駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

老年医学の時代

2019年11月29日 | 医療

        

 

  今朝は冷たい木枯らしが吹き、秋の終わり冬の到来を告げていた。思わぬ寒さに歩行が遅く、いつもの電車を取り逃してしまった。歩行速度は実年齢を表し、1m/秒がまだまだ若い証拠とされている。この辺りはまだ微妙で0.8m/秒までは大丈夫などとする報告もある。個人差があるから1.2m/秒で歩いていた人と1.4m/秒で歩けていた人を同じには扱えないと思うが、医者は調査して科学的に基準を作ろうとする。いくら調査に基づいて科学的と言っても、複雑で覚えにくくては普及しないので、微妙に妥協し妥当な基準が出てくる。

 正確な歩行速度はともかく、悔しいことに女性(若め)に追い抜かれることが多くなったので、年を取ったのを嫌でも自覚させられる。若い女性に追い抜かれた場合には後姿を眺める楽しみもあるが、同年齢に見えるチョイ爺さんに追い抜かれると楽しくない。当たり前と言われてしまうかもしれないのは老化するのは脳だけでなくつま先から髪の毛まで全てなのだが、医学は専門分化しているので各々の専門家が老化に対する基準対策を出し始めている。四半世紀前までは、もの忘れをする腰が痛い夜中に小便に起きるなどの訴えは・・全て老化ですねえで退けていた。ところが最近は医学も進歩し、実年齢の若い年寄りも増え、医学の目が老化対策に向いてきている。私などはまさにそれを実感しながら自分の為にも勉強して診療しているわけだ。

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