白仁田 透明水彩
そろそろ冬の訪れを感じつつ、本日も岩田が書かせて頂きます。
(火曜アップ予定だった平野先生のブログがなぜか木曜にアップされ、木曜当番の北野先生が気を利かせて半日遅れてアップされ、金曜当番の大竹先生が気を使い土曜夕方にアップしていたので、日曜にアップしてみました。)
ご紹介しますのは、白仁田さんの透明水彩で描かれた作品。絵の具の扱いが秀逸です。
絵を見ると、草はらに日射しがあたり、眩しいほどに明るく黄色味を帯びた場所と陰の中のやや青みを湛えたようなグリーンとのコントラストが実に清々しく描かれ、一陣の風が吹き抜けるような心地よさを感じます。
透明水彩を使ってこうして軽やかに対象を描くことができる理由として、画面に筆を置いた時に必要以上になじませたり、捏ねくり回したりしていないということが挙げられます。
画面に色を置いた後は、絵具と紙と水という3つの要素にその後を委ね、水分が蒸発するまでの間、それらが織りなす現象を手放しで傍観するような姿勢が大切だと言えます。
そうすることで人力だけではなしえない、思いもよらない活き活きとした絵具同士の柔和的現象を画面に取り込むことができるのです。
人が主導しながらも踏む込みすぎず、描画材に任せる余白を「描く」という行為に中に作っておくことは、透明水彩に限らず意識して欲しいことです。