地球上には私の知らない動物や植物がいくらでも存在する。テレビの映像によってそのことを思い知ることが多い。私の残りの時間でその全てを目撃することは不可能である。宇宙船地球号に乗り合わせている全ての生命体の存在を考えることで敬虔な気持ちになる。
書家の榊莫山が解釈した良寛の漢詩がある。なんと凄みを帯びた詩ではないかと紹介している。「七十年は長かったのう・人の心にあきあきしたよ・雪ふる夜は人影もなく・線香一本わしゃ座禅くむ」 書家はどこに凄みを感じたのだろうか。この詩のことを聞いてなぜかテレビで未知の動植物に出会うことがどれほどの意味があるのかと考えて多少うろたえた。すべては人の心ではないかと良寛が言っているように思えたからである。
サルスベリの花は連日の猛暑のせいか朱色が際立っている。今年の八月は庭の片隅に黄色の大輪の花が咲いた。初めて見る花だ。聞けば花オクラという。花オクラはトロロアオイとも呼ばれ原産地は中国でハイビスカスと同じアオイ科である。高さは1mぐらい、花の直経は20cmぐらいである。午前中花を咲かせ、夕方にはしぼんでしまう。スーパーで売っているオクラのような実はならない。カリフラワー、ブロッコリー、茗荷、菜の花、食用菊などのように花を食べる野菜ということだ。
ところが花オクラはその形態から商品として店頭に並ぶことは難しいだろう。この夏は二株から収穫した花オクラを味わうことができるのは有難い。それにしてもネットの威力をあらためて感じている。先日も中央線の連続高架化事業についてネット情報で事業の全容を知ることが出来た。しかも官庁などより個人のサイトの方が批判的な視点も含まれて実態に近い情報を数多く知ることができた。花オクラについては盛りだくさんのレシピまでも簡単に手に入れることができるのである。