カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

最近の村上春樹氏の文学作品への評価動向

2006-09-29 13:15:30 | Weblog
 メモです。

 最近の村上春樹氏の文学作品への評価動向に関して。

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本と映画と政治の批評「世に倦む日日」(旧・ブログ)by thessalonikeさん
http://critic.exblog.jp/

〔村上春樹『アフターダーク』(8)- 神よ、天空から降りて人になれ〕
http://critic.exblog.jp/473235

(以下、引用させて頂きます)


 村上春樹には早くノーベル文学賞を取らせたい。現在、最有力候補の位置にあるのは確実で、いつ受賞してもおかしくないし、五年以内には間違いなく賞を受けているだろう。人には常にアクシデントがある。思いも寄らぬ病気もある。取れるものはなるべく早く取っておいた方がいいのだ。神である村上春樹に地上で残された最後の関心はそれしかあるまい。また、ここ十年ほどの村上春樹の行動を見ても、最終ゴールである賞取りのために着々と布石を打っているように傍からは見える。外国で売ろうとしているし、外国で評価を得ようと努めてきた。無論、それでいい。日本国内だけで売れる作家ではノーベル賞は貰えない。まず欧州、そして北米、それから中韓で読者を掴み、評価を確固たるものにする必要がある。作品の質として、村上春樹ほど「世界の文学」たるに相応しく、ノーベル賞に相応しい作家は他にない。と思うのだ。
 さらにできればもう一つ欲しいものがある。無理に必要ないかも知れないが、何かと言うと、もう少し別な面からのアクセントと言うかインパクトである。村上春樹について、単に作品に対する評価だけでなく、人物についての話題や評判がもう少しあってもいいのではないかと思われる。簡単に言えば、知識人としての村上春樹の人間像が浮かび上がっていた方がいいのではないかと思うのだ。例えば大江健三郎は、その点では明確に知識人としての人間像を確立させていた。大江健三郎の作品を読んだことのない人間でも大江健三郎が立派な知識人であることは知っていたし、どのような思想の持ち主かは了解していた。そのことは欧州や米国においても情報として広範に知られていただろうし、大江健三郎の思想や行動は欧米の知識人の世界で好感を持って受け止められていただろうと思われる。そういうことが少しあってもいいのではないか。特に米国(での評価)を考えたとき、これは想像だが、米国で村上春樹を読んだことのある読者は稀で一握りだろうし、名前を知っている者もごく僅かだろう。村上春樹について多少は人間像のイメージが入っていた方が有利であるように思われる。で、早い話、何を言いたいかと言うと、突然で恐縮だが、村上春樹には「憲法9条の会」に入って発言をしてもらいたい。そろそろ、そういう評論活動を起こしてもらいたいのである。文学的意欲が旺盛な村上春樹にはまだまだやりたいことがあるだろう。実験もやりたいだろう。若い日本の読者の心も掴んでみたいだろう。それはそれで結構だが、やはり知識人としての自己を完成するという方向にも関心を持って欲しいのだ。世界の知識人が「彼なら当然」と太鼓判を押して祝福するような作家であり受賞であって欲しいと思う。つまり私は村上春樹に対して、天空の神として超越的にあり続けるのではなく、そろそろ人になって俗界に降りてきたらどうだと勧めているのだ。そして現在の日本で、本格的に知識人らしい知識人になれるカリスマは村上春樹以外にいない。日本人の大多数に決定的な精神的影響力を持ち、世界に向けて言葉を発信できるのは、村上春樹以外に一人もいない。他にはもう一人の人物もいないのだ。村上春樹も55歳。司馬遼太郎が小説の筆を折って『この国のかたち』などの文明批評に精力を集中させるようになったのは、60歳を過ぎた頃で、他界する十年ほど前からだった。司馬遼太郎は「自分は日本とは日本人とは何かを書いてきた」と言い、ただの小説家ではなく、まさに巨大な知識人として自己を完成させて行った。その才能からして自然な成り行きであり、われわれ読者はそれを求め、司馬遼太郎はそれに応えた。
 さて、村上春樹はどうするのか。なんらかのプランを胸に持って受賞後を待っているのだろうか。村上春樹が描いてきたのは現代の世界であり、小説の中には日本の現代とそこに生きる自分が写し取られていた。村上春樹は現代を見ているのであり、時代を押さえている。時代の変化を見事に読み取っている。発言したいことはあるだろう。自分のメッセージが百人百様で解釈されるだけでなく、一つの意味で社会全体に浸透するという契機について何の欲望も持っていないはずはない。発言すべきだ。村上春樹以上の知性は日本に最早なく、村上春樹以上に人を説得できる文章を書ける人間は他にいない。村上春樹以上に素敵な日本語の文章を並べて、読者の心を感動させられる作家は他にいない。司馬遼太郎は人から神になったのだが、村上春樹については神から人になって欲しい。下界に降りてきて、知識人として発言して欲しい。それが私の願いである。(了)


