「2020年最初の関西旅行記 #2-2」のつづきも、江之子島文化芸術総合センター[enoco]から始まります。
第2回「なにわの企業が集めた絵画の物語」展を楽しんで1階に降りてくると、1階では、大阪府20世紀美術コレクション展「ココロヲウツス」も開催されていまして、無料だというので、こちらも覗いてみました。
大阪府は、20世紀後半に生まれた美術作品を中心に約7,900点におよぶ作品を収蔵し、多くの方々に鑑賞いただいています。これらのコレクションの魅力をより多くの人々に知っていただくこと、またこれらのコレクションの活用と展示の可能性を探ることの二つを目的として、昨年度から、気鋭の若手アーティストを招いて、新たな展覧会づくりの試みをはじめました。いわゆる“コレクション展”にありがちな、コレクションを収蔵する立場の人間ではなく、その枠の外で日々作品を生みだすアーティストという立場の人間の独自の視点と感性を通して、いままでにはない新しいカタチでの展覧会づくりを目指すものです。
その第二弾として、大阪を拠点に活躍する写真家、麥生田兵吾(むぎゅうだひょうご)を招聘し、2020年1月、「ココロヲウツス」を開催します。
というものでしたが、つまらなかった…
今回の展覧会で麥生田は、「曖昧なものを感じること、確かさを感じること、世界と心を感じること」をテーマに、独自の視点と感性で作品を選び、大阪府の収蔵作品群と自身の作品をともに並べ置き、そこから生まれる作品の不思議なイメージを探ります。
だそうですけど、理屈っぽ過ぎるというか、内省的過ぎるというか、観覧者を突き放しているというか、私に伝わってくるモノが無いのです。
美しいわけでもない、訴えてくるわけでもない、「わかんなきゃ、それでも結構」という感じで、なんともつまらない…
まぁ、こうした展覧会を観たことも、一つの経験にはなりましたけど…
enocoの前に石柱が立っていました。
「𦾔大阪府廳(=旧大阪府庁)」と刻まれていまして、その下には説明書きがありました。
大阪府庁跡地
大阪府庁は、初代庁舎である旧西町奉行所から、明治7年に江之子島に新築・移転され、大正15年までの半世紀の間、大阪府政の中心となりました。 この2代目庁舎は、中央にドームのある洋風建築であり、その壮麗な大建築は、府民から江之子島政府と呼ばれていました。
ちょっと話がずれますが、大阪町奉行所は、「東」と「西」の月番体制なんですねぇ。 江戸の町奉行所みたいに「北」と「南」じゃないのは何か理由があるのだろうか? 「キタ/ミナミ」と勘違いするから、とか…
それはともかく、Wikipediaに、その「江之子島政府」こと2代目庁舎の写真が載っていました。
木津川に面して立っていたんだ…。
現在はまったく面影がありませんな。
enocoを後にした私は、この日 3つ目の目的地、国立国際美術館(NMAO)を目指し、木津川橋で木津川を、そして端建蔵橋(はたてくらばし)で土佐堀川をそれぞれ渡って、中之島に「上陸」(?)しました。
毎度思うことですが、土佐堀川辺りって、旧国名のついた地名・橋がメチャクチャ多い
土佐堀川自体がそうだし、先ほど地下鉄を降りた阿波座、さらには、越中橋、筑前橋、肥後橋とズラズラです。
この界隈には大阪ネイティブじゃない人が多く住んでいたのでしょうか?
江戸時代、中之島周辺には全国各藩の蔵屋敷が集中していたといいますから、その影響もあるのでしょう。
それはともかく、8年半前に「THE TOUR OF MISIA JAPAN SOUL QUEST」を聴きに来たグランキューブ大阪、
2度ばかり泊まったことのあるリーガロイヤルホテルの前を通り過ぎると、NMAOのトサカ(?)が見えてきました。
この界隈、何年経っても駐車場だらけで変わらないなぁ~と、思ったら、田蓑橋南詰の角地が工事中で、養生壁には、
「大阪中之島美術館2021年度開館予定」ですって
大阪市は、大量の佐伯祐三の作品を所有していながら、それを展示する器が無い なんて話を聞いたことがありますが、もしかすると、遂にその器ができるのか? と、調べたところ、こちらによると、
西洋近代美術をはじめ、日本近代美術、現代美術、デザインなど多岐にわたる5,700点超のコレクションを所蔵する。モディリアーニの裸婦像や、具体美術協会のリーダー・吉原治良の作品を揃える他、洋画家の佐伯祐三作品は、日本最大級の57点所蔵される。 コレクション展示の他、大規模巡回展に対応可能な関西最大級の企画展示室も用意。
ですって
「工事完了予定 平成33年6月30日(予定)」とあるけれど、美術館の場合、建物の竣工から開館まで1年半くらいかけて建物を安定させる必要があるんじゃなかったっけ?
