創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

シロ

2008年10月30日 | 日記

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   トラとシロ

ボンヤリと遠くに見える白山、頂上付近は白い帽子をかぶったように白く見える。
ここ数日の冷え込みで雪が積もったのだ。
金沢気象台から初冠雪の情報が流れるかと思っていたが、TVニュースでは伝えていなかった。
アナウンサーも確認したと言っていたが、気象台から確認して初めて初冠雪と認める、とのこと。
我が家からも雪をかぶった白山を確認できるのに、いこじな決まりごと、とあっけにとられた。

晩秋から初冬の境目のこんにち、ニャンコちゃん達も温かい場所を求めて
車の上でひなたぼっこ。
私が近づくと、トラとシロとも寄ってきて、体をすりよせてくる。   ・・・・・かわいい・・・・・

われ先に私になでて欲しく、場所の取り合いを始めるしまつ。
そうこうしている内、それぞれの居場所も決まり、車の上でノンビリとひなたぼっこ。

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   トラ

トラは生まれてから約12、3才か。 十数匹居たニャンコたちはすべて捨て猫。
ご飯は時間通りに食べに来るのに、体だけは絶対に触らせてくれなかった。
そのニャン子達、一匹、二匹と旅立っていき、トラだけになってしまった。
そして去年の今頃、シロが来てからは妹が出来た感じで、元気を取り戻した。

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   シロ

シロは生まれてまだ一年と少し。
昨年11月の雨上がりの堤防で偶然に目が合い、
小さい体で一生懸命に私のあとを3キロあまりも付いて来た子猫。

今ではすっかり大きくなり、私にとってはトラ同様、かけがえの無い家族の一員である。
来た当初はトラに凄まれて小さくなっていたが、今では仲良し。
そうして秋のやさしい日差しの中、車の上が温かいことを知り仲良くひなたぼっこ。

私が外出から帰って来ると、何処に居たのか車の音を聴きつけて、
二匹ともよろこんで近づき、体を寄せてくる。
玄関の鍵を開けると、シロが真っ先に家の中に入ってくる。
しかしトラは玄関先までしか入らず、勝手口に回ってドアが開くのを待っている。

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   私の隣のイスで寝ているシロ

    なんと寝相の悪いニャンコ

前回の日記ではないけれど、何となくもの想う時もニャンコ達の姿を見ると
フッと優しい気持ちなれる。  でもこの寝相はあまりにも美しい姿とはいえない。

今朝、いつものように勝手口のドアを開けたらトラしかいない。
「 トラ、シロはどうした? 」  「 ニャ~ン 」
きょうも昨日もおとついも、シロの姿が見えない。  いったい何処へ行ったのだろう。
昨晩は冷たい雨が降っていた、しかしシロは帰ってこなかった。

何処かにもぐりこんで首輪が引っかかっても、すぐに外れる首輪をしている。
シロの行動範囲は分からないが、いつも行くであろう、神社付近をくまなく探してみた。
きょうも昨日もおとついも。

いまこうして日記を書いている最中に、トラがニャ~ンと挨拶をしながら勝手口に来た。
ドアを開けてみたが、やはりトラだけ。 「 トラ、シロを探しておいで 」と言っても
通ずるわけもなく。 外れるはずの首輪が外れなくて動けないのか、何かの事故か、
よからぬ不安が募ってくる・・・・・。  月曜の夜から、もう三日・・・・・。

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辰砂  ・ 窯変紅彩壷 ・

2008年10月25日 | 日記

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                        空を染める、夕日


「 秋 」、この一文字であなたは何を連想し、また何を想うのでしょうか。

私にとっての秋は、もの想う秋。
枯葉の一片(ひとひら)が過ぎし日々を物語っているように、
心の中に言い表せぬ感情が芽生えてくるのです。

つい先日まで聴こえていた虫たちの合唱も静かになり、
ガラス窓をこする 「マンゲツ=大モミジ」 の乾いた音が聴こえてくるだけ。
サラサラ、サラサラ・・・。
普段気づかない音さえも心に染み入り・・・サラサラ、サラサラ・・・。

幸せな環境、というか、家の周りには大きな建物が無く、
一歩外に出れば周りは田んぼ。 東を見やれば白山。
西に向かえば、遠くに小松市内の低い街並みと広がった空。

日の暮れる時間も早まり、
4時半を過ぎる頃からすべての影が急に長くなってくる。
作業場のドアから入ってくる光も弱くなり、ガラス窓も次第に赤味を帯びてくる。

晩秋へと向かうこの時季、運がよければ美しい夕焼けを見ることが出来る。
その茜色に染まった空が見られる日も、指折り数えるくらいになっていく。
赤く、真ん丸い夕日が西の空の向こうに沈んでいく様も美しいが、
夕日が残してくれた、名残り(なごり)の色が無性に詩情をかき立ててくれる。

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     窯変紅彩壷(辰砂壷)