(以上、引用おわります)

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http://www.narinari.com/Nd/2006035750.html

(以下、引用させて頂きます)


〔村上春樹がノーベル文学賞候補? カフカ賞受賞で。〕

Web posted at: 2006/03/24 13:49
Written by コジマさん

 1987年に発表された「ノルウェイの森」以来、執筆する作品がことごとく売れるという、80年代以降最も重要な作家の1人である村上春樹。独特の語り口調で空虚に展開される“村上ワールド”は、日本だけでなく海外でも非常に人気が高い。そんな村上春樹に、ノーベル文学賞受賞の噂が立っているのだ。その理由は、23日にフランツ・カフカ協会により決定されたチェコの文学賞「フランツ・カフカ賞」の受賞にある。
 村上春樹の受賞が決定したフランツ・カフカ賞は、名前の通り、「変身」や教科書にも掲載された「断食芸人」などで有名なチェコの首都プラハ出身の作家フランツ・カフカにちなんだ賞で、民族文化の重要性を喚起することなどに貢献した作家に贈られる。01年創設で、今年で6回目。
 どうしてこの賞がノーベル賞に結び付くのかというと、04年のオーストラリア人作家エルフリーデ・イェリネク(代表作:「ピアニスト」、「したい気分」、「トーテンアウベルク―屍かさなる緑の山野」)、05年の英国人劇作家ハロルド・ピンター(代表作:「昔の日々」、「誰もいない国」、「料理昇降機」)と、同賞を受賞した作家がその年のノーベル文学賞を受賞しているのだ。ちなみに、村上春樹は「海辺のカフカ」で主人公の少年を田村カフカと名付けており、ハロルド・ピンターはカフカに傾倒しているのだそう。
 地元紙は早くも「村上氏は(ノーベル文学賞授賞式が行われる)スウェーデン行きの航空券を手配しなければいけないだろう」(産経新聞より)と報じている。
 もし、村上春樹が受賞することになれば、日本人として13番目の受賞者となる。過去の文学賞受賞者は、68年の川端康成、94年の大江健三郎の2人。大江健三郎が受賞した際は、「飛鳥とは何か」の梅原猛も候補に挙がっていたという話を聞いたことがあるけど、村上春樹には対立候補はいるのだろうか。“W村上”の片割れである村上龍だったりして。
 ぼくはデビュー作「風の歌を聴け」以来、どうも村上春樹の私小説的作風やインテリ語多用が肌に合わないのだけれど、日本だけでなく、世界の読者に認められているのは事実。知名度やセールスの点においては、ノーベル賞にふさわしい作家であるのだ。まあ、もし落選しても「やれやれ。」と取り合わないのだろうけど(笑)。
 フランツ・カフカ賞の授賞式は10月30日にプラハの旧市庁舎で行われるそうで、例年通りであれば同授賞式前にはノーベル文学賞の受賞者が発表されるのだ(昨年は10月13日発表)。ノーベル文学賞の授賞式は、アルフレッド・ノーベルの命日である12月10日に予定されている。賞金は1000万スウェーデンクローナ(約1億5000万円)。カフカ賞の賞金が1万ドル(約120万円)なので、100倍以上(しかも非課税)にもなるのだ。(了)


(以上、引用おわります)

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http://www.janjan.jp/culture/0604/0604102153/1.php

(以下、引用させて頂きます)


〔村上春樹への期待:ノーベル文学賞受賞〕(2006/04/13)

 W村上という言葉があります。村上龍と村上春樹のことですが、僕はこの2人の作家について思うことがあります。
 村上龍の本は、BOOK OFFの100円コーナーにたくさんあるのに、村上春樹の本は100円コーナーにはありまぜん。
 ご存知の方も多いと思いますが、BOOK OFFは日本最大規模の古本屋チェーンで、全国に550をこえる店舗数があります。僕の住む、ここ米国にも進出しています(NYやLAなど)。僕はその常連で、村上春樹の本を100円コーナーでたびたび探しましたが、見つけらませんでした。
 人気作家の本は大量に売れるゆえに、大量に古本屋に持ち込まれるものです。村上春樹の本は村上龍と同じぐらい(かそれ以上)売れているのに、BOOK OFFで見つけることができないのは、村上春樹の本を読者が売らないからなんでしょう。
 つまり、僕の言葉でいうと村上春樹の本は「耐久財としての本」であり、「消費財としての本」ではないということです(西尾邦明『耐久財としての本、消費財としての本』2004)。村上春樹を愛する読者のひとりとして、村上春樹がノーベル文学賞を受ける可能性を少し考えてみたいと思います。

