加藤 透明水彩
マユカです!今回は加藤さんの作品をご紹介していきたいと思います。
ぼんやりとしてしまいがちな水彩でこれだけくっきりと見やすく、さらに物質の質感まで伝わってくるような作品たち。左の作品は描写力は勿論なのですが、同系色のモチーフで固められているにもかかわらず濃淡と、イエロー寄りのブラウンから赤み寄りのブラウンを使用し、色相を変えることで単調にならないような色使いをされています。細やかなラベルのレタリングによって実在感が一層増して見えますね
右の作品は海を感じさせるモチーフで統一していますが、セピア調の背景色と青色の浮き球、魚の置物がお互いの色彩を引き立てあい、とても目を惹く作品になっています。対極の位置にある色彩は、慣れないうちは合成の様になってしまうこともあるのですが、加藤さんの作品では空間になじみ、鮮やかな青を局所的に使用することで、茶色同系色に起こりがちなくすんだ感じもさせずに描写されています。どのモチーフも手に取ったときの重さや触り心地を容易に想像することが出来てしまうあたりに、見る人への気配りを感じました。
何処を切り取ってもその精密さに驚いてしまいますが、「いつも仕事ではスピード重視だわ、結果出さなきゃいけないわ、しかもそれが当然で誰も褒めてくれないから、ここで褒めてもらえるのメッチャ嬉しいです!」とよく言ってます。(笑)
物体だけでなく背景にも色を付けることで同じ空間上に物が置いてある様子や光の入り方が統一され、反射光などに背景と同じ色を入れることで情報量も増え、見ていて飽きない作品となります。私たちが普段見ている物達は情報量の倉庫。見れば見るほどに新しい発見があるものです。そういった「よく見ないと気づかないそのもの特有の性質、質感」を発見することでモチーフへの解像度が高まり、見た人にどんな素材のモチーフなのかを伝えるきっかけになります。どういった映り込みが入っているか、写真を撮って確認してみても描きやすくなりますね。