創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

秋空に

2010年09月30日 | 日記

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       朝日を受けて



   窓辺の大モミジ ・ マンゲツ

窯焚きの朝、勝手口で待っているトラちゃんの「 おはよう~ニャ~ン 」の声を聴きながら、
居間のカーテンを開けた。  つい先日までの強い陽ざしと異なって、
そこはかとなく侘しさを感じた朝日・・・・・この感覚、なぜだろう?

朝ごはんをせびっているトラちゃん、勝手口の扉を開けると同時に、
勢い良く台所に飛び込んで来て、足元にまつわり付いてきた。
「 分かったよ 」と言いつつ、トラに朝ごはんを与えた。
それから私の朝食の準備。

今日もゴーヤのジュース。  材料はゴーヤ、パプリカ、低脂肪牛乳、そして完熟バナナ。
ガーっという、物凄い大きな音に慣れたのか、トラは物怖じしないで朝ごはんを食べている。
「 トラ、おいしいかい? 」 「 ニャ~ン 」と顔を上げて返事を返してくれた。
愛しいトラ、去年の事を思い出すと身の毛がよだつ。

右足が折れ、体中血だらけでガリガリに痩せて一ヶ月ぶりに戻って来たトラ、
いまも不自由ながらも、片足で動くことに慣れたのか、いつものトラに戻っている。
そんなことを思い出しながら、コーヒーが沸くまでトラの体を撫でてやった。 

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   秋空

トラも私も朝食が終わり、窯にも火が入り、よい焼き上がりになることを祈りつつ、
前庭の畑に出てみた。

まだ低い位置にある朝日に照らされているゴーヤ、
もう枯れてしまうかと思っていたのに、先日の雨で息を吹き返し、
小さい花芽を沢山付け始めていた。

これなら当分の間、ゴーヤジュースを楽しめそう。
でも、バナナの代わりになる果物を探さなければ。
猛烈な酷暑で果物の出来は悪く、リンゴなどは売り物にならないからと捨てられている。

ときおり取材で訪れるヨーロッパの朝市、マルシェ。
そこで売られている果物はビックリするくらい不揃いだらけ、でもリンゴはリンゴ。
出店の主人とやり取りしながら、客人たちは好みの果物や食材を買っていた。
当然ながら私も値段交渉しつつ、果物などを買い込んで。

では日本では? 不揃いの野菜や果物は当然、当然と言う言葉を使うのがはばかるくらい、
廃棄処分に。 先日もテレビに沢山のリンゴが廃棄されている場面が映った。
折角丹精込めて作られた野菜や果物、なぜ捨てる? 
汚いところは切り落として、食べられるところは普通に食べればいいのではないか?

すべてが揃っているものばかりが野菜や果物ではないはず。
母が作っている野菜、そして我が家の野菜は農薬を使わないから全部が不揃い。
しかし、それらの野菜は安心して食べることが出来る。

美しく揃った農産物を作るためには、それなりの農薬散布の処方が必要である。
不揃いであろうが、安心して食べられる食物を供給出来る仕組みにならないものか。
不作、不作と言いながらも、少しばかり基準から外れているといって捨てられる農産物、
まずは消費する人々がそれでもかまわない、の意識を持っていただければ、
食べられる農産物はいくらでも手に入る、そうすれば行政も変えざるをえないはず。
ぜひ意識改革をしてほしいものだ。

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   ゴーヤの赤ちゃん

さて、再び元気を取り戻したゴーヤ、
個展で仙台に出かけている間、どのように育つのだろうか。
さすがに真夏ほどに、すぐ完熟して黄色くならないと思うが、
沢山の大きな実がぶら下がっている事を願いたい

今回の窯焚き、小皿や小鉢類が沢山入っている。
今日の空のように、青く、また白く澄んだ作品となって窯から出てくることを願っている。


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しば漬け作り、そして窯焚き

2010年09月25日 | 日記

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   釉薬がけ準備

ようやく作品整理も終了し、一つ一つ割れないようパッキンでしっかりと包み、
更に大箱に入れ、その周りにもパッキンで保護し、いつでも発送できるところまできた。

実のところ数回窯焚きを失敗し、心痛めると同時に作品が揃うか大変心配したが、
これなら良し!といえる作品もすべて準備できた。
個展に多くの方々に来ていただき、作品をご覧頂きたい、その願いでおります。

日常お使いいただく作品の数が足らないため、その準備に取り掛かった。
出品作品と同じものを予備として、もう一度窯を焚こうと思い準備を始めた。

仕事の段取りをしていたら電話が掛かってきた。 声の主は母。
先日買って植えた葉物の野菜、キャベツ、白菜、ブロッコリーに又虫が付き始めた・・・と。

さて困った。 苗は2回買ってきて全滅し、今また虫に襲われているという。
どうしたものかと、とにかく畑に出かけた。
確かにやわらかい葉っぱが虫達に食べられている。
さりとて農薬消毒は好まないし、どうしたものやらと頭を抱えてしまった。
前回ほどの被害は出ていなく、とりあえず様子を見ることにした。

