これは敬愛する隣人川本三郎さんの御本の題名だ。実はこの題名はあまり好きではない。珍しく異議を唱えたくなった。題名のせいというわけでもないが、読み始めて知らない邦画が多く出てくるので少し戸惑い、暫く寝かせてあった。この頃ナイトキャップに読んでいる。やはりいい。心地よい眠りに誘ってくれる。
年のせいかあるいは元々小説の読み手でなかったのか、この頃はエッセイを愛読している。所謂エンターテインメントは楽しめるのだが、純文学というか大作というか、そういう類いには直ぐ挫折し、放り投げるようになった。若い時は、読んだぞと言いたくて我慢して読んだところがあったと思う。今はとても我慢できない。
エッセイというのは再読に耐える。何度でも読める。いつの間にか好みができ、私的定番とでも言うべき著者を読んでいる。以前にも挙げたが、開高健 小平邦彦 小野寺健 津野海太郎 野田知佑 川本三郎 村上春樹 椎名誠・・・これに多和田葉子 司馬遼太郎が加わってきた。こうした方々を隣人のように感じている。勿論、先生と申し上げるべき方も多く、隣人とはふざけた奴だと思われる方も居られるかもしれない。確かに能力業績では遙かに私なぞを凌ぐ方ばかりなのだが、そういうことではないという感触がある。
初めての女性、多和田葉子さんの発見を喜んで居るのだが、エッセイが少ない。溶ける街透ける路に続くものを待っている。