モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

油絵的通信簿:その参

2010-08-16 07:17:00 | スタッフ講師
どうも幸介です!!本日も月曜&木曜クラスの油絵の講評を行っていきたいと思います。今日ご紹介するのはアトリエ歴のとても長ーい(僕よりも長い)ベテラン生徒の二人!!

20100516

まずは左の作品、宇明香(うめか)の油絵です。とても面倒見の良い、ちいさなお母さんのような彼女。年下の生徒や体験授業に来た低学年の生徒などに積極的に話しかけたり助けたり、そんな優しい姿が好印象です。そんな姿を体験授業の見学やお迎えにきた親御様方が目にして、「こんな優しい先輩がいるなんて、心の温かいクラスなのね!」と皆様に好印象を与えるのに一役買っています(笑)。制作に関してはとーーっても頑固で、ちょっとやそっとでは折れません。壁にぶち当たっても折れません。一昨年の油絵で細かい柄の入った陶器を描いた時も、去年の水差しに入った花を描いた時も、根気で制作していました。そして今年の作品、とてもストーリー性のある作品に仕上がりましたね!!本の上に置かれた手のデッサン模型や後方に位置するバイオリンなど、ちょっと不思議なモチーフの描写が魅力的です。深く鈍い色合いがアンティーク感を出していますね。派手な色合いの作品ではありませんが、背景の藍色やベロア生地の赤い布など、色彩の幅は豊かですね。先述しましたが、彼女はとても面倒見の良い”お母さん”のような面を持っています。言い換えると、そんなに子供っぽくないんです。それがすごく絵に出ていて、子供でも大人でもないようなギリギリのバランス、まとまりが無いようで色んな要素が細い糸でなんとか繋がっているバランスがこの作品からは感じられます。その危うさがこの絵の魅力をいっそう引き立てていると僕は感じましたが、皆様はいかがでしょうか!?まさか小学生の絵でこんな微妙なバランスが出せるなんて…。恐るべしですね。

そして右は樹奈(じゅな)の作品。幼稚園の時からアトリエに通っており気づけばもう高学年の彼女、出来上がった作品からも分かるような気がしますが、とても頭が良いんです。頭が良いというのは、勉強はもちろんなんだけど物事の理解力と整理力に凄く長けているんです。説明も一回きりでマスターするので、制作に「余裕」が出るんです。そしてその余裕で絶対に怠けないのが凄く良い!!!怠けずに精進したプラスアルファがあるので、この作品も完成度が高いですね。アカデミックなモチーフですが、これだけ奥行きのある構図や渋い陰影のなどが難しい場所です。その深みまで上手に描ききっています。花びらの色もただのピンクや赤ではなくて、上手く混色しないと出せない落ち着いた色合いです。花びらだけではなく花瓶やコップ、トレイや床の布まで、色が美しいです。これぞ”美術”ですね!!彼女の場合は描いたら描いただけ作品に重みを出してくれるので、絵の終わらせ時を躊躇してしまうほどでした。「もっと良くなるかも」と教えるのが楽しくなって、ついついアレもコレもと注文を増やしてしまうんですね。注文した後に返ってくる返答も的を得ていて、小学生というよりもひとりの人間と話をしている感じだなぁと、いつも思っています。そして今回の作品は大きな花と金のトレイに乗ったコップなどアールデコ風の女の子チックなモチーフで、彼女はこういった物も好きですが、宇宙や生物などの科学的な物も好きなんです。なので次の作品は是非とも科学的な方向で作品を作って欲しいです。樹奈ちゃんならきっと魅力的な作品が作れるでしょう…!!


という訳でベテラン勢の秀作2点をご紹介いたしましたが、いかがでしょうか。マチエールや色合いも本物の方がいっそう魅力的ですので、ぜひアトリエにてご覧くださいね!
今回で3回目ですが、1回目紹介人数7人、2回目紹介人数4人、3回目紹介人数2人と、明らかにペースが鈍って来ていますね…。夏は忙しすぎて体力も時間も足りなさすぎる!!夏休みのある小学生時代にもどりたいです!!!

田中幸介

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どうやったらこう描けるの?②

2010-08-15 05:18:00 | スタッフ講師
Kayou_4_4

はやしです。
今日の夜、出先から帰る途中新宿駅に降りたのですが、ムシムシしていてサウナのようでした。まだまだ暑い日が続きますが、展覧会に向けて制作頑張りましょうね!
さて月曜日の幸介先生も危惧されてましたが、火曜日も一番少ないクラスながらまだあと10名以上いるので、油絵的通信簿はまだしばらく続きますがみんなの力作を堪能してください!

左:晴香(6年)
今年からミオスに来た、晴香の作品です。入った時の水彩課題で、丁寧な筆致と色使いのうまさを見て、「絵を描くのが好きなんだな」と思ったのを覚えています。私は「好きだから自分が満足する絵を描きたい、上手になりたい」タイプなんですが、彼女もきっとそうなんじゃないかなと思います。(皆そうですか?)
そんな彼女のこの絵はすごく大人びてて、感性が小学生離れしています。白バラの花びらの重なりとボリューム感を陰影で表現できている所にかなりのセンスを感じます。というか、バラに限らず活けてある紫の花瓶や青い瓶の立体感と映りこみの描写に脱帽です!更に良かったと思うのは、敷布の色を鮮やかにしたこと。花や瓶の陰影は色んな色を混ぜて厚みが出ているので後ろの布も同じように取り組むと全体が沈んでいたかもしれません。モチーフより彩度をあげたことで画面の色にリズムが出て華やいだ画面に出来ています。綿花や蓮、葉にもちゃんと絵の具を盛ったり葉脈を追ったりと手を入れているのですが、気合の入った花、花瓶、瓶のモチーフの前では脇役に徹しているのがこの絵の完成度の高さの表れだと思います。次の絵はどんな絵になるのか、本当に楽しみです。
右:優海(4年)
優海はこれだと決めたらガンガン描き進めていくけど、「これ違うかも」と思ったら自分で止まって話を聞いてくれます。きっと火曜日の先生方ともそうやってやりとりして試行錯誤してこの絵に至ったのではないでしょうか。それにしてもこの絵、パワーがすごい。いま彼は四ツ切の画用紙に森を描いていますがどっしりした幹に、画面に這うように木の枝が描かれてあちこちに向いた枝が木の生命力をいっぱいに表しています。この絵を観たらどんな森を彼が描くのか想像していただけるのではないでしょうか。このモチーフを見た時の第一印象は、レトロで郷愁を誘う秋の切ない雰囲気だったのですが彼の絵は夏真っ盛りのような明るい絵で、飾ってあると周りまで明るくなるようです!ドーンと居座る鉢に対して、枝葉が右に上にと踊るように伸びている差が面白いです。右端のポストです。写真では細部が見えないので勿体無いのですが古びたポストの様子をよく観察しています。本来ほぼ同じように劣化した部分の屋根と側面とを色で変化を出している工夫に「よくわかってるなあ~!」と感激しました。鮮やかな鉢植えの植物と渋いポストの色合いのギャップで絵が明るいだけでもないよ、と言っています。鉢や実にも見られる影の表現ですが、特にトランペットの段階的な影が反りを表現できていてばっちりはまっています。すみずみまでよく追いかけたこの作品、この絵一枚で彼の力が見えてきました。ナイスファイト!


