創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

作品整理開始

2012年10月30日 | 日記

仙台、藤崎個展も間じかに迫って来て、
自分は出来る、絶対に間に合うと自身に言い聞かせて今日まで。

最終の窯焚きを慎重に行い、
還元焼成で美しく発色する、私の作品達、
微妙に窯の中の雰囲気を変えながら、窯焚きを行ってきた。

Photo

   還元炎


窯の中の雰囲気が変わる様子が、煙道から見える還元炎の濃さで判断。
簡単そうでいて、かなりややこしい微調整。 深夜に幾度も調整を行い、
時間をかけて窯焚きを終了した。

出来る限り、精一杯行ってきた。
今年に入ってから土練機の不具合や、私自身の体の調子を見ながらの制作。
何もかも一人で行っているので、何かにつまずくと中々調子が取り戻せなくなり、
困ったことも多々あった。

けれど最終の窯焚きも無事に終え、
焼きあがった作品を見て、本当に心から安堵。
この作品たち、仙台の方々はどのように思われるだろうかと、
ようやく作品の整理を行える段階までたどり着いた。

優しく、抱きしめてみたくなるような作品、凛とし、祈りをこめたくなる作品、
そしてホッと心和む作品、それらが焼きあがったように思っている。

Photo_5

   プランター


忙しさにかまけて、庭の草花の観察もろくに出来なかった昨今、
プランターの中から小花が沢山生えて、プランターから溢れんばかりの状態に。

Photo_3

   小花の集合体


小指の先ほどの小さな小花、
観察すると、さらに小さな花が集まって丸い形を作っている。
一つ一つは本当に小さいが、何百と集まるとこんなにも美しい花となる。

気温が下がり始めている今になって、急に咲き始めた。
作品の整理を行いつつ玄関先に出てみると、プランターの中一杯に咲いている小花、
けな気に咲いている小花、私も絶対出来る、そう勇気をくれているようにも感じる。

この花の横の植木鉢にはシャコバサボテン。
今年は何の手入れも出来なかったが、と言うより余裕が無かったと言う方が正しいが、
シャコバサボテンも負けてはいられないと思ってか、葉の先に蕾がいっぱい付いている。

これから冬に向かって咲き始めるシャコバサボテン、
仙台、藤崎個展が終わる11月末頃には咲き出す気配がする。
なにも手入れが出来なくてゴメンな、と言いつつ、雨が当たらない軒先に移した。

Photo_4

   ローズマリー


時間と競争しつつの作品整理、
ネコの手も借りたいところだが、トラちゃんの右腕は大怪我で曲がったきり、
トラも大怪我に負けずにシッカリと生きてくれ、私に元気を与えてくれている。

仕事の合間にプランターの小花を見たり、
前庭のハーブを観察したり。

友人のアルマンド神父が遺してくれた、ローズマリー。
彼の指導通りに植えたローズマリーも根付いて、株も大きくなってきた。

アルマンド神父が指導してきた、女声カルメンコーラス、
彼を偲んでのコンサートが、11月10日にカトリック金沢教会で行われる。
私もそのコンサートでバリトン担当で歌うことになり、個展準備と並行しながら
毎週土曜夜、金沢に出かけている。

そのコンサートに向けての練習も先日27日に終了し、
11月10日のコンサート本番を待つばかり。
個展準備を進めながら、楽譜を脳裏に浮かべつつ口ずさんでいる毎日。

コンサートも必ず上手くいく。 個展の準備もとどこおりなく、上手くいく。
再度自身に言い聞かせて時計を見ながら作業を進めている今。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

窯焚きの途中

2012年10月25日 | 日記

小春日和にふさわしい毎日、秋も深まってきているのに気温は高め。

個展期日間際になっても窯焚きを続けている。
ガス供給と温度を確かめ、歩きの運動に出かけた。
夕方にはまだ早い午後4時前、白山はほんの少し茜色を帯びてきたか。

Photo

   白山


それにしても良い天気が続き、気温も穏やかで気持ちが良い。
窯焚きで徹夜をしたり、作業の連続で寝不足が続いているが、
爽やかな秋風に吹かれていると、何となく気分がリフレッシュされる。

このあたりの稲刈りは9月中旬までにすべて完了し、
殺風景な風景となっていたが、その時から約一ヵ月半経過。
刈り取られた稲株から再び新芽が伸び、穂までも付き始めてきた。

暦を見なければ、この温かさと稲の状態を見る限り、梅雨後と錯覚してしまう。
その延びてきた稲も、ここ数日の間にトラックで耕かされ、再び秋色になってしまった。

Photo_2

   宵待ち草=月見草


堤防から眺める白山、かけはし川沿いの田畑、
すれ違う人々と挨拶を交わしながら、片道30分の歩きを続けた。

堤防の土手には宵待ち草。 この頃になって急に色鮮やかに咲き出した。
でも何故か背丈が低い。 例年だったら1メートルくらいの高さで咲いているのに、
30センチも満たない茎が延びているだけ。 何故だろう???