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   畑のシソ

穏やかな天気で、隣の畑にも町内の人が畑仕事に来ており、
その畑には見事なくらいのシソが大きく育っている。

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   丁寧に一枚一枚洗う

先日何気にテレビを観ていたら、老夫婦が「 自家製のしば漬け 」を作っている場面がでていた。
それを思い出し、出来れば一つかみ分けて欲しいと頼んだら、好きなだけどうぞ、と。

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   水切り中のシソ

お心に甘えて、一つかみのシソ、と言ってもかなりの量のシソを分けてもらった。
早速キレイに洗い、しばらくのあいだ水気を切った。

ある程度水気がなくなった時点で、我が家のナスを5ミリ厚さに切りそろえて水にさらし、
アク抜きを行った。 水気がなくなったところでシソとナスを良く混ぜ、
適宜の塩を振って更に混ぜ、清潔な桶に新品のポリ袋を入れ、すべてを入れて漬けた。

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   ナス切りとアク抜き

テレビでは、一ヶ月も経てば美味しい自家製のしば漬けが出来ると言っていた。
初めて漬けた、しば漬け、さてどのように漬けあがるか楽しみでもある。
一ヵ月後と言えば、個展も終わり、家に戻って個展後の整理を行っている頃だろう。
個展の成功と、ウマイしば漬けを食べたいものだ。

畑に行ったり、急きょ、しば漬けを作っていたりして、肝心の作業予定がずれてしまった。
再び工房に入って次の仕事の段取りを済ませた。
いずれにしても個展に出かける前までに、もう一度窯を焚く予定。
何とか思い通りの焼き上がりになるよう、心込めなくては。


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秋祭りに咲く、白芙蓉

2010年09月20日 | 日記

いつの頃からか、はっきりと覚えていないが我が町内の秋祭りは第三日曜日になった。
しばらく小雨の日が続いていたが、祭りの日は気持ちよく晴れ渡った。

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   白芙蓉

カイヅカイブキの垣根の脇に、白芙蓉がまぶしいばかりに満開となっていた。
真っ青の秋の空に映える白芙蓉、「 うつくしい 」の一言。

夏の盛りに白色のサルスベリを撮ったが、
白芙蓉の花びらは、ややもするとハイビスカスの花びらにも似て。
触れてみたいが破れてしまいそうで触れられない。
花を観察していると「 ピーヒャララ・・・」と子供獅子が家にきた。

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   町内の子供達


    向こうに神社

ひときわ大きく、「 こんにちは~!」と、お札を持ってきた。
お祝いに金一封を渡すと、「 ありがとうございます!」と、これまた気持ちよい返事。
キチンと挨拶できる子供達、なんだか清々しい気分になった。

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   太鼓を打つ少年

ドン、ドン、ドドドーン、と太鼓が響き渡り、
いよいよ子供獅子舞が始まった。

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   獅子舞

二人の男の子が太鼓のリズムと笛を奏でる子供達の加勢で、勢い良く舞い始めた。
玄関前で勢いをつけて舞う子供獅子。

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   厄払いと

   清めをするように

仙台、藤崎個展ももうすぐ、そのことも祈って玄関を開け放し、
準備してある作品達にも幸せが訪れてくれるよう、舞ってもらった。

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   箱に詰めた

   準備中の作品

気持ちよく晴れ渡った日曜の秋祭り。
子供獅子で作品達も清めてもらい、作品を送り出す日まで慎重に作業を続けなければ。

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   垣根に寄り添う、白芙蓉

我が家から隣、その又隣と獅子舞を続けていく子供達、
良い日に恵まれてよかったな、と思い、先ほどの芙蓉を再び観察した。

今回出品する白磁作品、この芙蓉のように優しい雰囲気が出ているのでは、と。
白磁壷から種々創り上げた白磁作品、他の作品と共にぜひともご覧頂きたく思っています。


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作品整理

2010年09月15日 | 日記

あと1回の窯焚きを残しながら、個展作品を順々に整理している毎日、
それもようやく後半にまで漕ぎつける事ができました。

整理が終わった作品を撮影し、桐箱や仮箱に詰める作業を行っています。
桐箱は非常にやわらかく、運搬途中で痛んだりしますので仮箱に詰めざるをえません。
小さい作品は桐箱に入れて送ることができますが、大きな作品はとても無理、
その為、お買い上げ頂いた時点で桐箱を作ってもらうことにしております。
その方が美しい桐箱を御届けできるのです。

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   日常作品の整理

くみ出し碗やマグカップ、ゆのみ、皿などの普段使いの作品を化粧箱に入れている場面です。
一つ一つを点検し、それらが終了した時点で同じく写真撮影を行います。
これまではネガフィルムで撮影していましたが、数年前からコンパクトデジタルカメラを使用。
デジタルカメラの利点は、その場で撮影確認が出来るので大変便利。

出来るなら一眼レフカメラを使いたいのですが、贅沢な気もしてコンパクトカメラを使っています。
これまで使っていた、ネガフィルム用の一眼レフカメラは今後使用するか分からないけれど、
湿気取りなどを添えて大切に保管。

