カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

ゲド戦記、アニメーション映画化(新聞記事メモ)

2005-12-15 13:20:55 | Weblog
《ジブリの新作は「ゲド戦記」 宮崎駿さんの長男が監督》
(2005年12月13日14時18分朝日新聞記事)


↑画像(朝日新聞記事):「ゲド戦記」ポスター原画。下絵は宮崎吾朗監督


 「となりのトトロ」や「ハウルの動く城」などを製作してきたスタジオジブリが、宮崎駿監督(64)の長男吾朗さん(38)を監督に起用し、米ファンタジーの名作「ゲド戦記」を長編アニメ化する。13日、東宝が発表した。すでに製作に入っており、公開は来年7月の予定。

 吾朗さんは「三鷹の森ジブリ美術館」(東京都三鷹市)の館長を01年10月の開館時から今年6月まで務めていたが、アニメ製作に携わるのは初めて。

 「ゲド戦記」は米国の女性作家アーシュラ・K・ル=グウィンが、大魔法使いゲドを主人公に68年から始めたシリーズ。岩波書店から全6巻が翻訳出版されている。映画は第3巻を基に、災いに覆われた世界を救おうとするゲドと、彼と共に旅する王子の成長を描く

http://www.asahi.com/culture/update/1213/014.html 

                ☆

《ジブリ新作「ゲド戦記」来夏公開、宮崎吾朗氏初監督》
(2005年12月13日19時8分 読売新聞)

 東宝は13日、スタジオジブリの新作「ゲド戦記」を、来年7月に公開すると発表した。

 監督は、「ハウルの動く城」などを手掛けてきた宮崎駿監督(64)の長男で、東京の「三鷹の森ジブリ美術館」前館長の吾朗氏(38)が務める。

 建設コンサルタントとして都市緑化などの計画、設計に携わってきた同氏がアニメ制作にかかわるのは初めてで、既に自筆の絵コンテを完成させている。

 「ゲド戦記」は、米国の女性作家、ル・グウィンさんのファンタジー小説が原作。竜が空を舞う架空の世界を舞台に、大賢人ゲドと王子アレンの旅を描く。

 長男の監督就任に宮崎駿監督は当初、猛反対したという。吾朗氏は「父と同じ土俵に上がれば比較されるのは当然で、これまで意識的に避けてきた。しかし、アニメーションへの強い思いを抑えられなくなった」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20051213i511.htm

                ☆

セブンアンドワイ - スタジオジブリ - 宮崎吾朗さんインタビュー
http://www.7andy.jp/esb/docs/sp/ghibli/ghibli_interview_miyazaki01.html

宮崎吾朗(みやざきごろう)さん
1967年、東京生まれ。
信州大学森林工学科卒業後、 建設コンサルタントとして公園緑地や都市緑化などの計画、設計に従事。その後’98 年より三鷹の森ジブリ美術館の総合デザインを手がけ、’01年より’05年6月まで同美術館の館長をつとめる。2004年度芸術選奨文部科学大臣新人賞芸術振興部門を受賞。

――先頃リリースされたDVD『宮崎駿とジブリ美術館』ですが、そもそもこの企画はどうしてスタートしたんでしょうか?

宮崎 たとえば映画は完成すると、そのままの形でソフト化され、ずっと完成時の姿で見られますよね? それに対して美術館という施設は時間が経つにつれてどんどん変化していくものなんです。するとやがては建設した当初のことがわからなくなってしまうこともありえるわけで。だからジブリ美術館の当初の状態を記録し、そもそもどういう考えで建てたのかという部分を何らかの形で残しておきたいという考えは、オープン当初から持っていたんです。それがこのDVDの企画の発端ですね。

――施設の紹介をするDVDだと、もっと各展示にフォーカスした、プロモーションビデオ的内容にするのがオーソドックスだと思います。ですが、このDVDはあえてそういう作り方をしていません。