Photo_5

   綿毛


とにかく今日の歩きの運動は、周りを観察することに集中した。
歩いていると、今まで気づかなかったことまでもが見えてくるから不思議で面白い。
ついこの前まで沢山の白鷺がねぐらにしていた、対岸の柳の木、
今はひっそりと、柳だけが川面の風に揺れている。
白鷺はいずこへ?

渡り鳥が来るにはまだ早く、小魚を狙って青サギが水面をじっとみつめているだけ。
そんな景色を眺めながら、窯のことも気になりながら、ひたすら歩きを続けた。

宵待ち草と競い合うように、タンポポの綿毛が可愛らしい姿を見せてくれていた。
ふっと風が吹き付けると、種たちがフワッと風に乗って飛んで行った。

Photo_4

   落日


のどかだなあ、しずかだなあ、と思いつつ、折り返し地点まで。
歩きながら目に付く植物などを観察していたら、時刻は5時前になってしまった。

夕暮れが早まったこの頃、西の空にはまん丸い夕日。
明日も良い天気との予報、仕事も順調に進むようにと願いを込め、
夕日を背にして家路へと、今来た道を引き返した。

1時間の間に窯の状態が変化していないかと心配していたが、
窯の温度は順調に上がっていた。

さあ、これから青磁色を出す為に、窯内の雰囲気を変える作業を行わねば。
いま焼いている作品は壷類、希望の青磁色に焼きあがるよう、慎重に管理を行おう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

窯開き

2012年10月20日 | 日記

私が作っている陶芸作品、その種類によって温度がすべて異なる。
今回焼き上げた青磁、白磁作品、1300度に近い温度で焼き上げている。

前回焼き上げた窯変鉄耀作品(天目の一種)は、さらに温度が高い。
温度が高くなればなるほど、管理が難しく重要になってくる。

5~10度、または3~5分の差で作品の出来がガラッと違ってくる。
わずかの温度と、あっという間の数分間、その瞬間の間に釉薬が動くのである。
窯の火を止めるのに、何度も窯の中を覗き込んだり色味を出して確かめたり。

Photo_3

   大モミジ


   マンゲツ


先日窯焚きを行った作品、
どのような焼き上がりかと心配しつつ、居間のカーテンを開けてみた。
窓辺の大モミジ、マンゲツも赤みを帯びてきて、朝日を受けて美しい。
しばし見惚れていたが、窯の事が心配になってきた。

いつものことながら、窯開けをするときは本当にドキドキする。
たのむから、お願いだから、と心に祈りをこめて窯を開ける。

まだ熱くて素手で持てないので、軍手をはめて作品を一つ取り出してみた。
ああ良かった、青磁の色がとても美しく、希望の発色をしていた。
冷め割れすると困るので、とりあえず扉を閉め、次の作業を始めた。

Photo_2

   窯開け


そして今日、50度まで温度が下がったので扉を全開にした。
下段、中段、上段と、作品を一つずつ取り出してみた。
何とか希望の色合いに焼きあがっていた。

まだすべてを取り出していないが、
あすは作品の検品を行わなくてはならない。
その後、すぐに窯焚きの準備を行う予定でいる。

それにしても何故にこんなにドキドキするのか、
完璧に準備をして窯焚きを行っているのに、焼き上がりの率が極めて低い。
出来るなら全部の作品が合格点であればと願っているが、
私の作っている作品にそれを望むのは無理というもの。

そのような思いで窯焚きをし、ハラハラ、ドキドキして窯の扉を開ける瞬間、
そして最初に飛び込んでくる作品の焼き上がりと色合いに一喜一憂している。
あす取り出す青磁、白磁作品、何とか6、7割の成功率であってほしいと願っている。

Photo

   うろこ雲


作業の手を止めて外に出てみた。 我が家の上空には「 うろこ雲 」。
こんなにも立派なうろこ雲を見るのは久しぶりの気がした。
モクモクと、とても立体感のある、うろこ雲。

我が家の周りや、その近辺は農地が広がっている。
随分前より、赤とんぼの姿が見えなくなってしまった。
農薬散布の影響と思うが、小さな命が消えてしまう現実、
その内に我々の体にも何らかの影響が出るかと心配をしている。

