蕗の薹の天ぷらのつぎはフキの葉の佃煮である。庭のフキは毎年のように我家の食卓をにぎわす。またツワブキは一年を通してみどりの葉を繁らせている。フキの葉の緑で覆われ、その葉が風で揺れている様はいいものだ。まるでどこか山道に迷い込んだような気にさせてくれる。冬を越した雲南百薬も元気な姿を見せて夏の豊かな収穫を予想させるかのように順調に伸び始めた。5月3日に畑にキュウリ3本、トマト3本、ミニトマト2本を、そして東側の窓の下には例年通りニガウリ4本の苗を植え付けた。また先日はめずらしい鉢植えをいただいた。葉が馬の顔の形に似ているウマノスズクサである。ジャコウアゲハの幼虫の食草である。いつの日かこの庭で蝶が産卵してくれるだろうか。
11日の土曜日はルネ小平の2つの催しに参加した。あいにく朝からの雨で午後には本降りとなった。市民文化会館ルネ小平は西武線の小平駅前にある。3時からは大ホールで千住真理子のヴァイオリンリサイタルがあった。全11曲の演奏でバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」に始まり、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」が終わる。黒人霊歌「アメイジング・グレイス」やホルストの「ジュピター」やカザルスの「鳥の歌」マスネの「タイスの瞑想曲」など私にも馴染みのものが多かった。千住さんは小平市在住だった日本最高のヴァイオリニストの江藤俊哉(1927~2008)氏に指導を受けた。その指導を受けた場所がこのホールだという。トークの中に幻の名器ストラディヴァリウス「デュランティ」は出てこなかった。ただ楽器の演奏には湿度が大きく影響すると話した。
7時からは中ホールで「小平で住民投票・どんぐりと民主主義」のシンポジュウムが開かれる。リサイタルが5時に終わりつぎの7時までの時間をどう過ごすか。多摩湖自転車道は小平駅と隣りの花小金井駅の区間では線路と並走するように通っている。駅から近い自転車道に「あじさい公園」がある。雨が降り続いていたが夕食を軽めにすませて以前も訪れたことがある公園に出かけた。雨の夕暮れ時で人の気配はない。アジサイはまだつぼみのままである。公園を取り囲むように「小川用水」が勢いよく流れている。不思議なことに私はこの公園の用水の存在をこれまで気付いていなかった。大人が一跨ぎできるぐらいの狭い幅である。多摩川からひいた水だから災害時には沸かして飲めると言われている。我家のそばの「新堀用水」をはじめ市内には用水があちこちに存在している。貴重な資源だと思う。
公園から会場に向かう途中のロータリーではシンポジュウム直前の国分氏が街宣車の横で演説を行っていた。初めての街頭演説だったという。「反映させる会」と「どんぐりの会」が主催する「いとうせいこう+中沢新一+国分功一郎」には報道陣の姿も多く見かけた。民主主義の国で都道計画に住民の声は届くのか、初めての住民投票が5月26日に行われる。まず投票では「住民参加で計画を見直す」か「見直しは必要ない」のどちらかを選択する。この小平シンポは3回目だが初参加の いとうせいこう氏 が司会役を買って出た。市民側のハードルは高く、政権側のハードルは低くという風潮がある。お上の決めたことには従うというメンタリティーでいいのか。市民が提案し行政との対話の習慣を作る努力が大切だ。イエスかノーかでなく解決することの大切さである。津田塾大学などの学生がこの運動にもっと参加してもいい。雨の中を市内から173名、市外から175名の参加者がありスタッフをふくめて中ホールは満席となった。(写真は津田塾大学の本館と中庭)