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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

秀行さん逝く

2009年06月02日 | 人物、男
 既に旧聞になるか、連休明けに囲碁の藤沢秀行さんが亡くなった。碁を知らない人にも興味ある人物だ。何というか赴くまま生きた人で、無茶苦茶なのだが、どうも憎めない。碁は粘りと辛さに僅かに欠け、一番の成績ではなかったが、最強の数人に入る人だったと思う。
 この人飲む打つ発展するの三拍子で、酔っぱらっての乱行数知れず、警察もあきれて相手にしなくなるほど。競輪に入れ込み、不動産業のまねごとをやり、何億もの借金を作ってしまう。妻以外の複数の女性と発展的交際の末に何人も子供ができてしまう。ひどい時は何年も家に帰らず、夫父親としての役割を放棄する出鱈目ぶりだ。
 還暦前後に胃癌悪性リンパ腫前立腺癌と立て続けにがんを患うのだが本妻と腕の良い医者に助けられ生き延びて、66才でタイトルを獲得するという偉業を達成する。
 これが小説でなく事実という破天荒な親父なのだが、そんな御仁に添い遂げた妻もとさんは凄い人だ。生まれた子供に罪はないと認知させ、外で出来た子供も実子と同じように可愛がり、中野在住の愛人とは仲良く付き合い、秀行さんと三人で旅行にまで行っている。
 秀行さんも晩年は妻には脱帽感謝している。まあ実際、本妻もとさんなくしては、糸の切れたこの親父さん野垂れ死んでいただろう。80才になりやるべき事はやり尽くした、あとは妻より先に死ぬことだけと言っていたのを、見事やり果せ83才で逝った。
 こんな風に紹介しては失礼かも知れない。秀行さんの真骨頂は何と言っても囲碁にあり、その広い視野を受け継ぐ人が出て欲しいものだ。
コメント
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