けれど、はるか上空の雲は秋の風情。
うろこ雲も以前ほど頻繁に見られなくなってしまった。
せめてもう一度、赤トンボの飛び交う環境に戻って欲しいと願いながら、
首が痛くなるほど、うろこ雲を眺めていた。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

徹夜の窯焚き

2012年10月15日 | 日記

先日行った、窯変鉄耀(天目)作品の焼成、
窯の温度も50度くらいに下がり、窯開きを行った。
祈りこめ、天高く魂が届くようにとデザインした、蓋付き壷、
空に輝く星々のように、きれいな結晶が全面に出ていることを願いながら、
恐る恐る窯の扉を開けた。

丁寧に、そ~っと一つ一つ窯から取り出し検品。
祈りこめた蓋付き壷、すべて上出来の焼き上がり。
これ等の作品がうまく焼きあがっていれば今回の窯焚きは成功。

他に、大壷、小壷、これ等も6割から7割の出来で焼きあがった。
中には結晶が出ていなかったり、釉薬が溶けすぎて垂れてしまったり。
窯変鉄耀、別名天目、やはり難しい。 一つとして同じものが焼けない。

それが魅力で焼き続けているが、望み通りの焼き上がりになっている作品をなで、
その姿に一瞬の幸せを感じた。 そう、ほんの一瞬だけ。
次はさらに良いものをと、準備開始。

Photo

   白磁釉薬


透き通った美しい水色の青磁、そして氷河の氷を思わせる、私独自の白磁、
その釉薬がけの準備に取り掛かった。 今回は日常使っていただく作品達。

私の白磁は真っ白ではない。心もち水色がかっている。
そのほうが真っ白より品が良く、美しい白色に見える。
青磁と同じく、釉薬を厚くかけて白色を発色させている。

Photo_2

   角小鉢


釉薬を厚く掛けるのは至難のわざ、
いかに釉薬を厚く掛けるかと、何度も何度も試行錯誤し、
現在は何とか厚くかけることが出来るようになったが、
毎回毎回その度合いに難儀しているのが現実。

青磁、白磁も厚くかけなければ美しい発色となって焼きあがらない。
水が深くなるごとに色が濃くなっていく、その原理である。

Photo_3

 素焼きと
    釉がけ後


何の道具も釉薬の濃さを測る機材も持たぬ私、
いつの間にか身についた「 感 」で釉薬がけを行っているが、
何十年も行っていても、どういう訳か完璧な仕事は出来ない。

同じようにしているはずなのに、焼き上がりを見れば未熟さが露呈してしまう。
先日焼いた窯変鉄耀作品にも同じことがいえる。 慎重に行ったはずなのに、
6~7割の焼き上がりとなっている。 もちろん窯の火の回り方も関連するが、
それもこれも私の計算が完璧でない証拠である。

Photo_4

   貴船菊


小鉢、平皿、煎茶碗、マグカップ、などの釉薬がけが終了したのは日曜夕方。
ほっと一息つき、まだ明るい庭先に出てみた。

となりの空き地には秋明菊(貴船菊)が満開。 風が止んで楚々とした姿が美しい。
以前この花をデザイン化して作品として発表したことがあるが、
何となく、もう一度描いてみたくなった。
その内、何とかしよう。

Photo_5

   窯詰め


さて、いよいよ窯詰め開始。
炎が全体に回るよう、バランスを考えて作品を詰めていった。
窯詰め作業を終えたのは昨日の日曜午後6時半頃。
徹夜の窯焚きを行うため、早速窯に火を入れた。

風も無く、静かな夜、空には星々がキラキラと輝いていた。
次の窯焚きの準備を進めながら、徹夜で作業を行った。
徹夜作業で眠くなる時間帯は午前3~4時ころ。

眠くなるたび、外に出て空を眺めたり、
煙突の様子を確かめたり。

Photo_6

   15日、月曜日


   午後8時過ぎ


   本窯(高温)焼成


いま焼いているのは、分厚く釉薬を掛けた青磁と白磁。
ゆっくりと温度を上げていき、ようやく1200度を越えた。
ただいまは月曜午後8時過ぎ、あと数時間で目的の温度に達成する。

窯の火をとめる少し前には、窯の中の雰囲気を確認をしなくてはならない。
今回の窯焚きも良い出来であることを願いながら、気を抜かずに窯を焚こう。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本窯(ほんがま)焼成