宮崎 そうなんですよ。意識したのは、NHKの番組――『新日曜美術館』や『NHKスペシャル』なんです。

――ナレーションを加賀美幸子さんが担当されているのは、そういう狙いがあったわけですね

宮崎 ジブリ美術館にとって最大の展示物は何かといった時、それは結局、建物そのものなんです。だからDVDで一番記録したかったのも、その建物がどういう考えに基づいて立案され建設されたか、という部分になります。そこにあるのは「ジブリ美術館の建物の魅力はどこから生まれるか」という疑問を解き明かしていくタイプのおもしろさです。それを伝えるのには「いろいろたのしいものがありますよ」的にプロモーションビデオの作り方をしたのでは伝わらないんですね。もっとアカデミックにアプローチをしないと。

――そのアプローチの案内役が、宮崎駿監督とともにアニメーション史に残る作品を作り続けてきた高畑勲監督です。これはどういう狙いがあったのでしょう?

宮崎 エンドクレジットを見ていただけるとわかりますが、このDVDの“原作”として高畑監督がジブリ美術館オープン時に書いてくださった「宮崎駿の新しい贈り物」という文章がクレジットされています(ジブリ美術館の図録などに収録)。

――ドキュメンタリーに“原作”ですか?

宮崎 はい。高畑監督のこの文章は、非常に的確な言葉でこの美術館の魅力を伝えるものでした。というのも、僕たち美術館建設スタッフも、高畑監督のこの文章を読んで、初めて自分たちが何を目指してこの建物を造ってきたかを理解することができたんです。ですのでDVD用の映像制作にあたっては、この文章をガイドにして、高畑監督自身に語っていただこうと思ったのです。

――高畑監督はその文章の中で、「まさかそれ(美術館)自体を、贅を尽くした最大の展示物にするつもりだったとはね」「宮さんが目指していたのは、『美術館』という名の心躍る空間作りであり、小宇宙の建設だったんだね」と書かれています。

宮崎 その通りですよね。建設に携わった人間からすると、例のない不思議な建物を造っているという自覚こそあったんですが、建設している最中はそれが何なのかはっきりわかっていなかったんですね。それを高畑監督が言葉にしてくださったおかげで、「ああ、そう! 空間構成の魅力そのものが、この建物を最大の展示物にしているんだ」ということをちゃんと理解することができたのです。

――DVDの中のジブリ美術館は館内に差し込むさまざまな光がひときわ印象的でした。

宮崎 光によって空間そのものが変わりますからね。昼間のジブリ美術館と夜のジブリ美術館ではまったくその表情は変わります。あと建物そのものが、影の部分が多いのも、光が印象的な理由だと思います。今は美術館を筆頭に、あらゆる建物が、影を消してしまおうとしています。美術館の展示室を「ホワイトキューブ」(白い立方体)と表現するのはその典型ですよね。その中にあって、ジブリ美術館は影の部分も大切にした建物になっています。

――DVDの中で高畑監督は、ジブリ美術館の好きな場所の一つとして、ホールにある「くぐりくぐり」(階段下の小さな空間に扉などがついた、くぐって遊べる不思議なスペース)を挙げています。

宮崎 あの高畑監督が「ここが好きなんですよ」という場面などは、まさに映像でないと伝わらない魅力がある場面です。高畑監督がちょっと照れながらも、体をかがめてくぐろうとするその雰囲気が伝わってきます。ほかにもやはり空間を描くには、カメラがリアルタイムで動いたほうがわかりやすいわけで、そういう部分は動く映像ならではの内容になっています。

――高畑監督が、ジブリ美術館の本質をずばり掴むことができたのは、やはり宮崎監督と長年仕事を共にしてきたからでしょうか?

宮崎 それはそうです。宮崎監督は『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』で、高畑監督の下、場面設定・画面構成という、いわば世界を作る役割を果たしていました。この経験が、後に監督になった時に大いに役立っています。

