赤ちゃんの様子がいつもと違っていた。いつもなら抱いて仰向けに腕の中で寝かせようとすると起き上がろうとして抵抗する。赤ちゃんに眠りに落ちる恐怖のようなものがあるのだろうか。ところがその日は、なされるがままにお昼寝に入った。夕方になって赤ちゃんが2度ほど吐いた。ぐったりして我が家を去った。
翌日の月曜に娘に連絡を取るとロタウイルス下痢症と診断されたと言う。オムツが間に合わないほどの下痢だ。その日の夜に学園の退職者送別会に出た。普段口にすることのないフランス料理だ。今にして思えばその時すでに私の体内にロタウイルスは侵入していた。そのうちに赤ちゃんの母親である娘にも下痢が始まったと知らされた。その週には双子の小学2年生が泊りがけで我が家に来て、その翌日は立川で映画を見ることを予定していた。それが済んだら下痢で苦しむ2人の応援に駆けつけようと考えていた。
この下痢は、生後6ヶ月から2歳ぐらいまでに必ずといっていいほどかかるという。水のような多量の下痢便が特徴で便の色も白っぽいことから白色便性下痢とも言われる。下痢は1週間ぐらいでおさまる。ウイルスが原因なので特効薬はない。下痢で失われた水分を補うことが肝要である。1~3日の潜伏期間がある。
私の潜伏期間は6日であった。娘の応援どころではない。年をとると何事にも反応が遅くなる。赤ちゃんの父親と、赤ちゃんの母親の母親に今のところ異常はない。予防には手洗いしかないそうだ。ぐったりした時からちょうど一週間して赤ちゃんが我が家に姿を見せた。やつれているが普通の便に戻った。これが何より嬉しい。定年退職の報告と、ひ孫を見てもらうために故郷行きを計画した。丁度一年前の鹿児島での婚礼の時にはお腹の中にいた。その赤ちゃんを連れて4人での鹿児島行きが4月4日だ。私の下痢発症1週間後に当地で同窓会もある。予想に反して私の下痢も終息に向かいつつある。万全の体調ではないが予定通り飛行機に乗る。
ところでうちの夢子さんも何とかウイルスにかかりました。いつもならうるさいぐらい喋る人がウントモスントモ言わず寝ていました。なんとか直りましたが、とたんに、またうるさい日々が戻ってきました。いそがしい人です。普通という状態がない。