2012年10月10日 | 日記

先日の土曜、日曜、月曜は連休。
自宅で創作活動している私にとって、連休などは殆ど関係ない。
むしろ連休など、一般の方々が移動している間は外に出ることはしない。
仕事も少しずつ調子に乗ってきて、高温焼成を行った。

土曜夜は釉薬がけを行い、どこか見落としている部分がないか徹底的に調べ、
その作業が終了したのは曜日が変わった、日曜の真夜中午前1時半過ぎ。
日曜に窯が焚ける運びとなり、徹夜になるのですぐに眠った。

日曜日、天候も良く、あさから窯詰めを行った。
今回焼いた作品は、天目の一種、私が名付けた窯変鉄耀作品だけ。
上手く結晶が出るように、夜空に輝く星ぼしのような結晶が浮き上がることを願い、
炎が均一に作品に当たるように窯詰めを行った。

窯詰めが終了したのは日曜昼。
天候の変化は無く、月曜日も良い天気との報道。
昼食後、窯に火を入れた。

素焼きの上に釉薬を施してある為、温度上昇は素焼きほど気をつかう必要はない。
温度が1000度に達するまで、ガスの圧力を規則どおり上げていった。
1000度までは安心して温度を上げることが出来る。

Photo

   夕焼け


1000度までもう少し時間があったので、
ガス切れがないか、ガスが正確に供給されているか何度も確かめ、
いつもの堤防に出かけてきた。

西の空が赤く染まり、小松空港では夕方の混雑が始まっていた。
はるか上空を通過する飛行機、これから目的地に向かって飛び立つ飛行機、
赤く染まる西の空を眺めつつ、歩いてきた。

この頃は、5時半前に夕日が沈む。
夕日が西の彼方に沈む時間が益々早まってきた。
6時頃に家に戻って窯の確かめを行った。

窯の中の雰囲気を変える1000度までは、もう少し時間がある。
それまでに食事などを済ませ、工房に入った。

いよいよ窯の温度が1000度に近づいてきた。
それまでの酸化焼成から還元焼成に雰囲気を変えなくてはならない。
これからが窯変作品を焼く緊張する時間の連続。

還元焼成に入ったら、もう窯場に缶詰状態となってしまう。
土曜夜も満足に寝ていないし日曜夜は徹夜、次の作業のことを考えながら、
夜通し窯の横で本を読んでいた。

夕方見た、飛び立つ飛行機と上空の飛行機の軌跡、
どうせ読むならばと、出かけてみたいギリシアに関しての本を読んだ。
数回取材で訪れたギリシア、いま治安が悪くて出かけられないが、
もう一度出かけてみたいギリシア、果たしていつになったら出かけることが可能か。

Photo_2

   コスモス


窯の温度を確かめながら、本を読みながらの徹夜。
工房入り口のドアは開け放ってあり、
窯の温かさを感じてか、トラちゃんが寄り添ってきた。

私が座っているイスの横に小さいカーペットをひいてやると、
その上にゴロンと横になって眠ってしまったトラちゃん。
けれど温度を確かめるたび立ち上がる私に、目を覚まし声をかけてくるトラちゃん。
その都度オヤスミと言って体をなでてやると、ゴロゴロと喉を鳴らすトラちゃん。

本を読んだり、窯の状態を確かめたり、
トラちゃんの相手をしている内、東の空も明るくなってきた。

Photo_3

   煙突


夜が明けたばかりの朝は風も無く、
ガスボンベ置き場近くに咲いているコスモスも、朝日に照らされて色も濃く見えた。
風が吹くとユラユラ揺れて、中々写真に撮ることは出来ないが、
早朝のコスモスはジッとしていてくれて、上手く写真に収まった。

窯変鉄耀作品を焼く温度は、青磁を焼く温度より少し高め、
気を抜けないが、ガスも十分にあるし、朝食をとることにした。
トラちゃんも起き出して、足元にまつわりついてきた。

トラちゃんに朝ごはんを与え、私の朝食の準備、といっても窯の状態が気がかりで、
コーヒーとパンの朝食でさっと済ませて、再び窯場に入った。
窯の温度が目的に達するまで、まだ数時間を要する。

徹夜で眠さも襲ってくるが、火を止めるまでは眠れない。
外に出たり、ガス圧を調整したり、窯内の還元状態を確認したり。

目的の温度が近づいてきて、窯から離れられなくなってきた。
温度調整を間違えると、作品すべてが失敗する。
何度も何度も窯の中を見、これで良し!と火を止めたのは、月曜午後。
あとは窯任せ。 上手く焼きあがっていることを願うのみ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする