帰省5日目にして、今回初めて「街」に出てきました。
目的は、買物と美術館に行くことでした。
世の美術館・博物館は「月曜休館」のところが多いのですが、わがふるさと秋田市の「秋田市立千秋美術館」と「秋田県立美術館」は、展示替えや設備点検等を除いて、ほぼ「いつでも開館」という珍しい美術館です。
秋田市立千秋美術館では「秋田市制130周年・秋田市立千秋美術館開館30周年記念」と銘打った「ベストコレクション展」、秋田県立美術館は「平野政吉コレクション(藤田嗣治の作品群)」+「平野政吉コレクションの西洋画」と、どちらも両館の所蔵作品展で、したがって、観覧料はどちらも310円とお手頃で、両館をハシゴすれば合計560円
ということで、両館をハシゴしてきました。
観た順番とは逆になりますが、まずは秋田県立美術館のことから書きます。
平野政吉コレクションの中核をなしている藤田嗣治の作品群は、もう何度も新旧の秋田県立美術館で拝見していますけど、どれも良い作品です
中でも私のお気に入りは、「客人(糸満)」⇒ (1938)、「自画像」(1936)だな…
これに比べると、企画展「平野政吉コレクションの西洋画」の方は、藤田嗣治の「魅せられたる河」「小さな職人と商人」を除けば、正直見劣りする感じで、「これは」と思ったのは、ラウル・デュフィ「サーカス」くらいでした
一方の、秋田市立千秋美術館「ベストコレクション展」は面白かったぁ~
一般的に地方の公立美術館は、地元出身 or ゆかりの作家や作品と、目玉になる(人を呼べる) 大家の作品を蒐集するものですが、千秋美術館のコレクションもご多分にもれず、「ベストコレクション展」はこんな構成になっていました。
○秋田蘭画と同時代の画家たち
○秋田ゆかりの近代日本画家たち
○木村伊兵衛と秋田
○岡田謙三と秋田の洋画家たち
「秋田蘭画と同時代の画家たち」は、小田野直武、佐竹曙山(義敦)、佐竹義躬ほか、18~19世紀初の画家たちの作品が集められて、なかなかの見応え
そんな中、佐竹曙山「写生帖」の中から展示されていたのは「龍」
欧州の「ドラゴン」みたい、というか、翼を持ったトカゲみたいです
いったい元ネタは何でしょ
そういえば、曙山公 (久保田藩主ですから) の作品には、妙なスタンプが捺されていて、以前から気になっていました。
説明板によると、あれは曙山公の落款で、「Sergotter vol Beminnen」、オランダ語で「至高の海神」という意味なんだそうな
外国語の落款とはねぇ~
「木村伊兵衛と秋田」も良かったのですが、もっともふわぁ っとなったのは、「秋田ゆかりの近代日本画家たち」でした。
とりわけ、平福百穂の作品はどれも素晴らしくて、中でも「鉄線花」は、軽やかで清々しくて、この展覧会での「お持ち帰りしたい作品」の第一位でした
他には、寺崎廣業「舞妓・芸者」(芸者さんが実に粋でカッコイイ)、高橋萬年「野山芝」も良かった…
「ベストコレクション展」は、2月16日(日)・17日(月)の展示替え(休館)を挟んで、18日から後期展が始まるのだそうで、後期展にも行きたくなってきましたぞ
「2020年最初の関西旅行記」のさなかに、この記事を割り込ませてしまいましたが、関西旅行記とつながる話がありました。
平福百穂の杉戸絵「るり鳥」(1931)の説明板にはこう書かれていました。
百穂は、京都・養源院で見た俵屋宗達の杉戸絵に触発され、一度描いてみたいと思っていた。その念願がかない、近衛文麿の依頼で描いたのが、この杉戸絵である。(以下略)
ほえぇ~
ここで「養源院で見た俵屋宗達の杉戸絵」という文言を目にするとは思いもよりませんでした
「俵屋宗達の杉戸絵」そのものを、2週間前に養源院で観たばかりですから
というところで、明日からは「2020年最初の関西旅行記」に戻ります。