駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

晦渋というよりも狡猾

2014年04月01日 | 町医者診言

                

 中等症の活字中毒で文章を読むのが苦にならない。しかしお役所文となれば別だ。平成二十六年の診療報酬改定という厚い本が送られてきた。これは五分も読んでいると頭が痛くなる。役所文はよく晦渋と言われてきた。最近いくらか改善が認められるようだが、生理的に受け付けられないのが背後に漂う慇懃無礼で狡猾な精神だ。

 0.1%の診療報酬増加には絡繰りがある。診療料を上げるにはさまざまな要件を満たす必要があるのだ。その要件は煩雑で不公平にして、意味不明のものが多い。その煩雑さを知った途端、たかだか0.数%の収益増のために阿保らしいと諦める医師も居る。勿論、それを織り込んで算段してあるのだろう。今までもいくつかの指導料が設定されていたのだが、私の所では煩雑であるのと診療実態に差が無いのに診察料が千円以上変わるのは不公平と請求してこなかった。当院に十分な収入があったためで、もし困っていれば請求していただろう。

 今回の目玉は地域包括診療加算というもので、患者さんの負担は数十円で済むのだが、これについては請求するのに患者さんの同意書を取れとなっている。どういう意味があるのだろうか。まず第一に患者さんは私に診察して欲しくて受診しているおられるわけで、法的基準を満たして加算を請求するのになぜわざわざ同意書が必要なのか。万一、不同意の場合は診療をお断りすることが出来るのだろうか。否、不同意でも診察しなさいということであれば、同じ内容の診察にたとえ数十円でも差が生じるわけで、請求する私は勿論支払う患者さん側も納得し難いだろう。

 これがお上と呼ばれる所の精神構造とすれば、なぜ国民はかくも従順なのだろうかと思えてくる。

コメント (2)
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