駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

深夜の電話

2017年09月22日 | 診療

  

 MLBを見終わり寝ようかなと思っていた矢先、電話が鳴る。嫌な予感がする。

「もしもし、**先生ですか?」。「はい。そうです」。「今気が付いたんですが、母が呼吸していません」。「ああ、そうですか。三十分ほどでゆきますので待っていてください」。

 実は不届きかもしれないが、連休拘束されてどこにも行けないなあと思っていたので、深夜でも心のどこかでほっとしながら出かけた。九十にあと二か月だったが、がんの末期で食事が通らず、あと四五日かなあと思っていた。緩和の麻薬が効いたか苦しむこともなく、眠るように亡くなったようだ。家族は取り乱すこともなく静かにお婆さんの終わりを迎えていた。お嫁さんによると夕方は二三日前よりも元気で家族と話をしアイスクリームを食べたそうだ。九時ごろ帰ってきた孫が声を掛けたら、ニッコリ目を合わせたという。どういう体の働きか亡くなる前に急に元気になって話ができることはよくある。魂がお別れを告げに戻るのだろうか。

 息子さんは暗い夜道に出て私の車を見送ってくれた。深夜で空いており、午前一時に自宅に戻ることができた。

 今朝はいつも通り出てきたが死亡診断書を書いたのであまり時間がなく、深夜の出来事を書いた。 

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