2024.07.15 CNN.co.jp
銃撃犯のトーマス・マシュー・クルックス容疑者
ドナルド・トランプ前大統領がペンシルベニア州で演説中に銃撃されて負傷した事件で、米連邦捜査局(FBI)は14日、銃撃した男をトーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)と断定した。同容疑者は現場でシークレットサービス(大統領警護隊)に射殺された。
事件は13日に同州バトラーの演説会場で発生し、観客1人が死亡、2人が重傷を負った。2人とも容体は安定している。
トランプ氏は耳の上部を撃たれたとSNSに投稿していたが、陣営によれば、それ以外は元気な様子で、当日夜にはニュージャージー州ニューアークに戻った。翌14日には、共和党大会が15日から始まるウィスコンシン州ミルウォーキーにトランプ氏を乗せた航空機が到着。トランプ氏は同地で妻のメラニア氏と合流する。
FBIによると、クルックス容疑者はトランプ氏の演説会場から南へ約56キロの同州ベセルパーク在住で、事件当日は演説会場に近い建物の屋根の上からトランプ氏を銃撃した。この建物は集会警備の対象外だった。
地元メディアなどによると、クルックス容疑者は2022年にベセルパーク高校を卒業。共和党員として有権者登録する一方で、過去には民主党系の団体にも少額の献金をしていた。捜査当局は13日夜、容疑者の自宅を捜索した。
FBIは14日、トランプ氏銃撃はクルックス容疑者の単独行動だったとの見方を示し、携帯電話を解析するなどして事件の背景について捜査を進めていることを明らかにした。
容疑者に関係した思想などは現時点で確認されていないとしながらも、捜査はまだ初期段階にすぎないとFBIは強調。トランプ氏を銃撃する直前の行動については現時点で把握できていないとした。容疑者の家族は捜査に協力しているという。
銃撃に使われたのはAR式のライフル銃で、容疑者の父親が合法的に購入したものだった。容疑者の車からは「不審な装置」が発見され、安全処理を行った上で解析を進めている。
FBIは、暗殺未遂事件として捜査するとともに、国内テロだった可能性についても捜査する方針。一般からの情報提供も募っており、既に2000件以上の情報が寄せられているという。
FBIによると、クルックス容疑者は過去にFBIに接触されたことも、マークされたこともなく、捜査員は動機の見極めに苦慮している。
14日に記者会見したFBIのポール・アバテ副長官は、捜査当局が容疑者の行動やSNSの投稿などを調べているが、これまでのところ脅迫的な内容は見つかっていないと説明した。
最近の通信記録や電話などについても、これまでのところ動機をうかがわせる内容は発見されず、別の人物が関与したり事前に知っていたりした形跡も見つかっていないという。