駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

余分三兄弟はまず長兄を

2009年09月12日 | 医療
 塩分、糖分、脂肪分が余分三兄弟として槍玉に挙がっている。勿論、彼等が不要というわけではなく、過ぎたるは及ばざるがごとしということなのだ。過ぎれば彼らは生活習慣病を始めとする様々な成人病を誘発する。彼等にも貴重三兄弟の華やかな時代もあった、殊に糖分や脂肪分の次男三男はついこの間の戦後大層もてはやされた、のだが今や余分であると医師看護師栄養士から追求される身となった。
 残念ながら獲得形質は遺伝しない。我々は余分三兄弟が貴重であった遠い祖先の嗜好を遺伝的に受け継いでいる。そのため多くの人は塩味に力づき、甘味を甘露と感じ、脂身を旨いと舌鼓を打つように出来ている。それらが足りない時代はそれでよかったのだが、塩砂糖脂の溢れる時代には摂り過ぎの弊害が出てきた。
 獲得形質は遺伝しないが三つ子の魂は百まで有効なので、それを生かさない手はない。乳幼児期に出汁を利かせた薄味で食物本来の美味しさを味わわせてゆけば良いのだ。教育というと直ぐ知育に傾く文科省と親の再教育が必要で、マニフェストに入れるべきだと思う。
 利潤至上のハンバーガーチェーンの社長は子供の時に外食で当店のハンバーガーの味を刷り込めばこっちの物だと豪語していたらしいが、それこそ近視眼私利私欲に走る市場原理の重大な副作用だ。
 今のところ医療界挙げての合意は出来ていないようだが、私は三兄弟の内まず長兄の塩分を減らすのが一番効果があり、残る糖分脂肪分を減少させる波及効果があると睨んでいる。
 実は大きな声で言いたいのだが、外食産業が大敵なのだ。外食の売り上げ利潤はこの塩味に連動しており、外食の薄味転向は容易ではないのだ。
 働くお母さん(お父さん)に食事の準備は難しい面もあろうが、家庭での食事回数を増やし、出来るだけ塩分を控えめの味の美味しさを憶えさせてと願う。
 脱線するが、メタボ体型の人が食育などと偉そうに言うのは笑ってしまう。もっと実践勉強してからその影響力を行使して欲しい。
 
コメント (2)
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