駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

鳩を守る鷹

2009年09月01日 | 人物、男
 亀井静香、名は体を表さないこともあるのだ。
 この人が「亀井さん、どうぞ」。で診察室に入ってくれば、えっ、「あなたじゃありません」とドアから顔を出し、待合室を見渡すだろう。厳つい顔をしていても、意外に気にしているようだから、もうやめよう。
 思想というのは体系化されて、脈絡と整合性が保たれているはずだが、それがこの人の中に入ると庶民心情で融通無碍換骨奪胎、鵺となりついにはアマルガムとなって存在し得るらしい。
 亀井静香は和魂洋才、清濁併せ飲んで消化し、破綻を来たさず、それを血となし肉となし、ついには弱小政党の代表となった。ところが以て瞑すべしとはならない、相変わらずだみ声で前へ出てくる。規格外、憎めない、誠に傑作なおっさんである。
 とは言っても、本当は変わり者だが面白いで済む人ではない。その主張は意外に正鵠を突き、その人柄は人生の機微を解し、正義を愛し、保身を図らず、端倪すべからざる所がある。なかんずく、人に差を付ける勲章などけしからんという主張には感じ入った。勲章大好き爺さんのはびこる自民党を飛びだした根幹はそのあたりにあるのかもしれない。
 果たして、この鳩を守る鷹が黒い鳩と邦夫が呼ぶ由紀夫を守るのだろうか。不思議な取り合わせの妙に、私は事実は小説よりも奇なりと思うのである。
 
 閑話休題: 黒い鳩が蔑称とは思えない、いくつもの海を越えて飛べば羽も汚れる。自称白い鳩は、私には茶番豚に見える。
コメント (2)
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