三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

ぎなた読み

2022年06月11日 | 日記

ぎなた読みという言葉があります。
「弁慶が、なぎなたを持って」という文を、「弁慶がな、ぎなたを持って」と間違えて読むように、文章の区切りを間違えて読む、もしくは文章の区切りをわざと変えて読むことです。

本を読んでて、ぎなた読みをしてしまうことがあります。
以下、ぎなた読みをした文章です。

その後妻から
○その後、妻から
×その後妻(ごさい)から

この間彼から
○このかん、彼から
×このあいだ彼から

夢を語っておかずにはいられない
○夢を語っておかずには、いられない
×夢を語って、おかずに、はいられない

二三十年後
○20~30年後
×二百三十年後

女の死後は城に運んで積み薪で焼却した。
○女の死後は城に運んで積み、薪で焼却した。
×女の死後は城に運んで、積み薪で焼却した。

熱くそして丁寧に語ってくれた
○熱く、そして丁寧に語ってくれた
×熱クソして、丁寧に語ってくれた

この先先生になる
○この先、先生になる
×この先先、生になる

モーターの音響かせて
○モーターの音、響かせて
×モーターの音響、かせて

布にひびをよせてはかまのように
○布にひびをよせて、はかまのように
×布にひびをよせては、かまのように

毎日新聞を読む
○毎日、新聞を読む
×毎日新聞を読む

それに関したまに発生する
○それに関し、たまに発生する
×それに関した、まに発生する

かっこいいと事件のつながりがわからない
○かっこいいと事件とのつながりがわからない
×かっこいいと、事件のつながりがわからない

その前社長が
○その、前社長が
×その前、社長が

今度のむなくそ悪い事件
○今度の、むなくそ悪い事件
×今度のむな、くそ悪い事件

すぐにでも口をとじて
○すぐにでも、口をとじて
×すぐに、でも口をとじて

警備員を相手にはなれそうもない
○警備員の相手には、なれそうもない
×警備員の相手に、はなれそうもない

その裏にはある種の純真さが
○その裏には、ある種の純真さが
×その裏にはある、種の純真さが

危険なくその恐怖を
○危険なく、その恐怖を
×危険な、くその恐怖を

今日本人の告白に
○今日、本人の告白に
×今、日本人の告白に

漢字が続くと熟語かと思うし、平仮名が重なるとどこで区切るのか迷います。
福島政雄『宗敎的自覺と敎育』は昭和4年発行の本で、やたら漢字が多い。
軈て、併し、凡て、屹度、其儘、詰り、互って、筈がない、教へて呉れて居る、斯う云ふ訳、など。
なんのことかとまどうこともありました。

兎に角有難い
其処迄此方の
尚出来れば宜い
尤も苟も

親鸞は漢文の読み替えをしています。
たとえば『無量寿経』の十八願成就文です。
「諸有衆生 聞其名号 信心歓喜 乃至一念 至心回向 願生彼国 即得往生 住不退転」

浄土宗では「あらゆる衆生、その名号を聞きて、信心歓喜して、乃至一念、至心に回向して、かの国に生ぜんと願ずれば、すなわち往生を得て、不退転に住す」と読みます。

しかし、親鸞は「あらゆる衆生、その名号を聞きて、信心歓喜せんこと、乃至一念せん。心を至し回向したまえり。かの国に生まれんと願ずれば、すなわち往生を得て不退転に住す」としています。
誰が回向するのか、回向の主語を変えているわけです。
これは意図的なぎなた読みじゃないでしょうか。(×なぎなた読み)

コメント
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