創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

庭藤

2013年05月30日 | 日記
庭藤

日本伝統工芸展、石川支部展が、昨日29日から始まった。
会場は、金沢市武蔵町名鉄エムザ8階催事場。

私の青磁線文輪花壷、会場のどのあたりに展示されているのか。
澄み切った美しい水色の青磁、その中心から真っ白の花が楚々と咲く、
様々なことが多すぎる昨今、せめて気持ちだけでも穏やかに、和やかに、
そう念じて創作した作品である。
出来るならば多くの方々にご覧頂きたいと願っています。

Photo

   粘土調合


もの思うとき、作品の構想を考えるとき、
必ずと言っていいほど、マグカップを手にコーヒーを飲んでいる。

粘土作りを行いながら、少しではあるが何となく作品の形が頭に浮かんできた。
ボンヤリ、そう何となくボンヤリと。

そのボンヤリとした形は、どことなく騎士の姿のようにも見える。
凛と威厳のある、堂々とした姿がボンヤリと見える。
はっきりと浮かんできたらデザイン画を描こう。

Photo_2

   菊もみ準備


まずその前にマグカップを作らねば。
いつも書いているが、一日に7~8杯マグカップでコーヒーを飲む私。
違和感なく持てるカップ、口当たりが良いカップ、余計な装飾をしていないカップ、
とにかく毎日毎回使うカップなので、飽きのこないカップを作りたい。

まずは粘土の調合から。
数種類の粘土を割合別に調合し、もみやすい大きさにそろえた。
今回使う粘土は、貫入(ヒビ)が出るように調合してマグカップを作る。
貫入のあるほうが、幾分か趣を感じられる、かも。

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さあ、これからが大変。 これ等を手で揉まなくてはならない。
調合した粘土を土練機に掛けて揉めば、アッと言う間に揉めるが、
手で揉むとなると、大変な作業になる。

修業時代の20歳頃、窯元には土練機が2台設置されてあったが、
私はあえて土練機を使わなかった。
焼き物に関することは、すべて自分で行い試してみる、それを実行した。

菊もみは、見ている分にはリズム良く楽しそうに見えるが、
実際おこなってみると、それはそれは大変。

チョッとした調子の乱れでわずかな空気が混入してしまう。
それに気付かずにロクロを回すと、ブチブチと空気の粒がてのひらに当たる。
わざと、そのまま作品を仕上げてしまう焼き物もあるが、青磁、白磁はそうはいかない。
焼きあがった作品は哀れな姿に。 品格ある青磁、白磁作品は粘土も選ぶ。

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   工房


空気が入らないよう、いち、にい、いち、にい、とリズムをとり、一気に揉む必要がある。

もう何十年も粘土を扱ってきて、コツと慣れで空気が入ることはなくなったが、
修業時代は何度揉んでも空気が入って、いい加減イヤになったこともしばしば。
揉めば揉むほど粘土に熱が加わり、粘土は固くなるし、なお更に空気も入るし。
その経験があったお陰で、今はどんな状況になっても対応できる。
苦しくても、修業時代を通り越したほうが本人の為、とつくづく思う。

Photo_5

   庭藤


我が家の敷地、家の前に植わっている庭木の下に庭藤の株がひっそりと。
庭木の陰だからか、まだ花は咲いていないが、蕾がいっぱいぶら下がっている。
もう少し気温も上がれば一斉に咲き出すだろう。

Photo_6

   庭藤


そして敷地の入り口、ガス置き場の前の庭木の下にも庭藤が。
ここは陽が当たるので、庭藤が美しく咲き出している。

一般に言われている藤花に比べると、豪華で派手さはないが、
庭木の下で楚々と咲く姿が、控えめで私は好きだ。



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型起こし用シッタ作り

2013年05月25日 | 日記

「 思い立ったら吉日 」ではないが、
「 一度決めたらやり抜く 」が、いつの間にか私の信条みたいになってしまった。

粘土作りも終了し、工房前に置きっぱなしになっていた小道具も片付けたし、
創作すべきデザインが頭に浮かんでくるまでの間、型起こし道具を作った。

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   シッタ


実のところ、型起こしは二度手間のかかる仕事である。
ロクロで形を作り、それを型にひっくり返して押さえつけ、
希望する形に整える、それが型起こし。

その型を載せる台が写真の丸いもの。
作品それぞれに合った型があり、ピタッとはまる台が必要となってくる。
これまで使っていたシッタ(台)が削るたびに薄くなり、
新しく作り直した。

普段使いの器を型起こしで作ってみたくなり、
デザインが浮かばないままに、道具作りを行った。

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   玄関横


作業を行っている間、
23日朝刊に、日本伝統工芸展、石川支部展の入選発表があった。
今回は青磁釉薬と白磁釉薬を使った作品を出品した。
清らかな水の中から純白の花が咲く、それを表現した。

金沢市武蔵町の名鉄エムザで、29日~6月2日まで開催される。
加賀百万石祭りに協賛して行われる展示会である。
ぜひ多くの方々にご覧いただきたいと願っています。

Photo_3

   白花の木


しばらく良い天気が続いて、
庭木の若葉がまばゆく、花も咲き出した。

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   白花


真っ青な空に浮かんだ、この白い花、
庭木の本を開いても、ネットで調べても名前が出てこない。

カスミノキ? ニワトコ? それとも他の名前か。
葉っぱの形で判断してみると、ニワトコみたいな気もするが、
ちょっと違うみたい。 花がこれほどフワ~っとしていない。
徹底的に調べようと本やネットで探しているが、お手上げ状態。

玄関のすぐ左横にある、この白い花を付ける木の名前も分からない。
花だけ見ていると、「 マンリョウ 」かな?とも思うが、季節が違う。

様々な木々が植わっている我が家の庭、名前の分からない木が多くて・・・。
写真をご覧頂いて、お分かりになったらぜひ教えて下さい。

Photo_5

   カナメモチ


いつも居る部屋の外、
大モミジ・マンゲツと、手水鉢の横にはカナメモチ。
太陽光線を受け、新芽が赤く鮮やかに映えて美しい。
その木の下には、エビネが可愛い花を咲かせている。

玄関前の庭には、さらに大きく成長した、カナメモチの木がある。
同じ木なので、これも鮮やかな美しい赤い新芽をつけている。

いい加減、庭師に手入れしていただかないと、とは思うが、沢山の木が有り過ぎ、
加えて垣根も大きくなって諸々の事を考えると、中々決心がつかない。
自然林か、はたまた雑木林みたいで、これはこれで良いとは思うが、
以前の整然とした庭に戻さなくては、とも思っている。

枝が伸び葉も茂った庭、庭とは言えなくなってきたが、
その時、その季節に小鳥達が来てくれることが唯一嬉しい。
今居るこの部屋から、窓越しに小鳥の観察が出来るのも幸せである。


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草刈り

2013年05月20日 | 日記

異状気象が続いている為か、気温の変動が激しい毎日である。
工房前での粘土作りが一段落し、気になっている雑草の草刈りを始めた。

前庭の畑の草は地面に埋めてあるので、今のところ草刈りは必要無い。
しかし工房前、玄関から道路までの数十メートル間、そしてテント車庫とガス置き場、
これ等の場所には草が喜び勇んで大きく成長している。

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   草刈り機


草刈りは粘土作りの前に行うべきだったかもしれないが、
やはり仕事に関することを優先して行った。

新しく作った粘土(泥)と、今まで使ってきた削りクズも上手く混合でき、
鉄粉や余分なクズなどもシッカリと取り除いてタンクに納めた。
今後は沈殿するのを待って、順々に粘土の塊を作っていく。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今では鎌(カマ)で草を刈ることも少なくなって、
エンジン付きの草刈り機で一気に雑草を刈り取ってしまうことが出来る。
仕事は速いが、草の根っこが残ることが難点である。

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       オキナグサ


去年だったか、一昨年だったか、記憶が定かではないが、
工房横に作ってある小さな花壇に、ハーブとともにオキナグサも咲き始めた。
さすがに草刈り機を使うことは出来ず、鎌を使って草取りを行った。

いつも私が居る部屋の外、その手水鉢の横にはエビネも咲き出した。
昨年は花が咲かず、どうしたのかと不思議だったが、今年は数本咲いた。
小さな花や、山野草が植わっている場所はすべて手で草むしりを行った。

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   草いっぱい


私の癖というか、習慣というか、気になったらとことん解決するまで行うこと、
このことは良いことか悪いことかは、その時々の状況で判断しているが、
今回の粘土作りと草刈りについて言えば、徹底的に行ったことが正解。

