんにお会いしたとき、きちんとご挨拶ができなかった。こんどお会いする機会があったら、きちんとご挨拶したいと思っている。
昨夕、しごとから帰ると、郵便受けに非常に分厚い歌誌『塔』4月号が届いていました。400頁というボリュームの創刊60周年記念号です。ゲロルシュタイナーをちびちび飲みながらあたまから頁を繰り出し始めると、インタビュー記事も短文記事も評論もその内容の面白さにすっかりはまって手放せなくなりました。夢中で読みなからふと気付くともう日付変更。まったく、ありゃりゃりゃ、です。明朝はまたしごとが早いので、早々に休むことにします。