先週の前半は高倉健の映画が数多くテレビで流れた。「君よ憤怒の河を渡れ」「海峡」「遥かなる山の呼び声」を続けて見る機会があった。そして映画の中で高倉健が伝えたいであろう「想い」を十分受けとめようと集中した。熱心なファンではなかったが遅ればせながらその良さを認識した。週の後半は二泊三日のパック旅行に出て土曜の夜遅く帰宅した。3日間のバスの走行距離は順に150、205、215㎞だ。
初日は名古屋駅から伊勢神宮の内宮に参り、おかげ横丁を散策して二見浦の夫婦岩の見学に回る。全行程を案内するバスガイドさんがユーモアあふれるベテランの方でプロの話術で私たちを魅了する。伊勢神宮は4年前に初めて一人で訪れた。今回は「お伊勢さん観光案内人」の後ろを集団で歩く。前回の一人の時がもっと神妙な気分だったと思う。二見、鳥羽はかつての伊勢参りの人たちの宿泊場所だった。
二日目は海沿いを尾鷲市を通過して熊野市から山間部に入り奈良、三重、和歌山の三県にまたがる「瀞峡」を90分かけたウォータージェット船の旅だ。それから熊野三山のうちの「速玉大社」と「那智大社」の二つを訪ねる。参詣道(熊野古道)として有名な大門坂を登り始める頃に大粒の雨が降り始めた。大門坂を登ると那智大社がありすぐ隣りは青岸渡寺である。二つ並んだ神社と寺の全体の色調は対照的である。興味深いことに、多くの中国人観光客が興味を示すのは寺よりも神社である。少し歩くと雨にけぶる那智の滝を拝むことができた。
二泊目の「ホテル浦島」は印象深い。勝浦港の岬にあり桟橋から専用船で向う。テーマパークのようなホテルに6か所ある掛け流しの中で人気は天然の洞窟を利用した「忘帰洞」だ。熊野灘に面していて風呂近くまで荒波が押し寄せていた。三日目は3・11の年の9月の紀伊半島大水害の爪痕が残る熊野川をさかのぼる。車窓から熊野三山の一つ「熊野本宮大社」を左に、120年前の大水害まで本宮が存在した中洲の大斎原(おおゆのはら)の大鳥居を右に眺める。奈良県の十津川村に入ると「谷瀬の吊り橋」でスリルを味わう。長さ297m、高さ54mの生活用の吊り橋だ。大型バスはさらに山越えをくり返して、野迫川村から天空の聖地吉野の「奥の院」に到着した。通常の吉野参りとは逆の動きである。それから紀ノ川沿いを少し走り阪和自動車道の泉南ICから新大阪駅に向った。バスガイドさんはお別れに速玉大社の「梛(なぎ)の葉」を全員にプレゼントしてくれた。凪に通ずるという。