多田 油彩
すっかり寒くなりましたね、マユカです!展覧会は9月終わりの開催だったにもかかわらず、会場がかなり暑かったことを思い出します。このくらい涼しかったら作品たちを見ている間も過ごしやすかったのかなぁなんて考えてしまいました。
さて本日は多田さんの作品をご紹介していきます!こちらの作品は先日の展覧会に出品されていたので、記憶に新しい方がほとんどだと思います。
黄金色に輝く枯草を油彩で描かれました。真っ直ぐと続く道は終わりが見えない程、沿う草むらも画面の外まで広がり、大きな雲が流れる空はドラマチック…そんな広大な自然の空気が伝わってくるようです。下山した最後の道でしょうか、人が隠れてしまいそうな鬱蒼とした手前の枯草は、まるで麦畑のようにも感じますが、自然な色合いでグラデーションが付いています。
こういったアースカラーの扱いは難しく、色を何色も混ぜていくうちに濁ってしまったり、くすみすぎて汚く見えてしまうことも多いのですが、多田さんはその色の扱いがとても上手ですね。風に揺られる様子が見えてくるようです。実際、多田さんの作品を真近で見てみれば、そこまで分厚く塗りたくられているわけでもなく、美しい絵具の重なりでばっちりと決めていることが分かるでしょう。色彩を操ることが出来れば、空気感の表現も操ることが出来ます。
のどかで人工的な物が少ない風景に、幼少期祖父母の家へ遊びに行った時の記憶を思い出しました。本当に何気ない日常、テーマパークなどの特別さはないけれど無性にワクワクとするような、そんな風景。どこを見渡しても新しい発見ばかりでドキドキとした記憶…。多田さんの作品の構図が背の高い草に囲まれているからこそ、代わりに視点が低くなり、子ども目線に戻ったようなノスタルジーを感じるのではないかと思いました。
こんな道をもう一度、歩きに行きたくなりました。