玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*対照的な2冊

2009年05月04日 | 捨て猫の独り言

 新緑の中を自室で何するでもなくぼんやりしていると、ふと 「人は自分にとってよいと思われることをする」 という文句が浮かんで池田晶子の 「14歳からの哲学」 を引っぱり出してきて何度目かの拾い読みをしました。著者の断定を理解しきれないでいるのでしょう。

 ≪自分の外側にある道徳や法律がよいとし、また悪いとすることがよいことや悪いことなのでは決してない。よい悪いと判断する基準は、自分の内にしかない。「よい」 という言葉があり、「悪い」 という言葉がある。そしてそれらの意味をすべての人が知っているということは絶対的なことだ。「善悪」 という言葉を知ってしまった限り、人はよいことしか為すことはできない≫

 上の気がかりな文句とほぼ同時に 「人に知られるよりも死んだほうがましと思うような秘密がだれにも一つはある」 というのも浮かびました。これは遠藤周作の 「私にとって神とは」 の中にあります。これもまたパラパラとめくって、その箇所をさがしにかかりました。好対照な2冊ではないかと思われます。

 ≪普通の人から見たらなんでもないかもしれないけれども、親兄弟にさえ知られたくない秘密、それを知られたら死んだほうがましだという秘密はどんな人間にもある。その死んだほうがましだという秘密を、夜中に目覚めてかみしめたりすることがあるでしょう。昔子供の時、お手伝いさんなんかのものを悪気なしにとったことがありました。それが彼女にとってはとても大切なものだったのに、私がひきょうなため、自分がとったのにおれは知らんと言って逃げ回ったことがあります。・・・≫

コメント (4)
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