モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

絵に入り込むような感覚

2023-01-12 21:30:44 | 学生


明日菜 中2 『苦しさの中で見上げれば』 油彩

早起きが出来なくなってしまいました。布団の中から出られないマユカです!本日は市美術展へ出品する、明日菜の作品をご紹介します。

まるで見ている私たちが沈んで行っているかのような視点で、大胆な構図がとても目を惹く一枚。プールの底へと沈んでいく、明日菜が昔、体験した記憶を幻想的に描き上げました。
水中での視点を描くために魚眼レンズのように大きく歪ませたパースに苦戦しつつも、丁寧に下書きをし、じっくりと塗り進めたため、不自然さは感じません。手前と奥の関係がしっかりと伝わります。水の深さによって青の濃さを変化させているのも良いですね。画面全体が青系統の色で統一されているところを、黄みがかった肌色が抑え、メリハリを生み出しているあたり、何を描くかのラフスケッチの時点で、色彩のことも考えて構図やモチーフの位置を決めていることが伺えます。

そしてなんといっても光の使い方がとても上手です!
水底から見上げた水面には差し込んだ太陽光がまっすぐと水中を照らし、水の中であるのに大空を見上げているようにも見えます。きらきらとした泡は、光に近づいていくにつれてシャボン玉のようにも見えてきますね。
映画のワンシーンのような光の使い方をしていますが、一番いいな、と思うのは腕や足に当たる光でしょうか。縦画面の絵というものは、下の方に濃く暗い色を使ってしまうと、画面全体の雰囲気が重く、暗い印象を与えてしまうのですが、明日菜は色味の明るい腕を下の方へ配置し、更に光を当てることで、下画面を重くせずに、水の深さを表現することが出来ていますね。絵の中の状況や環境をしっかりと考えて描いていることが分かる、水面の揺らぎを感じる光と影。これがあるのとないのとでは、絵の見やすさが段違いです。自然な光の当たり方で描写できているからこそ、見ていて違和感を抱かない、スッと入り込んでくるような作品になったのだと思います。

今回明日菜が描いた作品には強いパースがついていましたが、こういった歪みは、アオリやフカンの視点で構図を作ると迫力が出るように、歪ませることで作品を見ている側が感情移入しやすく、まるで自分がその光景を見ている、もしくは体験しているかのような気持ちになることが出来ます。景色を描く際にあえて構図を歪ませて描いてみるのもいいかもしれませんね。


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