今の時期になると師走には受診したくないできないという患者さんが増え、40日以上の長期処方が増えてしまう。複数の疾患を抱える高齢者は月に一回診たいのだが連れてくる人の都合もあるし、自覚症状の乏しい患者さんの中には比較的重症でも長期処方を希望される人が居る。
自覚症状が無いあるいは病識に乏しい患者さんを月に一度診るのは時に難しい。特に最近総合病院が60日以上という殆ど無責任なと言いたくなる長期処方をするようになったため、医院でも長期処方を所望される患者さんが出てきている。逆に中には病院では山のように薬を呉れると戸惑っている患者さんも居られる。
確かに病気が安定し患者さんが自己管理が出来る場合には長期処方も妥当だと思うが、それでも60日程度までだと思う。勿論、てんかん、慢性甲状腺疾患や脂質異常症など特に安定している疾患では患者さんの理解が良好であれば60日以上の処方も可能だろう。
どの程度の頻度での受診が適当かは議論のあるところのはずだが、衆知を集めた議論は聞かない。というのは純粋に医学的な理由以外の要素が絡んでいるからだろう。有体に言えば通院しやすさと経済的な理由がある。総合病院では三時間掛かるのは常識で、半日潰れるというと語弊があるが半日が費やされてしまう。しかも万札で大してお釣りが返ってこない。そうした所に月に一回通院するのはご免こうむりたいのは殆どの人の気持ちだろう。厚労省としても通院すれば必ず少なからぬ費用が発生するので、お安くと言えば語弊があるが適当な費用で診療できるように、長期処方を認めた節がある。
そこへ行くと医院では長くても一時間大抵は三十分ほどでしかも病院ほどには費用が掛からないので、月一回はさほどの負担ではないだろうと推測する。
そうした診療形態の弊害というか不合理を解消するために総合病院と医院との役割分担(病診連携)が進み、重症難病は病院で慢性安定疾患は医院で診るようになってきている。重症難病でも普段は医院で診て年に一二回総合病院で診てもらう診療形態も増えている。
誠に結構なことだが、医院の簡単な問診と血圧と体重を測定する診療を薬を呉れるだけだと勘違いされる患者さんが時々居られ、何とかして長期処方にして貰おうとされるのには閉口する。当院は病気と患者さんを鑑みて可能な範囲で長期、42日処方50日処方60日処方をしており、病気を脇に置いて単に自分の都合だけで、連休を飛び越えるためにやむなく長くした処方をこの前と同じにと言い張らないでいただきたい。税理士が先生の所は一か月の平均受診回数が1.2以下ですねと驚くほど低いので、そうした側面からもこれ以上の長期投与はご免こうむらさせていただこうと考えているが。