玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*ギャラリーのこと

2017年05月11日 | 玉川上水の四季

 「テーマは無限。欲しいのは時間だけです」と語る「玉川上水オープンギャラリー」を主催する鈴木忠司さんの紹介です。鈴木さんは35歳の時コレステロールのことで警告を受け、玉川上水を毎朝10キロの散歩を始めました。それから数年後のある朝、これまで聞いたこともない野鳥のさえずりがして、その主を探すと胸がイエローで首がオレンジの派手な色彩の野鳥でした。その何日か後に望遠レンズを構えて、木を見上げている人に「何を撮っていますか」と尋ねると一言「ムシクイ」と答えてくれたそうです。

 でもその瞬間何のことやら意味が分かりませんでした。その人に、この時期に夏鳥が通過すること、自分が前に出会ったのはキビタキであることを教えてもらいます。この時は教わる立場の鈴木さんであったわけです。それ以来鈴木さんは野鳥の世界に足を踏み入れることになりました。鈴木さんは生まれも育ちも玉川上水沿い。定年まで小平市職員でした。玉川上水を含む、小平市内を一周するグリーンロードの整備のリーダーが現役最後の仕事でした。散歩しながら写真を撮り続け、定年記念に「玉川上水四季さんぽ」を出版しました。

 

 散歩の途中で売りに出されていた約30平方㍍の土地を見つけ、退職金をはたいて購入します。オープンギャラリーにしたいという計画を友人に相談すると、パネルの仕入れや工事職人の紹介など全面協力してくれてわずか一カ月で完成します。それは2009年で鈴木さんが68歳のときです。7年目の2014年には体調を崩して半年間展示を休みました。一時は止める覚悟をしたそうです。2015年からは、これまで展示に欠けていた昆虫にも視野を広げることになり、パンフレットの表紙も「玉川上水の四季」から「生きもの暦」に変えました。

 清明のパンフレットに「展示と観察」と題してつぎのように記しています。「私の日課は、午前中の3時間は、武蔵野台地のどこかで生きものを観察して、撮影しています。その行動は、これまでの観察の蓄積で、生きものが行動する時期に合わせて、目的の場所に出かけます。ただ、淡々と目的の生きものを追いかけるのです。たまにこれまでの作品に比べて、新しい作品が撮れるのですが、その一枚の作品が撮れた喜びが、至福の時なのです。展示に当たっては、玉川上水を歩いている人たちが、その時々に出会えるものを展示するように心がけています。平凡に出会うことができるものを優先します」

コメント (1)
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