中国生まれの二十四節気に日本の気候に合うように土用、八十八夜、入梅、半夏生、二百十日の雑節が取り入れられた。5月2日は八十八夜で5日の子供の日が二十四節気の立夏だった。オープンギャラリーの立夏の東側展示は夏に咲く花がテーマである。5月はガクウツギとノイバラ(立夏)、ウツギとスイカズラ(小満)、6月はムラサキシキブとアジサイ(芒種)、ネムノキとノウゼンカズラ(夏至)、7月はムクゲとリョウブ(小暑)、サルスベリとタマアジサイ(大暑)である。夏の6節気をそれぞれ代表する花12枚の写真が並んでいる。
立夏のミニ観察会に真新しいエナガの巣が2つ持ち込まれて人目をひいた。細い竹のまわりに巣ができて、竹が巣を突き抜けているように見える。竹や木枝と巣が一体になったものを鈴木さんが板の土台に固定した。巣は大人が両手を丸く合わせたぐらいの大きさで外側は防水のためたくみに苔で覆れている。出入り口は直径2センチぐらいだろうか。一つの巣に14羽の雛が生まれたということだが、にわかには信じがたい。立夏の前の穀雨はエナガの子育ての観察を予定していたが降雨のため中止になった。せめて使用済みの巣だけでも多くの人に見てもらおうと鈴木さんが用意したのだ。
立夏のミニ観察会はめずらしく新顔3人の参加があった。下流に向って歩き始めると、玉川上水の流れを覆うように白い花のマルバウツギの枝があちこちで垂れ下っている。またミズキの白い花穂が高いところで咲き誇っている。ミズキの白い花穂に気付く人は少ないようだ。。餌を運ぶシジュウカラが巣箱に入るのを発見するとしばらく立ち止まって出てくるのを待つ。人の作った巣箱を利用するのはシジュウカラだけだ。気をつけているとキンラン、ギンランも散見される。ウグイスカグラは花が終わり、今では熟した赤い実をつけている。わずかの数だがフタリシズカも咲いている。地味な白い花である。下流の貫井橋あたりにはもっと多くのフタリシズカが咲いているという。
鈴木さんがオープンギャラリーを始めて5年目である。私も初期の頃から参加させてもらっているがこの期間だけでも豊かな自然環境が身近で多く失われたことに気付く。「竹内家の大ケヤキ」で知られる一帯の畑地が土地区画整理事業で宅地に変わった。そのことでムクドリがネグラにしていた竹林、モズが子育てしていた地域と、そこにあった茶ノ木、ウツギなどが消滅した。最近では一橋大学の小平キャンパスの塀沿いにあったマテバシイを中心としたおびただしい数の大木が伐採された。おそらく見通しを良くしようという防犯上の目的だったのだろう。これで野鳥の貴重な食料である木の実が失われた。(上から順にエナガの巣、エノキの実、マルバウツギ、マユミの花)