駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

患者さんを見て考える

2015年11月11日 | 身辺記

            

 いつまで働けるかなと働いているのだが、患者さんを診ていると未だ頑張らなければと思わされることがある。サラリーマンと違い自営業者の人は働ける内は働こうとする人も多い。

 長く診療しているので、時折まだ働かれますかとか、未だ頑張られますかなどと聞くことが出来るのだが、稼がなければ生活が苦しいあるいは仕事を辞めてもすることがないという返事が多い。どちらも、多少割り引いて受け取らねばならないと思うが、納得できる返事だ。

  暫く前によく亭主は元気で留守が良いなどと言われた。確かに家でごろごろされるとうるさいのかも知れない。多趣味の私には考えにくいことだが、一寸散歩をして後は家でごろごろ、いつの間にか時間が過ぎて行くとおっしゃる方がおられる。確かに色々やるにはお金が掛かるので、旅行やゴルフ三昧とは行かないかも知れないが、失礼ながらちょっと淋しい感じもする。

 其処へゆくと七十まではが七十五まではになり、七十五まではが八十まではになり、ついには動ける内はと八十前半でも働かれる人が居られる。そういう人は働いているせいか元々そういう性格体質なのか張りがあって元気そうだ。仕事というのは辛くて大変だから賃金が貰えるという側面もあるが、大変でも面白いというか意味深いところがあって、その人の人生を支えている場合もある。

 まあ、そうして年を取っても働ける内は働くというのは、良い選択肢の一つだと思う。しかし困るのは自営業は跡継ぎが居ればともかく、そうでないとペースダウンが難しいのだ。医業は(医業もか)患者を選ぶことが出来ない、年を取ったので相性の悪い(医師から見て)患者さんや自分勝手な患者さんはお断りしたいのだが、そうもゆかない。長くやっているから患者数が多く、寒い時期は特に大変だ。開業医も増えて、患者数微減の医院が多いらしいのだが、税理士がいつも先生の所は患者さんが減りませんねえと驚く、有り難いことなのだが、心身は大変になってきている。仕事を減らして続ける方法はないものか。

コメント
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