内科の生活習慣病と言われる慢性疾患の多くははっきりした症状がない。血圧が高くても血糖が高くてもコレステロールが高くても初期には症状がない、否かなり病気が進んでも症状が出ないことも多い。そのため健康診断などで病気が見つかり通院を始める患者さんも多い。自発的でなかったせいかどうかわからないが、時々折角五年十年通院して治療していたのに途中で通院を止めてしまう患者さんがおられる。
仕事や家庭の事情で忙しく通院が途切れたが、自覚的には変わりがないのでまあいいやというのが一つのパターンだが、もう一つよくあるのが転居した時にどこへ行ったらよいか分からないので通院を止めてしまうというのがある。勿論、転居する時にかかりつけ医に申し出て紹介状を書いてもらい、転居後電話帳やネットで調べたり近所の人に聞いて適当な医者に掛かればよいのだが、忙しかったのか億劫だったのか何も貰わず新天地に来てしまい、まあいいや?と放置してしまうらしい。
先日も何だかだんだん痩せてきたと近所の人に連れられてやってきた糖尿病の患者さんが居た。連れ合いを亡くし、二年ほど前に老後は故郷でと戻ってきたそうだ。聞けば二十年前から千葉の方で高血圧で通院しており軽い糖尿病もあると言われていたそうだ。検査すると軽いどころか重度の糖尿病だった。まだ間に合いそうだが、元に戻らない障害もありそうだ。とても残念だが、痒くも痛くないと自己判断で放置する人は数多い。