新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

今年の博物館・美術館めぐりの最初はトーハク (後編)

2021-01-20 19:36:54 | 美術館・博物館・アート

「今年の博物館・美術館めぐりの最初はトーハク (前編)」のつづきも、「博物館に初もうで」放っておいて「日本のたてもの」展の見聞録です。

「前編」で書いた正福寺地蔵堂、カットモデルをしげしげと見ると、「斗栱」と呼ばれる組物「これでもかとばかりに連なっています。

2015年7月の信州旅行で、安楽寺八角三重塔を見物したときの記事に書いたように、

ふつう、この「斗栱」は、柱の上に組まれるものですが、唐様(禅宗様)では、柱の上だけでなく、柱と柱の間にも「斗栱」が置かれていまして、それが「詰組(つめぐみ)と呼ばれているそうです。

この「唐様(禅宗様)」は、「詰組」といい、先端が反り上がった屋根といい、正直、クドい

東大寺鐘楼も、まさしくこの唐様(禅宗様)
なにせ、東大寺大勧進職として鐘楼を建てたのは、かの栄西禅師ですから。

でも、やはり、私にとって、唐様(禅宗様)外連味がありすぎて、ちいと疲れます
一方で、慈照寺東求堂の屋根の、入母屋のなだらかな曲線を視ると、心が安らぐ感じ…

現物を拝見したとき(見聞録)には、銀閣(観音殿)よりも東求堂の方が気に入ったくらいです。

また、大仙院本堂もイイ(2015年7月の探訪記)

この模型はかなり凝っていまして、大仙院の名物とも言える枯山水の庭も、

「室中」というメインルームの、真ん中を板の間にした畳の敷き方とか襖絵も再現されています

凝った再現といえば、唯一「1/5縮尺」だった如庵も凝っていました。

玄関に相当する土間の敷石も忠実に再現されています。

ところで、この如庵は、建仁寺の塔頭・正伝院を再興した織田有楽斎が、その敷地内に建てたもので、現在は犬山市にあります(訪問記)如庵所有者と所在地の変遷を追うと、

正伝院(京都)⇒祇園町有志等(京都)⇒三井家(東京・麻布今井町⇒神奈川・大磯)⇒名古屋鉄道(愛知・犬山)←今ココ

と、なんとも数奇…

   

お次は、町家なんだけど、町家と呼ぶにはあまりにも町家に見えない今西家住宅(奈良県橿原市)

まるでお城です

安土桃山かよ なんて思ったら、慶安3(1650)年棟札があるそうで、当たらずといえども遠からずってヤツですな。
下世話な話ながら、こういう家って、固定資産税はどうなっているんだろか?

   

最後は、今回展示されていた模型の中で最大だった東福寺三門

現物の大きさでいえば、松本城天守が一番なんだろうけれど、あちらの縮尺は1/20なので、模型の大きさでは東福寺三門の勝ちかと…

冗談はさておき、小屋組とか斗栱とか、ほんとに見応えたっぷりです

もう一枚。

この模型は、国立歴史民俗博物館(歴博)の所蔵で、歴博のエントランスホールに根来寺多宝塔の模型(右の写真)と一緒に陳列されていました。この展覧会が終われば、また歴博のエントランスホールに展示されるんでしょう。

   

前編でも書いたように、この展覧会には19件の模型が展示され、模型の現物が展示されないものについては、パネル展示が行われていました。

そのパネル展示を見て気づいたのは、今回出品されていないトーハク所蔵の模型かなりあるということでした。

そもそも、トーハクがこれほど多くの模型を所蔵していたことすら知らなかったわけですが、めったに展示することのない模型を、この機会に展示してくれたらよかったのに…と思いました。
確かに、表慶館が会場であれば、今回の出品点数が限度でしょうけれど、平成館の特別展示室を使って、総棚ざらえしてくれたら良かったのに…

マンパワーとか、集客とか、色々課題はあるのでしょうけれど、こうなったら、今回はパネル展示だった模型を集めて、「日本のたてもの」第2弾を開催して欲しいぞ

以上です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今年の博物館・美術館めぐり... | トップ | 今年2度目の帰省中なんだけど »

コメントを投稿

美術館・博物館・アート」カテゴリの最新記事