〈世界の村上春樹〉

 そもそも、村上春樹のノーベル文学賞受賞への期待は常に言われてきました。河合隼雄(文化庁長官)を筆頭に、文芸春秋などの雑誌でもそういった旨の批評が何度も取り上げられていたと思います。
 それは、村上春樹の作品がやはり優れているという一言に尽きるのだと思います。高度経済成長を通して豊かになった日本で、精神的な豊かさをどう求める人々が増えていた頃(80年代)、「やれやれ」という言葉に示されるような喪失感から見渡した世界観が多くの読者に指示されたわけです。
 空虚、退屈、平凡そういった日常をどう見渡せばいいのか、村上春樹はその価値観を提供したといえます。ストーリー自体がドラマティックでなくても、飽きることなくその世界観に読者は浸るわけです。
 その村上春樹の世界観が実は、日本だけではなく世界中の「喪失感をもつ」現代人の間でヒットしているのです。物質的に豊かな先進国はもちろん、東アジア、南米、東欧などの中産階級の人々からも支持されミリオンヒットです。
 たとえば、中産階級が急速に増えている中国では、『ノルウェイの森』が100万冊売れているそうです(2004年の読売新聞報道による)。僕の住む、ここミズーリ州でも、HARUKIを読んだことがある学生に何人も会っています。
 また、米AmazonでHaruki Murakamiで検索すると80件近くヒットします(Ryu Murakamiだと22件です)。80件のヒットのなかには、村上春樹の作品ばかりでなく、彼の作品を研究した本が含まれています。村上春樹は世界で、最も研究されているアジアの現代の作家のように思います。

〈ノーベル文学賞の特徴〉

 村上春樹の作品が耐久財としての本であり、現代的であり、そして日本のみならず世界でヒットし、研究されているというのが、僕の思う、彼がノーベル賞を受けてしかるべき最大の理由です。加えて、ノーベル文学賞の性格からも近い将来、村上春樹がノーベル賞を受けるのではないか、と僕は考えています。
 ノーベル文学賞を受けた日本人は、これまで2人います。1968年の川端康成、1994年の大江健三郎です。川端は69歳で、大江は59歳で受けています。50歳代後半から70歳代前半に受賞者が集中していることを考えると、村上春樹が現在58歳で適齢だといえます。
 また、ノーベル文学賞は他のノーベル賞と違い地域持ち回り制という特徴があります。欧米だけに集中しないように、アフリカや南米、アジアからも選出されるのが普通です。過去5年の受賞者が欧米、アフリカからなので、そろそろ南米かアジアから選出される可能性が高いのです。アジアからだとすると、村上春樹はかなり有力です。
 ノーベル文学賞の候補はスウェーデン学士院や過去の受賞者に加え、各国のペンクラブの会長からの推薦によって決まります。実は昨年、ニューヨークタイムズの「05年、本ベスト10冊」に『海辺のカフカ』が選ばれています。さらに先月大きく報道されたたように村上春樹は今年、「フランツ・カフカ賞」を受けることになりました。最近の世界的な評価が文学賞候補への推薦に結びつくと考えられます。
 BOOK OFFの100円コーナーで買うことはできませんが、きっと200円ぐらいで文庫版は売っているはずです。まだ読んでいない方は『ノルウェイの森』あたりを時間があるときに、薫風の下ベンチで読んでみるのもいいかもしれません。5月病にもってこいの作品ですし、仮にノーベル賞を近く受けるとしたらその前に読んでいたらかっこよくないですか?
 ちなみに「フランツ・カフカ賞」の04年、05年の受賞者は同じ年にノーベル文学賞も受けています。

(筆者:西尾邦明氏)


(以上、引用おわります)

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〔村上春樹氏もノーベル賞「候補」に〕
http://www.nikkansports.com/entertainment/f-et-tp0-20060927-95941.html

 世界最大規模のブックメーカー(賭け屋)、英ラドブロークスのストックホルム事務所は26日、10月発表のノーベル文学賞受賞者を予想するオッズ(賭け率)を公表、日本の作家、村上春樹氏を34倍とし、18番目に名前を挙げた。
 「1番人気」はトルコの作家オルハン・パムク氏の4倍。レバノン在住のシリア人の詩人アドニス氏、ポーランドのジャーナリスト、リシャルド・カプシチンスキ氏、米国の女性作家ジョイス・キャロル・オーツ氏が続き、この4人が10倍以下の有力候補。
 同社は昨年、受賞者となった英国の劇作家ハロルド・ピンター氏に21倍をつけていた。
 村上氏は今年、フランツ・カフカ賞(チェコ)を受賞。04年、05年の同賞受賞者がいずれもその年にノーベル文学賞を受賞したこともあり、注目が集まっている。

[2006年9月27日9時56分更新 日刊スポーツ新聞記事]
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