家の横、工房前、玄関から道路、そして車庫までの間をエンジンをフル回転させ、
雑草を徹底的に刈り取った。

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   草刈り完了


この草刈り機、先端部分にナイロンのヒモを巻きつけ、
エンジンの回転で固いヒモがクルクルと回って草を刈り取る仕組みになっている。

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   道路沿い


草刈りの様子を見ている分には楽そうに感じるが、
実際に作業を行うと、かなり神経も力も使う。
加えてガソリン混合油も使う。

固いヒモではあるが、次第に短くなって新しくヒモを巻く必要も。
エンジンを切り、先端部分をはずしてヒモを取り付ける、
それを何度も繰り返して草刈りを終えた。

当然ながら目や顔を防護するネットの帽子をかぶったり、
度数の入っていないメガネをかけたり。

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   完了


天気も良く涼しい風が流れていたが、作業が終わると汗だくになってしまった。
二日間に渡っての草刈りだったが、これで当分の間雑草は伸びないだろう。

草ぼうぼうの我が敷地だったが、すっきりとし見た目もサッパリした。
これからは本格的に作品創作にかからねばならない。



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2013年05月15日 | 日記

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   白山


気温も急に上がってきて、20度を超える日が続いている。
つい最近まで中国大陸からの黄砂で、ボンヤリとしか見えなかった白山、
偏西風の流れも変わったのか、空気も澄み、これぞ五月晴れ。


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   ジャガイモ畝


作り上げたドベ(粘土を精製し、どろどろにした物)を保存するフタも完璧に仕上げ、
いざ作業に取り掛かろうとしていた矢先に母から電話。

「 どうした?体の具合でも悪いんか?」と聞くと、
「 ジャガイモの畝をつくりたいけど、手伝ってくれんか」と。

「 これから粘土の精製をせんなんし、それが終わってからなら、」と言うと、
「 他の畑のジャガイモ畝はもう終わってるし、うちだけ残っている、」と。
「 だから人は人、我が家は我が家、少しくらい遅れたって収穫は同じやろ、」と言うと、
「 忙しいんならいい、母ちゃん一人で畝を作る、」と言って電話を切られた。

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   母


もうまったく、本当に全くあきれる。
こちらも遊んでいるわけでなく、何かと用事が出来たり仕事の準備をしたりしているのに、
まったく、まったくと思いつつも、そのままにしてはおけず、午後クワを持って畑へ出かけた。

「 来てくれたんか、」と母。 「 放っておけないやろ、」と私。
「 午前中に殆ど畝を作ったし、お前来んでもよかったに、」と。

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   母


 12月で86歳になる


「 また無理して、この前みたいに具合悪くなったらどうするんや、」と言えば、
「 あん時はたまたま暑かったし、」と、どうたらこうたら。

キレイに畝を仕上げてあるものの、土の被せが悪いものを少しだけ手入れした。
私のやることは殆ど無く、手持ち無沙汰になってしまった。

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   大豆苗


大豆の苗も順調に育ってきていた。

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   草むしり中


家に戻るかと思いきや、母は草むしりを始めた。
「 ちゃんと水分を摂って、いい加減に帰ってや、」と言って我が家に戻ってきた。

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   ドベ撹拌


さあ、早く粘土作りを始めなければ。
私独自の粘土を調合し、水を加えて撹拌(かくはん)を始めた。

塊(かたまり)が無くなるまで、かなりの時間をかけて機械を回した。
新しい調合に加え、これまでロクロで仕上げたクズも一緒に撹拌し続けた。
すべての材料細かくなり、粒粒がなくなったところで撹拌は終了。

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   ドベ保存


目の細かいメッシュにドベ(粘土の水溶液)を通してゴミや不純物を取り除き、
大きいポリタンクいっぱいになるまで詰め込んだ。

この作業を何回もくりかえして、ようやく私独自の粘土が仕上がる。
ポリタンクのフタも上手く出来たし、風雨に耐えられるようにもなった。
しばらく様子見し、再び粘土精製を行わなくては。


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粘土作り、の前に

2013年05月10日 | 日記

春先から気になっていたことの一つ、
早く粘土を調合しなければ、青磁用の粘土を作らなければ、という事。

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    ポリバケツ


昨年の今頃は土練機の修理に明け暮れていた毎日だった。
とにかく土練機さえ元に戻れば粘土をこねることが出来る、
そう願い、友人も手助けしてくれ、不具合が出るたびに機械の調整を行った。