自分の指導していない子の絵と言うのは解読が難しいですが、いち鑑賞者として純粋に楽しませてもらえます。4月に各曜日の小学生クラスに通ったので全員会って話しているのですが、絵を観ていると「第一印象はこんな感じだったけど、本当はこんな性格なのかな」とか彼、彼女を思い出しながら想像しています。皆さんも絵の向こうにいる小さい作家たちを想像しながらお楽しみください!<


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かろやかな渋み

2010-08-14 23:30:26 | スタッフ講師
Abosan英保 「ケンブリッジの街並」 水彩

油絵と水彩を交互に描かれている英保さんですが、油絵の枚数が増えるたびに、水彩画の魅力も強くなっていくように感じます。微妙な色の変化や鈍い色のトーンの幅が広がったのは油絵の効果もあるのでは…と感じずにはいられません!
手前の建物の鮮やかな、鈍くなり過ぎない渋さと、遠くの主張しすぎないけれどもきらめく緑色が調和して、美しい作品に仕上がりました。サインは、通りの横断幕にさりげなく描かれていて遊び心とさりげないお洒落さを感じます。隣に描いてある数字は、英保さんがイギリスに旅行に行かれた際に写真を撮られた年月です。もう10年以上前の写真をもとに描いたということになりますね!

実はこの作品は2枚目で、1枚目は途中で余白が潰れて、全体が鈍いイメージになってしまいました。本当はブログには完成作だけを、、、と思っていたのですが、1枚目あってこその2枚目!その変化の過程もご紹介したいなと感じたので、載せることにしました。1枚目も色が渋く、良い下地として出来上がっているので、アクリルなどの不透明な絵具で明るい所を描きおこしていくのも、2枚目の作品とは違う重厚な雰囲気がでて面白いかと思います。

それにしても、2枚同じモチーフ、構図で描かれることは結構な精神力が必要なことです。どうしても、上手くいかなかったりすると、「さっぱり忘れて違うものを描きたい!」と考えてしまいます。(精神衛生上良いことですが!)
2枚チャレンジするということは、そのモチーフ(や構図)に対する情熱、明確な完成イメージが強くなければ出来ることではありません。ましてやこの街並の細かさです・・・!

まさに英保さんの情熱の勝利なのではないでしょうか。


チノ

St330306


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バレーボール?

2010-08-13 23:36:04 | スタッフ講師
Kimuraenobu_2木村 『わたしの絵具箱』 油彩

“ぼくの夏休み”のような小学生並にストレートな題名のセンス。
この作品の完成度とのミスマッチ感に逆に「狙ってる?」と疑いたくもなりますが、どうなのでしょう?
油絵3枚目で、パースの取り方や画面への配置、構図が非常に難しい油絵の具の道具箱をモチーフに選ばれた時は、正直「あぁ、失敗させてしまったらどうしよう?油絵初っぱなから挫折を味わってしまったらもう筆を折ってしまうかもしれない…」とドキドキでした。
絵の制作は当然生徒さんご本人がレシーブ・トス・スパイクを打ちますが、初心者の方の場合、レシーブを受けたら(制作意図を聞いたら)、スパイクを気持ち良く決めて頂く為に、我々スタッフはなるべくいい位置にトスを上げるように心掛けます。
今回木村さんの難しいレシーブを受け、ご本人以上に私が勉強させて頂きました。苦労した結果、予想以上に素晴らしい作品になったと思います。
木村さんのお人柄が出た、優しく温かみのある作風から、まだ新しい画箱にも愛着を感じる事ができる、素晴らしい絵になりました。
この作風にクールな色合い・シャープなタッチをプラスする事を次回の目標にして頂けると、素朴な題名とますますギャップが出て吉! オバラ

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夏休みに

2010-08-12 22:59:10 | スタッフ講師
20100812_2

先日始めて熱中症を体験し、10時間くらい動けなくなってしまった伊藤です。(→週1日吹きガラス制作をしているのですが、1200度の炉がある工房の室温は、温度計の目盛りを振り切るくらいの温度です!)
本当に毎日暑くて普通に生活していても体調を崩してしまいそうですよね。

今週はアトリエは夏休みですが、私はお休みに入ってすぐ、幼児絵画指導の講座を2日間受講してきました。芸術教育研究所が毎年夏に主催しているもので、絵画・造形・おもちゃなどのたくさんの講座が設定され、私は今年で受講3回目です。前回よりステップアップしてかなり内容も濃いので、九州から青森まで全国各地の先生達が集まっていて、いろいろと刺激を受けた2日間でした。

一昨年初めて受講した時には、その当時の幼児クラスではできないであろう発達段階の絵画に私の関心が深まり、即座に親子クラスを開設したい気持ちを小原先生に話した記憶があります。
親子クラスを開設した理由のひとつに、一昨年受講した講座がきっかけになっているのです。

今日の写真は、講座で私が制作した実技課題(2歳~5歳児対象)の作品です。制作したものの約90%は、クレヨンを使った絵画で、残りは絵の具を綿棒につけて描く絵画でした。
幼児の絵画・造形指導の場合、制作内容ももちろんですが、年齢が幼ければ幼いほど導入にかける時間と内容が大事だなぁと感じました。表現につながるものは、遊びや生活に密着していることがほとんどなので、その部分をアトリエではどう楽しく盛り込んでいくか、お休み期間中にちょっと立ち止まって、これからのやり方を考えていきたいなと思います。



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想い出いっぱい

2010-08-11 08:12:00 | スタッフ講師
赤尾です。ミオスはお盆休み中ですが、猛暑を元気に過ごされていますか?
私は夏が大好きですが、今年はあまりに暑くてバテ気味です・・・。皆さんも水分をしっかり取って、熱中症などに気をつけてくださいね!