――DVDの中では、ジブリ美術館の構成と宮崎作品の共通点も紹介されています。

宮崎 例えば、空間構成の仕方ですね。宮崎作品では建物の低いところから入って、物語の盛り上がりと共に高いところへと昇っていく。これはジブリ美術館が地下1階からスタートして次第に上に昇っていく構造とそっくりです。また、魅力的なディテールを積み重ねて全体を構築していくという作り方も共通しています。つまりジブリ美術館というのは、もう一つの宮崎作品なんです。ですから、ジブリ美術館がどうして生まれたのかを知ろうとすれば、それは自動的に宮崎作品のおもしろさの秘密を知ることとイコールなんです。ですからこのDVDの見所の一つは、ジブリ美術館を通じて、宮崎作品の原点が確認できるところであり、それを苦楽をともにしてきた高畑監督が語っているというところにあります。むしろ、実はそこが一番のテーマといってもいいでしょう。DVDのタイトルに「宮崎駿と~」と入っているのは、そういう意味も込められています。

――宮崎作品の原風景、という意味でジブリ美術館のデザインにも影響を与えたと思しき、ヨーロッパ各地へも取材を行っています。

宮崎 '04年9月15日から4泊6日のスケジュールで、イタリア山岳都市とジェノバを訪れ撮影を行ってきました。その映像もDVDの中に収録されています。山岳都市は、『紅の豚』のロケハン旅行で宮崎監督が鈴木敏夫プロデューサーらと訪れたところです。またジェノバは『母をたずねて三千里』の冒頭の舞台で、やはり高畑監督らとともにロケハンに訪れた場所です。高畑監督へのインタビューの中で、宮崎監督にとって重要といえるこれらの場所の名前が出たことを踏まえて取材を行いました。それでジェノバへ行ってみて驚いたんですが、非常に正確に描かれていて驚きました。今から30年近く前のことなので、きっと写真なども潤沢に撮影できたとは思えない中、煙突の形や起伏のある街並みなどが非常に正確に描かれているのです。また、DVD本編の中にも出てきますが、現地の人に宮崎監督が当時描いた「マルコの家の設定」を見てもらいました。彼もジェノバの庶民の家がちゃんと描かれていることに驚いていましたね。

――高畑作品や宮崎作品が、リアリティのある世界でドラマを繰り広げられるのは、そういう現実に立脚した世界の厚みがあるからなんですね。

宮崎 そういうことがあるから、ジブリ美術館の建物も、表面だけヨーロッパ風にしたハリボテにはなっていないわけです。つまり、そういうことが実感していただけるDVDを目指したのです。

――一方、映像特典には「宮崎監督の友人インタビュー」と題して、ピクサー・アニメーション・スタジオのジョン・ラセター監督(『トイ・ストーリー』など)や、ロシアのアニメ作家、ユーリー・ノルシュテイン(『話の話』など)も登場して、ジブリ美術館の魅力を語っています。この2人とはいわば、アニメーション作家の“東西横綱”なわけで、非常に豪華な顔ぶれです。

宮崎 お二方ともジブリ美術館にいらっしゃる機会があったので、その時に取材させていただきました。ラセターさんは3DCGを駆使したエンターテインメント映画、ノルシュテインさんは切り絵を使ったハンドメイドのアート作品と、つくっている映画は非常に対照的なんですが、ジブリ美術館に関しての感想は非常に近いものがあったのが印象的でした。お二人とも、実物に触れる、能動的に体験することの重要さをジブリ美術館の魅力を絡めて語ってくださったのです。

――DVDを制作されていかがでしたか?

宮崎 僕自身が、改めてジブリ美術館を再発見する機会になりました。ですからこれをご覧になっていただくと、今まで当たり前に見ていた美術館の建物が、もっと違って見えるようになると思います。ジブリ美術館を訪れた後にご覧になられてもいいし、訪れる前に見ていただいてもいいと思います。さらには、このDVDでも紹介した、宮崎作品のイメージの源泉となったヨーロッパ各地へ行かれてもおもしろいでしょう。自分がその場所に立って、空間全体を体験するというのは、何物にも代えることのできないことです。映像だけで満足するのではなく、実物を体験し、それを記憶に留めていく。それこそが、ジブリ美術館を含めた宮崎作品を楽しむということだと思います。

(インタビュー/文 藤津亮太 氏)
©Museo d'Arte Ghibli
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短歌メモ

2005-12-15 07:38:43 | Weblog
短歌メモ。

●渡辺さん あなたの背中に乗っている小人がわたしに手を振っていた 河村壽仁
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