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玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

ひかがみ

2006年04月23日 | 捨て猫の独り言

 強風で八重桜が舞い散る様子はなぜか心が騒ぐ。そしてハナミズキが芽吹き始めた。ヤマボウシもそろそろか。玉川上水にも新緑のトンネルが形成されつつある。今年度で定年退職である。個人差があるというものの職場の62歳定年制は私にどんぴしゃりである。そろそろいいかなと自分でも思う。一番の理由は視力である。二番目は歯力だ。ただ長距離自転車通勤は最後まで続けられそうだ。

 「ひかがみ」 という人体の部位を示す言葉がある。詩人のエッセイで知った。だいぶ昔のことである。膝のうしろのくぼんでいるところである。言葉のひびきが気に入って言葉そのものを忘れることはなかった。デパートのエスカレーターで偶然女性のひかがみを目にした。自分の体とはいえ、ほとんどの人は意識することのない部位である。その無防備なひかがみをいとおしく感じたという内容であったかと記憶する。

 時代の空気というものが存在する。ひかがみを目にしたからとて、あの詩人のように感慨にふけることは少なくなった。今では数多くのひかがみは太陽のもとにさらされている。とくに高校生の女子は痛々しい。冬など特にそうだ。むきだしの太ももは寒さで真っ赤に鳥肌立っている。それにしても高校を卒業すると同時にむきだしがぴたりと止まるのは不思議な現象だ。

 ハナミズキは上から見るべき花だと言う説を聞いた。オフィスビルから街路樹のハナミズキを見下ろすのが一番かもしれない。ものの見え方や見方はさまざまである。こちらが自転車に乗っていて前を女性が乗った自転車が走っている。それを後ろから見るとき、長いスカートの中にひかがみを発見していとおしさを感じることがある。稀にこんな幸運な瞬間が訪れる。スカートは長く、本人がお気づきでない時がそうだ。

 

コメント (2)
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