今日から水曜日クラスの油絵もご紹介して行きます!
水曜クラスらしい、元気いっぱいの油絵が仕上がりました!

Kinshoku_toshi_2
まずは左側、4月からミオスに入会した金埴の作品です。
8月始めから中国へ里帰りするため、7月いっぱいミオスに通いつめて完成させました。
彼は手先が器用で細かい仕事をキッチリこなすタイプです。そのため粗いタッチも味になる油絵課題でどんな絵を描いてくれるだろう・・・とドキドキしていましたが、この見事な塗りの大胆さとお洒落な色使いを観てください!とくにパイナップル、瓶、背景は黄色や青などの同系色をたくさん拾って描くことができています。パイナップルのがさがさした独特の質感を出すため、乾かないうちに絵の具を綿棒やナイフに引っ掛けて取る技法を使ったことで、下地においた青色が効いています。
繊細さと大胆さを兼ね備えた、彼の新たな一面が見ることができました!

右側は和博の作品。
幼児クラスからミオスに通っている元気なムードメーカーです。
おちゃらけているかと思いきや、周りの子たちへの気配りも忘れないジェントルマンでもあります。
また制作に対してとても素直な目線を持っており、講師の話をよく聞き絵を良くする向上心も忘れません。
今回の絵もひまわりの形、明るさ暗さをよーく見て描けており、大人顔負けの目の良さを持っているなと感じました。
よく絵の上手な人は目が良い、と言いますが、和くんもそんな物を観る目が順調に育っているようです!


Manasuguru_2

左は愛美の作品。いつも同学年の女の子たちと同時進行で絵を描いていますが、今回最後まで構図にこだわって、一人仕上げまで持って行くことができました。
お手玉や毬を自分なりの解釈で描けており、和くんと同じく物をよく見る力が備わっていることを感じます。
どう表現したらモチーフを自分の納得行くように描けるか・・・これは大人でも日々悩むところですが、愛美はその部分に強くこだわり、ひとつひとつのモチーフをどう表現するかにこだわり抜きました。
そのお陰で奇を衒わない素直な目線が観る人の心に響くような、良い油絵が完成しましたね!
以前講師達と出身科ごとにデッサンではどこにこだわるかについて討論したことがありましたが、「日本画はモチーフに愛情を抱かなければならない」と話したら日本画以外の講師から「ええ~?!」とびっくりされたことがありますが、愛美の絵を観ていると、そんな好奇心や愛情を持ってモチーフを観ることが大切だとお解りいただけるかと思います!彼女はきっと日本画向きじゃないかな・・・とひそかに思っています。
この素直な目線を大切に成長してくださいね!

右は最近火曜日クラスから水曜クラスへ移ってきた駿の作品。
思い立ったら一直線タイプで、いつも黙々と制作に取り組んでおり、その姿には熱い闘志を感じます。
重なった辞書の表現の仕方に葛藤していましたが、最終的に辞書の重さを感じるような絵が完成しました。
フランスパンの焦げ目や粉っぽさを自分なりに工夫しており、実際見て触って描いたたリアリティを感じます。
これは写真を見て描いたら決してできない実感ですよね!

私が初めて油絵を描いたのは高校生の時でしたが、小学生の頃油絵を描くことができていたら、美術館で何気なく観ていた油絵もより深く観賞できたかな・・・と思います。
「絵具がくさい、色がまざる!ライター(絵具の蓋が固まっている時、あぶって溶かす)や筆洗(石油系)を使うのがこわい!!」と初めて触れる大人(?)の画材に難色を示している子もいましたが、いざ制作に入るとモリモリ絵の具を使って取り組む姿を見ることができました。通常油絵を使うのはある程度大人になってからというイメージでしたが決してそんなことはなく、子どもの大胆さや思い切りの良さをうまく引き出す素晴らしい画材なんだな!とミオスで教え始めてから改めて思います。
来週以降もどんどんご紹介して行きますので、ご期待くださいね!

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一人一人がもっているもの

2010-08-10 03:40:00 | スタッフ講師
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火曜学生クラス・水彩画・なつきちゃん(上)・さちこちゃん(左下)・まさとくん(右下)

さとうです。さてさてアトリエもお盆休みに入りましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
今回ご紹介する作品は、火曜日学生クラスで水彩画に取り組んだ3人の生徒さんの作品です。
モチーフは、ざるに乗せたかぼちゃ・とうもろこし・なす・たまねぎ・にんにく、そしてその下にボーダー柄の敷物(オレンジ、赤、黄色、白)でした。 いまにもバーベキューとなりそうな夏にぴったりの野菜たちを描きました。

まず、なつきちゃん(上)の作品。
なつきちゃんは前回油絵に取り組んだ時もそうでしたが、全体の色使いのバランスに本当に魅力的なものがあります。色をぬる段階に入ると、下書きしていた時とは別のスイッチが彼女の中に入ったかのようになるのです。あっという間にその画面になつきちゃんの目で見た野菜が表現されていきます。
おそらく彼女自身は難しく考えての配色ではないと思うのですが、全体がブルーに包まれてその中に紫、黄色、赤で描かれている形の配置が補色としても響き合っているし、私には絶妙に良いものに感じられます。例えば下の黄色に描かれた部分が無かったとしたら寒々しい絵になってしまうし、赤が無いと全体の力強さが無くなりメリハリも弱くなります。つまり、どれも欠かすことのできないバランスで保たれているところに魅力を感じるのです。
それはなつきちゃんが今まで描くことで積み重ねて養ってきたのと同時に、本来持っている感覚に研ぎ澄まされたものを持っているのかもしれませんね。

さちこちゃん(左下)の作品。
彼女の作品もなつきちゃんと同様に色使いの魅力もそうなのですが、一つ一つの物たちが丁寧に描かれそして野菜たちにも性格があるのでないかと想像が膨らむ作品です。さちこちゃんの描いた野菜たちは、まるでおしゃべりしている声が聞こえてくる雰囲気を感じませんか?ナスが「あのね聞いてよ」と言って中央のにんにくは「ふむふむ。」と相談事を取りまとめているようにも見えますし、かぼちゃがどっしりとみんなのことを見守り、玉ねぎがちょっとやんちゃに外にはみだそうとしています。とうもろこしも優しく玉ねぎに何かを促しているのでしょうか。・・・と、ついついこの絵の中に引き込まれて私の勝手な想像が進んでしまいましたが、それだけ何か面白い物語性を感じる作品です。
不思議な世界観を想像させるようにしてしまう力が、この絵の中に秘められています。
例え一人でも相手を自分の描いた絵の中に引き寄せてしまうというのは、描く側の人間としては憧れる感覚ですし、なかなかできることではないですよね。