でも「2021年度開館予定」とあるしなぁ…
まぁ、気長に、楽しみに待ちまひょ…
関西電力の威圧感溢れる本社ビルの前を過ぎると、9年半ぶり2度目の訪問となるNMAOです
前回は、横尾忠則の個展(記事)と束芋の個展(記事)の豪華2本立てを楽しんだんでしたっけ…
現在、NMAOでは、「インポッシブル・アーキテクチャー-建築家たちの夢」が開催中ですが、この展覧会は去年の3月に埼玉県立近代美術館で観ておりまして(2019年に私が観た展覧会のTOP 3でした:記事)、今回のお目当ては、「映画ポスターにみるロシア・アヴァンギャルド NFAJ所蔵《袋一平コレクション》より」(観覧無料)。
私の蔵書に、ロシア・アバンギャルドによる映画ポスター集がありまして、
もともとロシア・アヴァンギャルドに興味を持っていたところに、2週間前に発売されたMISIAのNEW ALBUM「MISIA SOUL JAZZ BEST 2020」のアートワークが、まさにロシア・アヴァンギャルド風で、カッコイイったらありゃしない
そして、このアルバムを引っさげて開催される「Misia Soul Jazz Big Band Orchestra Sweet & Tender」を聴きにやって来た大阪で、ロシア・アヴァンギャルドのポスター展が開催されているとは、なんというタイミング(「インポッシブル・アーキテクチャー展」の関連展示なのだと思う)
この展示は、
NFAJ(国立映画アーカイブ)がデジタル化した収蔵資料の活用の試みとして、ソヴィエト連邦初期の無声映画時代に作られた映画ポスターを取り上げます。ステンベルク兄弟、ロトチェンコといったロシア構成主義の芸術家を含むデザイナーが手がけたポスター10 点を選んで高い精度の複製を制作し、国立国際美術館に展示することになりました。
これらはいずれも、ロシア文化の研究家・翻訳家で、一時はソヴィエト映画の輸入配給に携わっていた袋一平(ふくろ・いっぺい)が 1930 年にソヴィエトへ講演旅行に赴いた際、現地の関係者より贈られたものです。この小展示を通して、宣伝性にとどまらぬ映画ポスターの美や歴史の一端を感じ取っていただき、映画文化の豊かさを新たに発見していただければ幸いです。
というもの。
「小展示」というだけあって、こじんまりした展示でした。
タイトルが、柱の一番下にあるなんて、これもまたアヴァンギャルド
仰望的な構図や強調された遠近感が特徴のロシア・アヴァンギャルドは、デカい画面で観ると、迫力が違うなぁ~ いいなぁ~
ところで、「MISIA SOUL JAZZ BEST 2020」は、どうしてロシア・アヴァンギャルドのデザインを採用したんでしょ?
上に載せた3枚のポスターの真ん中、 「カメラを持った男」のポスター(by ステンベルク兄弟)」なんて、こちらとそっくり
どう見ても信藤三雄さんがステンベルク兄弟をパクってますけど、ここまでそっくりだと、ステンベルク兄弟に対する信藤さんのRespectが感じられるし、カッコイイし、アルバムにピッタリなので、許します
「映画ポスターにみるロシア・アヴァンギャルド」を観終えると、予定どおり「インポッシブル・アーキテクチャー」を観ることなくNMAOを出て、たらたらと大阪の街を歩き始めました。
筑前橋で土佐堀川を渡ると、そのまま東へ…。
時刻は13:30頃で、「Misia Soul Jazz Big Band Orchestra Sweet & Tender」の開場(16:00)までは時間がたっぷりあります。
これなら、一旦ホテルに戻ってのんびりしよう ということで、大阪女子マラソンの観客やスタッフで大賑わいの淀屋橋から御堂筋線に乗って、新大阪に戻りました。
こうして、関西旅行2日目前半の活動を終えた私は、ホテルの自室で淹れたアイスコーヒーを飲みながら、「Misia Soul Jazz Big Band Orchestra Sweet & Tender」初日のセットリストを整理したりして、大阪城ホールへの再出撃に備えたのでありました。
この日のMISIAのライヴのことは「MISIA SJBBO S&T 大阪2日目のこと」で書きましたので、旅行記2日目編はこれにて完結
ところで、きょうは、「Misia Soul Jazz Big Band Orchestra Sweet & Tender」横浜公演の初日です。
今夜の私の座席は、センターの真ん中辺りの左端右端とビミョーな位置…
荷物の置き場には苦労しませんが、見切れがあるんだろな…
でも残り2公演ですから、思う存分、楽しんできますよ
きょう、現地でお逢いする皆様、よろしくお願い申し上げます。
【追記】「つづき」を表示しようと作業するうち、記事全体がグチャグチャになってしまいました。
なんとか復旧に努めましたが、一部、オリジナルから変更された部分があります。悪しからずご了承ください。 (2020/02/04 16:23)
つづきのようなもの:2020/02/02 MISIA SJBBO S&T 横浜初日のこと
旅行記のつづき:2020/02/04 2020年最初の関西旅行記 #3-1