土練機の修理をしながらも、青磁用の粘土が気になっていたのは事実。
私独自の粘土の調合、それらを精製しポリタンクに入れてあった。
ポリタンクに入れる前はそれぞれの種類の粘土を撹拌し、細かいメッシュで通し、
ゴミや鉄粉などを濾し、沈殿するのを待つだけになっていた。

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   フタ


ところが、このポリタンク(バケツ)、本体は硬く頑丈に作ってある割りに、
フタがやけにやわらかい。 フニャフニャしたビニール状の材質を使っているみたい。

工房の中の様々な釉薬を入れてあるのも、このポリタンク。
粘土を調合し、精製したキレイな粘土を保存するのにも、このタンクを使っている。
けれどフタの材質があまりにも悪く、外に置いてある粘土用のタンクのフタは、
夏から冬にかけ、一気に硬くなり、ヒビが入って割れてしまう。

ヒビを見つけるたびに接着剤などで補強しているが、気温差ですぐにダメになってしまう。
ダメになるたびフタだけ購入していたが、金額がバカにならない位に高額である。

ここは九谷焼きの産地、窯元も多くあり、当然ながら資材も扱っている。
ああ、また買わなくてならないのか、何だか無駄をしているなあ、と思っていたところ、
自分でフタを作ればいいではないか、と早速材料を買いにホームセンターに出かけた。

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   角度を決め


直径60センチのポリタンク、ピタッと合うようにと材料探しから始めた。
アクリル製品も考えたが、かなりの高額でもあるし、外に出しっぱなしのタンク、
せっかく買ったは、またヒビが入って精製した粘土がダメになるでは、それでは話にならない。

さてどうしたらよいかと見つけたのが、コンパネの板。
ホームセンターの係りの人に、直径60センチに丸く切って欲しいと頼んだが、
直線に切ることは出来るが、丸く切ることは出来ないのです、と言われた。

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   コンパネ


仕方ないのでとにかく60センチ角に切ってもらい、
レンタルで電動ノコギリを貸してもらえるとのことで、2泊3日で借りた。

電動ノコギリは使ったことはないし、上手く出来るかな、と試し切りをしてみた。
家や工房の中の補強に使う木材、いつもはノコギリで汗をかきつつ切っていたが、
電動ノコギリで切ってみた。

うん、何とか出来そう。 けれど直線しか切れないので、
直径60センチの円を描き、5度の角度で線を引き極力丸くなるようにした。
でこぼこしないように気をつけ、一枚一枚切った。

次に、本体のポリタンクが傷まないように、板の切り口をグラインダーで磨いた。
こうすることでフニャフニャのフタより頑丈なフタが完成した。

次に、湿気が来ないよう養生しなくてはならない。
ニスを塗るべきか、防水ペンキを塗るべきか、を考え、
いずれにしてもこの板をナイロン袋の中に入れるから、ペンキを塗ることに決定。

二度塗りをしなくてはならず、とりあえず一度塗りを行った。
3枚のフタが出来たし、万一割れても補給がすぐ出来る。
外の粘土用のタンクには、防水シートを被せよう。
そうすることで、夏も冬も持ちこたえるだろう。

せっかく精製してあった粘土、これでまた再生できる。
粘土作りは陶芸家にとっては大切な仕事の一つ、
作られた粘土を使うのも手だが、独自性が失われてしまう。
やはり自分の納得できる粘土を使いたい。

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   玄関で


電動ノコギリを使っている私を垣根の下で見ていたトラちゃん、
仕事が終わって一休みに家に入ろうとしたら近寄ってきた。

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   トラちゃん


冬前は脂肪を蓄える為にたくさん食べ、丸々と太っていたが、
季節が変わり、気温上昇とともにトラちゃんの食欲も減ってきた。
幾分か痩せた感じがする。

「 どうした?なでてほしいんか?」、
「 ニャ~ン、」と玄関マットにゴロンと横になったトラちゃん。
折れている右足の肩の付け根辺りを優しく揉んでやった。

ゴロゴロと喉をならし、気持ちよさそうにしているトラちゃん。
なでている手を舐めよう顔を近づけてきたり、甘噛みをしたり。
10分ほど相手をしてやっていたら気が済んだか、垣根の下に向かって行った。


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