まさとくん(右下)の作品。
まさとくんはこつこつと誠実に物を見て描き進めていきます。全くリアルに描くというよりはそこにまさとくんの独特の形の捉え方も加わり、見たまま描いていてもそれが思わぬ形として別の物に変化して見えてくる面白さを表現できています。
なんといっても、細密のように細かく描く表現には吸い込まれるものがあります。玉ねぎの繊維やとうもろこしの粒、皮、根っこの毛を描いている姿は、彼はそこに面白さを感じているのだなというのがわかります。
まさとくんは例えばとうもろこしを描くときに、茎の一番下の刈った断面の部分から描き始めていました。まだ真っ白い画面のときにそこだけを描いているのを見て、「あれ?これはどこを描いているんだろう・・?」としばらくは見守っていましたが、時間が経つにつれじわじわと皮が出て実の部分が現れとうもろこしが生まれてきた時は、少し感動してしまいました。
もっと大作の作品の時は構図などのバランスもあるので進め方で声をかけることもありますが、基本的には本人のやり方を押さえてしまうことにならないようにしたいと思っています。

最近つくづく思うのですが、やはり一人一人が持っている見えない力にはこちらが想像できないところまで可能性があり、誰にもそれは止められないし限界を決めることはできないですよね。
そういう見えない力は不安定でなにを頼りにしたらいいかわからない時もありますが、だからこそその「なにか」を信じて描くしかないのかもしれません。・・・と生徒さんを見ていて私も改めて考えている今日この頃です。

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油絵的通信簿:その弐

2010-08-09 03:28:00 | スタッフ講師
どうも幸介です!!先週の僕のブログから始まりました小学生クラスの油画の個人講評、小学生クラスは全部で73人在籍しておりますが、はたして全員の油画を講評するまで講師陣の体力が持つのか!?そんな事が最近気になっております。絵と向き合うのって結構体力使うんですよね。第三者が読むように配慮した文章を書くのも同じように体力使います。アトリエってけっこう力仕事かも?と思っております。では本日も張り切ってまいりましょう!!!

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まず左の作品は萌恵(もえ)の作品。エネルギッシュな花が黄色い背景に映えています。画像では分かりづらいんですが、上部の鳥の色、その周辺のグラデーション、花瓶のレリーフの凹凸に至るまでの色彩のバランスがとても良いです。ど真ん中に位置する花瓶の構図や花びらの色合いが花の生命力をよりいっそう高めていますね!完成した時、本人も僕も興奮して「すごい絵が描けたね!!」と確認しあってしまいました。情熱の人、ゴッホをも思い出させる作品ですね。なんていうか「ひとつの課題」としてではなく、もはや「絵」として素晴らしい完成度です。そんな絵を描いた萌恵ですが、彼女の作業スピードは決して早くありません。しかしいつだって、時間のかかりそうで妥協の無い作品を作ります。この前の仮面の課題でも、ひときわ大きな麦わら帽子を作っていました。作る物が凝っているので、いつも授業では出だしにつまづきがちですが、よくよく考えるとそれは「ただつまづいている」のではなくて「試行錯誤」して前進しようとするが故のつまづきなんだなぁと今回の油絵の完成を見て感じました。一刻も早く持って帰ってお家の人に見せてあげてほしいです。この絵を見て親御さんが「うちの子天才!」と思ったとしても、親バカではないです。

そして右の作品は敬信(けいしん)の作品。どうですかこの絵!!決して大人には描けまい!!!ドクロが真ん中に位置し、左右対称に青いグラスと黒い燭台が…!!言葉でわざわざ説明するのもナンセンスに感じますが、色とモチーフがドクロを中心にどっしりとシンメトリーに構えています。オシャレな構図ですね。正直この構図、僕の作品にアイデアをお借りしたいくらいです。物の描写も、月曜クラス最年少(!!)とは思えない出来映え。彼は瞬発力重視の制作スタイルで、最年少なのに毎回作品の完成が月曜クラスで一番早くて、かつクオリティも高いんです。しかし油絵はすぐには乾きませんので、瞬発力で描くのは不可能です。いつもの瞬発力で「早く描きたい」のを抑えて抑えてモチーフをひとつずつ描いたので、どのモチーフもしっかり力強く描写されています。また、低学年の子の場合は影の認識についての説明が難しく、影には安易に黒などを使ってしまいがちです。しかし彼はドクロの陰影を青い色で部分的に入れています。この微妙な陰影でドクロが単調にならずに、全体をまとめつつ主役としても存在できているんですね!!描いてある物が相乗効果で美しく存在している、不思議な絵です。彼は飲み込みが早いもんだから、僕もついついアレもコレもと新しい事を教えたくなってしまって、授業の後半にはぐったり、なんてこともあったりします。まぁそんなメリハリが彼の良いところなのかもしれませんね。

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そして上記左の絵は一平(いっぺい)の作品。この自転車のモチーフは以前にブログで紹介したとおり、僕のセットしたモチーフですが、この自転車は「一平には何か機能的なモチーフが良いんじゃ無いかなぁ」と思って設置しました。思惑通り描いてくれましたね。しかしどうですかこの出来映え!自転車の車輪やパイプの構造・陰影、その周辺に乱雑に散らばった小物のモチーフの描写も良い味出しています。そして何より良かったのが背景と地面の明るく鮮やかな色彩!!偶然か計画か、無彩色のモチーフの多い場所で描いた絵なので、明るいバックによってそのモチーフの描き込みが引き立っていますね。この色彩感覚は武器ですので、今後も大事にして欲しいです。彼は一見社交的だけれども独断の意思もあって、そして毎回のびのびと制作しています。その性格が絵に出ているのか、彼の描く絵は毎回構図がダイナミックで、かならず画面からモチーフがはみ出てしまいます。今回のこのモチーフも、自転車の全体をここまで入れたのは彼だけですね!墨汁で蟹を描いたときも水彩で動物を描いたときも、だいたい大きく描き始めるので画面に収まりきらないんです。ですがそれが結果的にとても良い。画用紙を渡されるとついついその中に収まるように物を描いてしまいがちですが、彼はそういった変な常識にとらわれる事無く、例えば森の中の風景を絵に描くときなんかまず画面を横断するように数本の太い枝を描き入れたりするんです。これを最初に見たときはビックリしまして、今まで木をそんな風に描き始める人を見た事が無かったので「これはすげぇな。しかも使える!!」と授業後にメモったのを覚えています。今後も彼の与えてくれるインスピレーションに期待です!!

