中央線の三鷹駅と立川駅の間は約13kmある。その間の道路と線路を立体化する工事が進行中である。99年から工事が開始されて08年には高架化が終了する予定という。面白いことに国分寺駅の線路と直角に交差する東側の道路は線路の下であり、駅ビルをはさんですぐの西側の道路は線路の上である。このように三鷹と立川間のうち国分寺と西国分寺間約4kmは自然の地形を生かした掘割構造で昔から立体化がなされていた。
この工事によって武蔵境、東小金井、武蔵小金井、国立の各駅が高架駅として新装される。その他の三鷹、国分寺、西国分寺、立川の駅舎は現状通りである。工事費用の負担は東京都および沿線6市が9割でJRが1割である。私が通う武蔵野赤十字病院のある武蔵境駅も大きく変わりつつある。ここは私鉄の西武多摩川線武蔵境駅があり、高架工事が同時進行中である。この7月1日に三鷹と国分寺間で下り線のみが高架に切り替わった。出来たばかりの高架を走る下りの電車に乗り、すれ違う上り電車を興味深く見下ろしていた。こんな風景を目撃するのも工事が終わるまでのあとわずかな期間である。ところで工事の手順などはどうなっているのか考えれば考えるほど思考の迷路をさまようことになった。そのために夜も眠れないほどだ。
今回の工事の特徴は都の用地買収が順調なために上下線共に仮設線路に移して元の線路があった位置に一度に上下線の高架を建設するというものだ。これだと工期が短縮できるので割安になる。これが後々問題を発生させることになる。工事中の踏み切りで横断距離および遮断時間が増えて開かずの踏み切り状態になったのである。この事に対する関係者の対応の拙さが批判されたことがある。いろいろあったが高架に切り替わり側道工事や踏み切り撤去後に沿線の景色がどう変わるのか楽しみだ。
わけても赤い三角屋根の旧国立駅舎は保存や復元の方法をめぐり市と議会が対立し一時紛糾した経緯がある。JRは新国立駅舎デザインなどは都と市を交えた3者ですでに合意済みであり合意案は構造上大きな変更は出来ないとしてあくまでも10年度の完成を目指す構えである。それに対して市は近く協議会を開催し今年度中に基本計画を策定すると後手に回っている。「赤い三角屋根の会」などの市民運動もあるがどうやらJR案に押し切られる公算が大きい。駅舎機能が全て高架内に取り込まれることで南北駅舎跡地の面積はかなりのものになるという。それがどのように生かされるか注目したい。国立駅前の大学通りは桜の名所である。