創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

巡回展

2017年04月15日 | 日記
 
第40回 伝統九谷焼工芸展。
石川県立美術館の展示を終え、
現在は九谷資料館で行われている。
 
 
好景気が去って何十年になるだろうか。
資料館のある場所は、通称九谷団地とも言われ、
多くの観光客や九谷焼を買い求める人々でにぎわっていた。
 
ところが現在、ほとんど訪れる人は居なくなった。
門前の九谷焼の店も廃業したり、経営は難しい現状。
 
若い人を育てる施設も完備されてはいるが、
卒業しても受け入れてくれる事業所が無い。
数年前、福岡の青年が私を訪ねてくれ、
現状を話してくれた。
 
石川県に来て2年間、ロクロ、上絵と勉強しましたが、
卒業したからと言って、どこにも就職先のあてもなく、
地元に帰り進むべき道を探します、そう彼は話した。
 
 
何のお手伝いもできなかったが、
何かあれば連絡してくれるよう、伝えた。
九谷で勉強した青年、今はどのように過ごしているのか。
 
 
伝統産業を守る、継承していく、言葉では簡単に表せるが、
実際に行おうとすると、かなり我慢を強いられる。
理想と現実は、あまりにもかけ離れている。
 
ロクロ師も殆どいなくなり、
これから先の九谷焼はどうなるのだろうか。
 
九谷焼=上絵、と世間では知られている。
けれど、その上絵を描くための素地が絶対に必要である。
作品ともなれば、ある程度の大きさを切望し要求される。
 
その素地を作る人を育てなくては、いつかは滅びてしまう。
私は若い時に、素地を作ることから修業を始めたが、
中々収入を得ることができなかった。
毎日毎晩、遅くまで練習し、
ようやくロクロを操れた。
 
さて現在の若者や仕事に就こうとする人たち、
地味な仕事の伝統産業、日々の鍛錬をどこまで我慢できるか、
どこまで踏ん張ることができるか。
 
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2 コメント

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Unknown (島田修一)
2017-04-18 00:15:58
下地を作る人がいなくなることが現実的にわかっていながら誰もそこにテコ入れしないということは、それだけの文化で廃れるってことなのでしょうか?自然の淘汰の摂理なのでしょうけど、それも何とかならないものかとこの文化に携わっている誰かが声をあげて立ち上がらないといけないんでしょうね。誰も助けてくれない世界なので…。きっとそれが継承する人達の義務なんでしょうね。
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島田 様 (堂前)
2017-04-18 09:39:20
どんな仕事も同じことが言えますが、
縁の下の力持ちではないけれど、その人たちを支える必要があります。
その方たちが居て初めて表舞台に立てるのです。
低収入、汚い仕事、キツイ仕事、正直したくはないですね、気持ちは分かります。
国の礎(いしずえ)は文化と共に成長していると思います。
それだからこそ国が、行政が指針をもって進めないと滅びます。
魅力ある文化、仕事が日本にはあふれています。
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