そして本日最後は上記画像の右の咲空(さく)の作品。鷹、トランクの面の陰影、リンゴの立体感、トランクの上の食器&フルーツなどなど、もはや親のような気持ちで見入ってしまいます。彼女は幼児クラスの時からアトリエに通っていますので本当に小さい時から僕も知っていますが、まだまだ幼いと思っていたのにいつのまにかこんな油絵が描けるようになっているだなんて…リンゴの光加減の説明なんかも、説明一回ですぐ理解していました。斜め上から見たトランクの立体感の説明をしたときもそうでした。察するのがとても早いんです。毎週のように授業で会っているせいか、具体的に「成長したなぁ」と意識したことはあまり無いんですが、ふとした時に「あぁ、ここまで出来るようになっていたんだな」としみじみ思ったりします。子供は大人のいない場所で成長するんでしょうか。だいたい子供の成長を感じるのは「成長した瞬間」ではなく「成長した後」だったりしますよね。……話がそれましたが、今回の作品も今までなら「背景はこの色がいいんじゃないかなぁ」とこちらから提案していたものが、今回は「背景の色、モチーフが目立つように色を選びたいんだけど何色がいいんだろう」と、話して考えて決めて制作しました。この背景色、画像では水色一色に見えてしまっているかもしれませんが、実際は淡い水色と鮮やかなセルリアンブルーの2色を使っています。セルリアンブルーがグネグネっとランダムに背景に入っているので、いい具合に空気をかき回してくれています。なので鷹やアンテーィークのトランクなどのちょっと古めかしいモチーフを描いているのに、どこか爽やかで青葉のような印象の絵になっているんですね。そのミスマッチさも素敵です。


……以上、本日紹介させていただきました4人ですが、いずれの作品も大人には決して描けないであろう、今の彼らが今にしか描けない作品となっております。この構図や線の揺らぎの魅力、きっと小学生には分からないだろうな~。個人的にこの4枚は僕が欲しいくらい良い出来ですね。僕は小学生の時に油絵を描かなかったので、彼らが羨ましいです!!

ちなみに僕の担当の月曜木曜クラスの合計は36名!!前回の5人と今回の4人で、残すところあと27人となりました……多いけど頑張ってまいります。

田中幸介

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どうやったらこう描けるの?

2010-08-08 07:13:00 | スタッフ講師
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ハヤシです。
先々週、小学生の夏休みが始まった頃から火曜日の小学生クラスで教えています。夏休みはいつものメンバーがお休みだったり、他の曜日の子が振り替えで来たりといつものクラスの雰囲気とは異なる様子です。みんな夏休みの宿題のポスターや工作にいそしんでいます。ミオスに来るようになって初めて小学生たちの「なつやすみ」に触れて、自分も夏休み中のようでなんだかウキウキしています。
さて、今日は火曜日クラスの油絵のご紹介なのですが、油絵に関しては主に水曜日クラスを担当したので私は製作過程を逐一見ていません!みんなが何に執着しながら描いたのか…美術館に来たお客さんの気持ちで想像しながらご紹介します!

左上:実織(4年)の作品で一番目をひいたのはヤカンの光り、映りこみの美しさです。そして雄々しい葉っぱ!この葉の濃い色で影がついているのは彼女が自分で「影」に気づいているからでしょう。植物がすごく活き活きしていたことを描きたかったからこんなにしっかり描けたんじゃないかな?背景の色にまぎれそうなヤカンですが金属らしい輝きをばっちり描いているので同系色だったことが却って絵を優しい印象にしています。でも葉で締める!ほわっとして大人しそうな彼女ですが、今描いている「トンボ」のポスターのイメージ画を描いているときもはっきりしたいことを決めていたので、油絵でもポスターでもどんな絵にしたいかが彼女の頭の中にしっかり出来てることを知りました。真っ直ぐで「優しい」のと隠し持つ「雄々しい」の共同体が彼女の持ち味だと思いました。
右上:洸生(3年)。真ん中にドーンと大きなランプがあっても「安定した絵」になってないのは、ランプの後ろからニュっと見える植物と背景の荒いタッチ、丁寧に追って描かれた敷布のストライプが画面をリズミカルに演出しているお陰だと思います。油絵ならではのタッチが生きた絵です。沢山絵の具をのせたのに必要な色を選んでスコップのつや、ランプのガラスに当たる光を描き、なんといってもレンガの立体感をキチンと描けたことで奥行きが見えます!コツコツとイメージ通りの色を探しながらのせて描いての積み重ねを繰り返せる素直な彼ならではの油絵になっていると思います。それにしても、うねる茎のバランスの絶妙さがにくいです!
下段:菜々子(6年)。この絵をはじめに見た時、瓶と時計に気合が入ってる!と思ったのですが、よく観ているとあれ、あっちもこっちも気合が入ってない?と感じてきました。多分彼女は一点集中型みたいな節があって、時計を思い切り描くまでは瓶は描かない!という風に進めて行くタイプではないでしょうか。絵は全体をまんべんなく進めて行けるのが理想とは思いますが、彼女くらいモチーフを追えて且つこれだけ陰影を捉えて立体を描けるならそう言う段階的な進め方については頭の端に置いておくくらいでいいと思いました。いつか必要になったら彼女自身がそう切り替えて行けそうです。


予想以上に長くなってしまいました!タイトル通りみんなの絵は魅力が沢山あって、観ていると次々と疑問が浮かびます。
スマートにまとめたいのですがいかんせん欲張ってしまいます。次からはもうちょっと短く、でもしっかり紹介したいと思います。



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空想の動物たち

2010-08-07 00:22:00 | スタッフ講師
Pap_0303左から みなみ 茜 高2 石膏粘土 アクリル着彩

チノです。土曜昼クラスの高校生コンビの作品をご紹介します。動物の図鑑を見ながらアイデアスケッチをし、粘土をつけた後は想い想いの色を塗っていきました!一つひとつをみても綺麗な色ですが、ふたつ並べておくとお互いに影響し合ってより魅力的だと思いませんか?意図した訳でもないのに合うところが2人の仲の良さを表している?!なんて思っちゃいます。

空想の生き物、ということで2人のイメージを聞いてみました。

みなみちゃん「カッシー」
オレンジ色を土台にしてぬっていきました。木の実が大好きなシカさんです。

茜ちゃん「人造狼」
人間に造られた狼。キカイの体になっているーーー


最近脳みそ凝り固まっちゃってきて、空想なんてしてないかも・・・・・・

みなさんならどんな生き物つくりますか?