さて、個展のご挨拶も書かなくてはならないし、作品の整理も行わなくてはならないし、
もう1回窯を焚く必要があるしで、頭の回路は目まぐるしく回転しているはず。

昨晩、何気にインターネットを見ていたら、「 あなたの脳年齢調査 」があり、
挑戦してみました。  何と結果は30歳前半、と判定。
これは思考が30歳前半ではなく、いかに早く脳が起動するかのテストですので・・・。

ま、その結果が私にとって嬉しいのか否かは分かりませんが、脳が若いだけでも良しとしよう。
実年齢は、あと半年で還暦。 とてもではないけれど信じられません。
若い時、還暦近くの方々とお話しさせていただく機会がありましたが、
その方々と交流させて頂き、なんと素晴らしい生き方、考え方をされるのかと感心しきり。
そしていま、私がその年齢。 冷静に自身を見つめていますと・・・なんともはや。

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      西の空


   梯川の堤防から

なんだかんだと思いをめぐらし、ステレオから好みの音楽を流しつつの作業を続け、
夕方の爽やかな風が渡るころ、梯川の堤防へ散歩に出かけてまいりました。

台風9号が通り過ぎてから急に秋めいてきて、空にも変化が出始めてきておりました。
特に今日の空は不思議な光景、何とも珍しい雲が夕陽に照らされて。
飛行機雲ならば軌跡があるはずなのに、この雲は少しばかり様子が違っていました。

まるで空から水滴が落ちて、それが跳ね上がった感じにも見えるから不思議。
いままで見たことのない雲の形に、しばしの時間その変化を観察。
かなりの時間、同じ状態を保ちつつ、滴は時間の経過と共に西の空に溶け込んで。

珍しい自然現象を見ることが出来、今日の散歩は至極満足。
この満足を持続しつつ、気持ちを込めて作品整理を行おうと思っております。


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垂れる

2010年09月10日 | 日記

個展まで一ヶ月をきりました。 いよいよ焦ってきました。
あれもこれも、何もかもしなくては、そんな思いで工房を出たり入ったり。
事実、実行しなくてはならないのです。

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   午後5時・鎮守の杜

先日の台風9号、どういう訳か、はたまた運が良かったのか急にコースを変えてくれ、
若狭湾から真っすぐに小松に向かってくるはずだったのに、白山の南側を通り岐阜県へ。
今回も台風の被害を免れ、雨風(あめかぜ)も大したことなく普段と変わらない北陸だった。
白山がど~んと構えているお陰でしょうか、何事も無く過ぎたことに感謝。
しかし台風通過で甚大な水害が出たところも多々あり、心よりお見舞い申し上げます。

個展準備の最終段階に入り、気持ちを落ち着かせるために台風一過の今日、
太陽が西の空に傾き始めた夕方、外に出てみました。
台風襲来の土曜日曜に殆どの家が稲刈りを済ませ、
あと少しだけ鎮守の杜周りに稲が残っていた。

実るほど垂れる稲穂かな・・・天候に恵まれ大豊作のコシヒカリ、
もっと米を食べるようにならないかと願っている毎日。
日本人の体質には米が一番合っている。

戦後からずっとこのかた小麦製品を奨励してきた前政権、
そのひずみの表れで米作りを止めざるをえない農家もあり、減反が年々増えて来ているようだ。

オシャレか何か分からないけれど、若い女性達は菓子パンやサンドイッチを食べている。
痩せなくてはと言いつつパンを食べている。 麦は米に比べてカロリーも高く、
体に吸収されるのも早く、本当に痩せたいのならゆっくり吸収される米食をおすすめしたい。

と同時に異常気象が起き、輸入に頼っている小麦が手に入らなくなったらどうする?
米を食べなくなり、稲を作らなくなって農業を諦める人が増えている昨今、
目の前の重く垂れた稲穂、来年はもっと増えるようにと鎮守の杜に願いを込めた。

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   青磁釉薬

垂れるは垂れるで、釉薬が垂れるのは心が痛む。
私達はこの状態の事を「 釉薬が散った(ちった) 」と表現するが、
一般には「 釉薬が剥がれてしまった 」と言う方が分かりやすいかも。

青磁は釉薬を厚く掛け、高温で焼き上げる作品。
丁寧に気を抜かず、細心の注意で釉薬がけを行って焼き上げているが、
沢山の作品がこのような状態で窯から出てきた。

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   青磁輪花壷となるはずだった

今回の個展のために作った青磁用の作品、7割がた、このような状態に。
又かなりの窯変作品も釉薬が流れ落ちてしまった。

茶の湯の世界などでは「 釉とび、釉ちぢり 」などと、その景色が珍重されることがあるけれど、
私が求めている、青磁、白磁は完璧を求められる作品である。
窯変鉄釉薬、辰砂などは釉薬の現れ方の面白さを珍重され喜ばれるが、
さすがに「 釉とび、釉ちぢり 」は認められない作品である。

失敗を繰り返しながら準備してきた、今回の個展作品、
私が、「 これでよし! 」と合格点をつけた作品だけをご覧頂きたいと思っております。
個展まであとしばらく、心込め仕上げを行いたいと思っています。
重く垂れた「 稲穂のように 」。


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