新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

燕子花図屏風のポストカードは左隻が売り切れ

2015-05-10 20:37:59 | 美術館・博物館・アート

「燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密」@根津美術館に行ってきました。

根津美術館

会期末を来週に控えて、結構な賑わいでございました。
これが絵巻物だと、ケース前の行列に延々と並ぶか、最前列の人たちの隙間から覗き見るしかないのですが、この展覧会のメインは屏風絵ですから、多少混んでいても鑑賞に差し支えるようなことはありません。
そんなわけで「燕子花図屏風」「紅白梅図屏風」その他もろもろをじっくりと見物させていただきました。

この展覧会、図録冒頭に掲げられた根津館長「ごあいさつ」を引用しますと、

本年は、享保元年(1716)に59歳で没した尾形光琳の300年忌にあたります。それを記念して、当館が所蔵する「燕子花図屏風」とMOA美術館が所蔵する「紅白梅図屏風」、光琳が描いた2点の国宝の屏風を56年ぶりに一堂にご覧いただく特別展を開催します。
このふたつの屏風にもうかがわれる光琳のデザイン性に、あらためて注目したいと思います。光琳は、京都の高級呉服店を生家として美しい衣装に囲まれて育ち、また縁戚にもあたる本阿弥光悦や俵屋宗達によって生みだされた江戸初期の装飾芸術に親しみ、かつ新しい時代の感覚も取り込んで、独自の世界をつくりあげました。
本展では、光琳の「模様」のような屏風の系譜を宗達からたどり、光悦に関わりのある雲母(きら)や金銀泥による木版刷りが光琳に与えた影響を探り、さらに漆器の図案や弟・乾山に陶器の絵付けなども含めたデザイナー・光琳の営みを総覧します。

というもので、そのメインの「2点の国宝の屏風」は展示室に入って早々、「惜しげもなく」って感じで、並べて展示されていました。
いや、その前に、「2点の国宝の屏風」の手前に展示されていた伝・俵屋宗達筆の「蔦の細道図屏風」素晴らしかった

この作品は、7年前に東京国立博物館で開催された「対決 巨匠たちの日本美術」でも観たはずなのですが、改めてその斬新さデザイン性の凄まじさに恐れ入りました。
そして、使われている色の少なさといい、そのインパクトの強さ(実物のは美しかった)といい、散らされた蔦の葉から漂リズム感といい、光琳は絶対に「蔦の細道図屏風」を意識して「燕子花図屏風」を描いたな… と思いました。
もっとも、図録には、

少ないモチーフと色による幾何学的な構成という点でも似ている。影響関係まではいえないが、ふたつの屏風には、構想の基盤に相通じるものがある。

と書かれていましたけど…

さて、主役2点の屏風、、、さすが でした

どちらもで拝見するのは初めてで、これまで教科書事典ネットTVでしか見たことがなかったわけですが(「紅白梅図屏風」MOA美術館でレプリカをガン見)、やはり本物違います

カキツバタの花は2種の青ベタ塗りしているだけのようなのに、そして、葉はこれまた2種の緑ベタ塗りしているだけのようなのに、そよ風に揺れているようです。

それにしても、「燕子花図屏風」「紅白梅図屏風」も、修復を重ねてきたこともあるのでしょうけれど、発色がきれい
「紅白梅図屏風」の中央を下る「黒い川」は、で例の「光琳波」が描かれていて、それが黒く変色しているそうですけれど…

   

こうして、展覧会の冒頭で「ツー・トップ」プラス「蔦の細道図屏風」を観てしまうと、もう頭の中がこの3点で一杯になってしまい、この展覧会のもう一つの視点「デザイナー・光琳の営みを総覧」関連の展示は、上の空でした…

それでも一応、展示は全て拝見して、次は根津美術館を散策いたしました。

私、根津美術館にやって来るのは、きょうが初めて
ご自慢だというのは承知していましたが、まさかこれほどの庭だとは思いませんでした

なんだか「深山幽谷」って感じで、アップダウンはあるは、

とにかく広いは、なんという庭なんだろ

Wikipediaによれば、

美術館の敷地は江戸時代、河内国丹南藩藩主の高木家の下屋敷があったところで維新後、荒果てていたところを1906年(明治39年)に根津嘉一郎が取得して数年がかりで造園した嘉一郎の私邸跡で、現在も広大な日本庭園があり、庭内には茶室が点在している。

だそうで、根津さん私邸跡ですって

これほどの広大な庭を含む施設のロケーションというのが、

表参道交差点からブランドショップが軒を連ねるみゆき通り六本木通り方向へ10分ほ歩いた場所にあります。

いったい固定資産税はどのぐらいなんだろ… と余計な心配をしたりして。

それはさておき、この時期の見ものはこちらでしょう

本物カキツバタです

もう1

おそらく、根津美術館至宝「燕子花図屏風」にちなんで植えているのでしょうねぇ…

それならば、これもまた根津美術館が所蔵する国宝「那智瀧図」にちなんでがあってもよさそうなものですが、さすがに本物の那智の滝に(去年のGWに行ってきました 記事はこちら)見合うものをつくるのは無理ですな…

   

好天の下、新緑カキツバタを満喫した私は、ミュージアムショップで図録「紅白梅図屏風」ポストカードを購入しました。

ホントは「燕子花図屏風」のポストカードも買おうとしたのですが、どうしたことか、「燕子花図屏風」のポストカードは、左隻だけが売り切れ

右隻のポストカードはたっぷり在庫があるというのに、どうしたことなんでしょ

確かに、「燕子花図屏風」のポストカード1枚だけ買うとするならば、私も迷わず左隻を買いますけれど、

普通、右隻も併せて、セットで買いませんかねぇ…
私としましては、右隻だけ買ってもつまらないですから、

結局、ポストカードは「紅白梅図屏風」2だけ買うことにして、レジに並び、そして1万円札を出して購入しました(図録と合わせて2,200円)。

そして、お釣りをサイフに入れようとして気づきました

5千円札には「燕子花図屏風」の一部が使われていた
ほら

どこの部分なんだろうと思って、「燕子花図屏風」の図をしげしげと見つめますと、ありました

右隻の第4~6扇が使われていたんですなぁ。

なんだかとても良いシメになったような気がしたのでありました。

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