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起床時間は?

2010-08-06 22:50:34 | スタッフ講師
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水曜午前クラスを増設して10年、果たして生徒さんより前にアトリエに着いていた日が何回あるだろうか…
という話題を毎回披露している“水曜さわやか朝クラス”の皆さんの作品をまた一気にご紹介します。(私が担当するブログが週に1回になってしまったので、まとめてのご紹介で申し訳ありません。)作品をクリックすると大きくご覧になれます。

左上から 加藤 アクリル・ポスターカラー
ご自分でモチーフ棚から選んだガラス製品のみを描きました。(実はリンゴだけは本物でしたが、描き進める内に重苦しくなってきたので最終的にガラスのリンゴに変えました。)このモチーフはわざと教室の真ん中に配置して、朝日を逆光に光を通過させるようセットしました。
アクリルで下塗りをした後、ポスターカラーで時にしっとり、時に荒々しいタッチでガラスの質感に迫りました。午前中の光だからこその背景の色合いもガラスに溶け込み、清々しい空気を感じさせます。クールな同系色ばかりの中の暖色のリンゴは、苦労した甲斐あって画面を引き締める役割を果たしています。

左上真中 小嵜 鉛筆
透明や白い固いものを薄く描いても質感はでません。あっさり描くと、なんとなく雰囲気がいいだけの、なんとなく綺麗に見えるだけの、薄っぺらいデッサンになってしまいます。ですのでこのようなモチーフの場合、固い鉛筆でガリゴリ何度も筆跡を重ね、濃くなってしまったら消し、また描き重ね…と繰り返した上でようやく質感が出始めます。
しかしそんな技はすでに取得された小嵜さん。今回手数を増やさずに質感を表現しました。デッサンでは黒く描くのが通例のリンゴすら白く描いています。これは難易度の高いデッサン。いえ、デッサンというのはもう失礼。美しい鉛筆画ですね。

右上 佐藤 油彩
油彩4枚目の作品です。でも4枚の内の2枚は気に入らず途中でアトリエに捨てて帰りましたので、実質2枚目の油絵です。
大雑っいえ大胆で思い切りがよく、飽きっいえ短期集中型で、常に明確な意思が有り我が道を突き進んで制作する姿勢は、2枚目にして画伯のようです。
毎回どこへ行ってしまうのかハラハラしながら見守っていますが、「手前の花は最後まで我慢しなきゃというのはわかるけど、もういいわよね?今描きたいわ!」と表現できる情熱が、佐藤さんの思う正しい道へと自然と導いてくれています。
頭でっかちに考え過ぎてうまくいかなかったり、失敗を恐れて筆が進まなかったり、なんて苦労はきっと知る由もないでしょう。

左下 土岐 油彩
こちらも油彩2枚目の作品です。1枚目はご自分の車を描かれました。 
土岐さんの油絵は、とにかく絵具を重ねます。盛り上げる訳ではなく、薄くのばした層に何度も違う色味を重ねるので、セロファンを重ねたように響きあいながらどんどん深い色になっていきます。ハガキ2枚分程の小さなキャンバスを、何日も何十時間も掛け乾かしては重ねて塗った油絵具のせいで、猫のしっとりした毛並みや重み、温かさまで表現できました。
「大家さんちの猫だから、このままじゃアパートを追い出される!」と毎回切羽詰って?制作される様子まで楽しませてもらいました!

下真中・右下 奥 油彩
とにかくスピードの速い奥さんは、ご自宅でもドンドン制作してアトリエで仕上げを施されるので、作品をブログに紹介する機会も必然的に多くなります。前回ワンコ2匹をご紹介してからもうすでに2枚ブログに登場。(現在はアトリエで4枚の油絵を同時進行で制作中!)パワフルですね!
母の日に息子さんから贈って頂いたという紫陽花は、もう実物は枯れてしまったそうですが作品の中に残されました。
いつもの奥さんの描いては潰し、また描き起こしという技法を使っているわりにしっとり上品に仕上がっているのは、息子さんからの愛情までも絵に込めたいという思いからかもしれません。真ん中に入ったサインがおしゃれ!
ラストの登り鯉は、「中途半端に時間と絵具が余ってしまったから…」と、紙のボードに20分位でさらっと勢いよく描いた作品です。紙に油絵具を塗ると、顔料が染み込んで油だけが黄色く浮いてきたりするのと、しばらくすると紙が腐るのが難点ですが、「ちょっとの間玄関に飾るくらいならちょうどいいわよー!」とあっけらかん。

以上、さわやか朝クラスのレポートをオバラがお送り致しました。

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これから一直線

2010-08-05 23:26:00 | スタッフ講師
Maonenndo

空飛ぶカボチャの馬車  年長

小学校受験夏期講習が7月末に終了しました。
今年の講習のカリキュラムは、「基本的な人物絵画」の他には、「大空を飛んでいる自分を描く」「卵の殻から産まれた見たこともない生き物を作る」「不思議なメガネ作り」「探検バック&アイテム作り」といった、タイトルを聞いただけでもワクワクしそうな課題です。
ミオスオリジナルカリキュラムは、「楽しく制作して、大好き、得意にする」がモットーです!

夏期講習は終わりましたが、受験クラスはこれからラストスパートに向かって一直線。
受験本番に向けて、毎年夏休み期間から10月末までプライベートレッスンがかなり集中します。頑張った成果がひとりひとり日に日に着実に見えてくるので、大事な時期です。

8月に入ってプライベートレッスンで、素敵な粘土作品が完成したのでご紹介します。
「のりもの」がテーマだったのですが、馬車を作りたいという彼女のアイデアで約30分で完成しました。

カボチャの馬車は、タイヤではなくてそりのような形をしていますが、それには理由があります。
「この馬車は、道が混んでしまった時に、そりの端のところが長く広がって、空を飛べるようになります」とのことです。仕上がりの完成度も高く、それにプラスして彼女らしい自由な発想のアイデアが盛り込まれた作品です。
カボチャの表面のデコボコした感じもリアルに表現できています。馬車の窓や飾り、そりの装飾など細かいところのデザインには、かわいいものが好きなだけでなく、大きさや形に彼女のセンスが見えます。

馬は、今までに何度か粘土で動物を作っているので、コツを掴んでいてあっという間にできあがり、たてがみや開いた口の切り込みを入れるところまで短い時間で出来ました。

アトリエでは粘土で形を作るところまでということで、色は自宅で塗るようなので、これはもうかなりの完成度を期待します!
ちょうどアトリエにモチーフのカボチャがあるのを見つけて、「カボチャの色は、茶色、黄色、オレンジ・・・・」と一色だけでなく、たくさんの色を感じて見つけて帰っていったので、色塗り完成の写真を待ってます!!  伊藤










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この全体感!

2010-08-04 00:43:00 | スタッフ講師
Takedasan_2武田 水彩
水張りした紙に水をたっぷり使って描く技法を習得し、メキメキ実力を上げている武田さんの新作です。
今回もモチーフの写真を2メートルほど離して大きな全体感を掴み、そのあと細部を描き込む手順で進めました。
前回の作品も最初に全体の印象をバッチリ合わせていたので、とてもスムーズに完成まで進めることができましたが、今回はさらにイメージ通りの絵が描けたはず!

油絵やアクリルなどは最初に同じ色で下地を塗ることで全体のまとまりを出すことができますが、透明水彩だとこの方法では下地の色が強くなりすぎてしまいます。そのため画面の全体感を出すには何度も離れて見たり、光を方向を意識したり、それぞれのモチーフや影に同系色の反射光を入れてみたりと工夫するのですが、遠目に離して全体感を掴む方法は武田さんにとてもしっくり合う描き方だったのではないでしょうか。
特に水面の質感と建物の乾いた質感の描き分けが美しく、地中海のまばゆい太陽の光を感じます!!
また場所により細かく描く部分、太めの筆で描いたおおらかな塗りを残した部分を使い分けることで絵にメリハリが生まれましたね。
大きく全体を見ることができる目は透明水彩以外でも役に立ちます。また紙をアルシュなど違う紙にチャレンジしてみても、また違った雰囲気の絵に仕上がりそうですね。
ひとまずどんな画材でも絵がバラバラに見えないよう全体感を出すことがとても大切だな、と改めて感じた赤尾でした。




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パワー全開

2010-08-03 03:47:00 | スタッフ講師
Aburakayou
さとうです。
今回は火曜日小学生クラスの油絵がほとんど完成してきましたのでご紹介します!
約二ヶ月におよぶ制作期間で、はじめて油絵の具という画材に触れる生徒さんが多い中、絵の具と格闘しながらも粘り続けて仕上げた作品はどれもとても密度の濃い大作となりました。
こうして完成した作品を見ていると、本当にみんな頑張りました。なんだか娘がお嫁に行ってしまうような、、一歩前へ進もうとしている姿を見届けている感覚になります。

まず最初に、火曜日クラスの中から3つの作品を取り上げてご紹介したいと思います。
左上から?都美ちゃん・(左下)もえちゃん・(右上)玲々菜ちゃん 3人とも小学2年生の乙女たちです。
まずは左上の大きくやかんを描いた?都美ちゃんの作品。
彼女はすごく元気のある女の子で、隣で描いている友達などまわりの子のお世話をやくのが好きなはっきりと物事を話せる性格の持ち主です。そんな彼女の描く絵の良いところは、なんといっても大胆に物を描けるところです。特にやかんに写りこむ光を模様化した表現がなによりも魅力的なのです。実際はそのやかんの光はモヤモヤして見えてなかなか筆が入りにくい部分です。しかしそこを、「こんな光に見えるのだ」と言い切ってしまうところが、彼女らしさも出た誰にも真似できないやかんになりました。それはずっと失ってほしくない彼女の強みのひとつです。

次に左下のもえちゃんの赤いランプを描いた作品。
もえちゃんの作品はこちらが嫉妬するくらいすごく独特なタッチでの表現になりました。彼女はわりとせっかちな性格で早く次へ次へと進めたがって、常に彼女の車輪は動きまわっています。なので一か所に留まる時間が短いのですが、その変わり一度そのエネルギーが一つに集中するとものすごい力を発揮します。
厚塗りを重ね少し荒々しい筆使いは、彼女が内に秘める力を(陸上競技に例えれば)短距離ランナーのような勝負の掛け方で絵の中にぶつけているように見えます。その勢いを妨げることのないように、もっとその走りを極めていける手助けができればと思います。

それから3つめの、水色のストライプが印象的な玲々菜ちゃんの作品。
れれなちゃんは非常におっとりとしていますが、コツコツと少しづつ静かな炎を燃やし、そして着実に積み上げるタイプです。
最初に少し奥のものが小さく入ってしまう構図となったので、途中で描きにくくなるかなとも心配もしましたが、そんな問題は全くありませんでした。完成した作品から、彼女の色感にはすごく感動させられました。モチーフの色調はわりと鈍い色が揃っているのに対し、この絵は全体のトーンが爽やかな淡いグレー調で、「いつこんな色を身につけたの?!」と聞きたくなるようでした。
彼女の目を通したフィルターがかかっているのでしょうか。絵を描いていてやっぱり良いなと思うのは、同じものを見てもその表現が人によって無限の違いが出てくるところだと思います。


少し全体を通して気になったことと言えば、やかんやトランペットなど複雑なものはとても沢山の表現を探せたのに対して植物の葉っぱなど一言で「葉は緑」と言えてしまう様な物は、絵の具のチューブの緑色だけに頼りがちです。
そのような簡単に見えるものこそ、いかに複雑で面白いものが秘められているかというのを探って欲しいなと思いました。・・・と言っても、ちょっと難しいですかね(笑)。たとえば私がみんなのような小学生の頃先生に「影の色をよーーく目を細めて見てごらん。じっと薄目で見つめていると、暗い色の中に一つじゃなくいろんな色が見えてくるよ。」と言われた事が今でも印象に残っています。言われたように試してみると、思い込みなのか気のせいかその様に見えてきて、その時から影の色を透視するかのような気持ちになり何色も何色も探して重ねてというふうに描いていました。
どちらかというと私は影響されやすく単純な性格なので(笑)言われた事をすんなり信じてしまったのかもしれません・・・。
でもきっかけとはそんなものかもしれません。少し「え~?!」と思うことも、物は試しです。

田中先生に続き、ついつい色々と想いが出てきて書き過ぎてしまいましたが・・・、今回の油絵で身に着けた感覚を色々な創作する面で生かしてほしいです。おそらくみんなのなかでこれだけ時間をかけた制作は滅多に無いことだと思います。一つのことに集中したあとと言うのは自分の気づかない力が必ず蓄積されていると思うので、 まずは、、夏休みの宿題にその成果を発揮してもらいたいです!今後もまた少しずつ他のみんなの作品をご紹介していきます(^-^)


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油絵的通信簿

2010-08-02 04:31:00 | スタッフ講師
どうも幸介です!ぞくぞくと小学生クラスの油絵が完成してまいりましたので、今週より順次紹介していこうかと思っております。今年も例に漏れず力作ぞろいですので、僕の担当する月曜&木曜クラスの作品をひとつひとつ解説も交えて紹介してまいります!!まずはこちら↓

201008021

左の絵の制作者、実希(みき)は今回が二度目の油絵の制作です。前回の油絵はアトリエに入ってすぐの制作で、本人も不慣れな環境・画材に戸惑いながら描いていました。しかし今ではすっかりアトリエに慣れまして、ハプニングが起きても常にマイペース。慌てたりはせずに、いっつもフワッと絵を描いています。この油絵もフワフワと制作して、たまにフニャっともしていましたが、作品はしっかり着地いたしました!!去年苦戦したモチーフであるレモンとチェックの布のリベンジも果たし(レモンの存在感が素晴らしいですね)去年からのレベルアップが目に見えて分かる作品となりました。背景もブラウンベースのオレンジのグラデーションで、どこかアンティーク調で大人っぽく仕上がりました。これは持ち帰ったら是非去年の作品と並べてみて欲しいですね!

そして右の絵は杏那(あんな)の作品。いっつも人の話を聞いていないようで聞いている、不思議な子です。一見ぽけーっとしているような雰囲気を持った子ですが、実は勘がものすごく冴えていて、いつも僕や小原先生の予想を上回ります。今回のこの作品も透明のグラスの色を説明してる時に、僕が分かりやすいように「グラスの縁に白い線が見えると思うんだけど、あれは光が当たっているからで…」と説明したところ「つまり天井の蛍光灯の映り込みを描けばいいんでしょ」という風に、理解がものすごく早くてびっくり、なんてこともありました。透明なモチーフの多い場所でしたが、リンゴの入ったボールも後ろの青い水差しのグラデーションも美しいですね。色が濁ることもなく、どこをとっても彩度がキレイです。もはや高学年の絵のようです!

201008022

続きまして上記画像の左上の絵は凛太郎(りんたろう)の作品。彼は自分の意志・制作の意味をしっかり持った子で、制作中もモチーフの話や今使っている絵の具の色などの事で問いかけると、必ず答えが返ってきます。「分かんない」や「考えてなかった」などとは決して言わずに、自分の考えを笑顔で僕らに教えてくれます。これは誰にでも出来る事ではありませんので、これからも大切にしていってもらいたいです。ひとつひとつの物事を反芻して自分に吸収していくので、小学生なのに『温故知新』という言葉さえ感じてしまいそうですね。そんな彼が選んだのは重たーいブロックがドンと視界を遮る重量級のモチーフ。ブロックを境に、手前と奥で世界が分かれるドラマチックな構図です。垂直と斜め45°のリズムでモチーフが点在しているこの構図、大人が普通に油絵を学んだらこの構図は生み出せないんではないでしょうか。彼らしいこの構図にモチーフ達の重量まで描ききったことで、沢山のモチーフをしっかりまとめることが出来ましたね!

そして左下の作品、匠(たくみ)の制作した水彩画です。皆と同じ油絵のモチーフを水彩で製作しました。モチーフの布が青いギンガムチェックの布で、これを乾きにくい油絵で細かく描くのは至難の業です。水彩だからこそここまで細かく描けたんですね。しかも缶に映った映り込みのギンガムチェックまでしっかり描けています。画像では見づらいんですが、紙風船のガサガサしたテクスチャーや透けたラムネの瓶、缶ジュースの蓋のディティールなど隅々までよーく観察して描けています。彼は目が良いんです。絵を描くとき、モチーフをただ見るのではなく「観」たり「視」たり「看」たりしなければなりません。同じ『みる』でも色々な観点が必要なんですね。彼はそれが出来ていて、うっすらとした影や細かい起伏まで発見して描き込んでいるので、油絵と並んでも堂々と勝負出来る作品になりました!!彼は以前に水彩画で賞を取った事をブログでお伝えしましたが、受賞は伊達ではなかったようですね!!

最後に右側の奏子(かなこ)の作品。燃えるような背景と全体に入る暖色の色合いに、水差しのブルーがスパイスのように利いて全体を引き締めていますね!!細かい点ですが、水差しの下に敷いてあるチェックの布がレモンに掛かっていない構成が彼女の場合は大正解でした。レモンやそのチェックの布の下にある些細な影も良いですね。着実に仕上げた作品のハズですが、なんだか情熱的です。彼女は落ち着いてちょっと大人びた口調で、同年代とも高学年とも分け隔てなく付き合えます。予想以上にフランクです。しかも面白いのが、女の子らしい可愛い物を作ったなぁーと思って制作の意図を聞いてみると、実は設定は意外と濃かったり、水彩画を描いている時に僕が「その蝶の色キレイだね!!」と伝えたら「そうそう、でもこれ蛾なのー」と言ったり、なんていうか普通に着地しないその姿勢がとても面白いんです。その姿勢は芸術には必要な物ですので、僕も小原先生も彼女に悪影響を与えない程度に見守っていきたいと思っております。


……ということで、ひとりひとり解説してみましたが、なんだかものすごい長文になってしまいました…。まだあと紹介していない月&木曜クラスの生徒が30人くらいいるのに、ほんとに全員にこんな長文を書くのか自分でも疑問はありますが、学校の先生が通信簿にひとりひとりコメントを書いてるのに比べたらまだまだへっちゃらなハズ!!と自分に言い聞かせて頑張っていこうと思います。…夏バテならぬ、ブログバテしそうな勢いです。

田中幸介

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