      径ー21、5cm
      高ー29、5cm

そのような思いの中から焼きあがった作品である。
複雑な赤みを帯びた、紅の色が何層にも重なり合い、
いま目の前で見ている夕焼けの景色にも似て。

窯元で修業をしていた頃、よく聞き言われた諺(ことわざ)のひとつ、
「 辰砂(しんしゃ)で身上(しんしょう=財)をつぶす 」と。
辰砂の複雑、かつ魅力的な色合いは、焼物を志す者にとって、
一度は挑戦したい、また焼き上げてみたい焼物なのです。

諺(ことわざ)のように、この色の虜(とりこ)になって追求をしていくと、
いつしか蓄えも何もかもなくしてしまう、だからやめなさい、と言う難しい焼物なのです。

若い頃から、青磁と共に鉄釉、辰砂を追及してきた私、
多くの作家達が作っているような、「 何となく赤い辰砂 」の色は簡単に出すことが出来るが、
私の求めている辰砂の色は、もしかしたら危険な仕事なのかも知れない。
この壷のように、複雑な発色と魅力的な紅(=赤)を求めてやまないのである。

テストを何度も繰り返し、求める色合いになり、これで良し!、と決めて造った辰砂釉薬。
その日の天候、温度、湿度、窯の火の微調整、それらのすべての条件が整って
ようやく焼きあがる焼物なのです。  しかし、数日後窯の扉をあけてみて・・・。
最初に見える、扉近くにある辰砂の色は私の求める色合いではない、ということは
その窯で焼いた辰砂はすべて求めている色合いと異なるわけである。
心こめて作り上げ、窯と共に焼き上げた、その時の作品は残念ながらすべて・・・。
辰砂作品の殆どは、このような運命をたどるのです。

そのような中から焼きあがった、窯変紅彩壷(辰砂壷)。
いつの日にか、どなたかの目に止まり、その方の下で輝いて欲しいと願っているのです。


 
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傘寿(さんじゅ=80歳)のお祝いに。

2008年10月20日 | 日記

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 10/18・AM9:30 ・福井市上空

10月18日、千葉三越のお客様・T様が傘寿(さんじゅ)のお誕生日をお迎えになられ、
千葉・オークラホテルにて 「 トーク&ディナーショウの宴 」を催しされた。
昨年よりお声を掛けて下さり、都合よく能登・志賀町・ヴィトレの丘での個展も無事終了し、
お会いできることを楽しみに千葉へと向かった。

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   千葉駅

羽田空港には定刻どおり、10時半に到着。
浜松町ー秋葉原、秋葉原で千葉行きの総武線に乗り換え、約1時間弱で千葉に到着。
少し早かったが、いつもの定宿・千葉ワシントンホテルにチェックイン。

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   千葉ワシントンホテル

三越千葉店、千葉ワシントンホテルも駅からほんの2~3分のところ。
三越とワシントンホテルは駅前から伸びる道路を挟んだ所に位置して、至極便利。
すぐ目の前なので、個展の時は三越開店数分前にホテルを出れば充分に間に合う。

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   ワシントンホテル前から三越

今回は少し早めに到着したこともあり、近くを散策してみた。
ホテル横には用水?が流れていて、その上をモノレールが走っていた。
何回も千葉に来ているが、どこかを見学するような余裕も無く、
三越とホテルの往復のみだった。

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   モノレール

短い間隔でモノレールは行き来していて、上手く写真に納まってくれた。
モノレールの写真を撮ったところから、三越がすぐに見える、それがこの一枚。

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   三越千葉店

時間も丁度良い具合で、三越に挨拶に出かけた。
昨年ご一緒した、さいたま市在住の、山下英二さん(彫刻家)も来ていて、
今回も彼の車に同乗させていただき、オークラ千葉ホテルに向かった。

年々お若くなられるT様、そしてご主人様にそっと寄り添っていられる、お優しい奥様、
傘寿のお祝いのご挨拶とご招待頂いた御礼を申し上げました。

会場のエリーゼルームに案内され、またまた中央寄りの席をご用意いただき、恐縮至極。
彫刻家の山下さんと隣の席で近況を話しつつ、6時の開演を待っておりましたら、
司会の方が来られ、「 突然ですがT様のご指名で、乾杯の音頭とスピーチを 」と。

「 えっ! どうしましょう、何にも準備もしていなく考えてもいなく・・・」
「 分かりました、お目出度い傘寿のお祝いに・・・」と、お受けいたしました。
さて開演まで、ほんの数分、リラックスムードから一気に緊張ムードに思考の切り替え。

こんにちまでの三越千葉店の個展を振り返り、初めてご夫妻をお見受けした時の事、
その直後、個展会場にお越し頂いたこと、毎回素晴らしいお話しをしていただき、
夢と希望、生きる喜びを教えてくださったこと、など、2~3分にまとめてお祝いのご挨拶をし、
シャンペングラスを上げさせていただきました・・・・・でも何を話したか、記憶は何処かへ・・・。

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   二胡の演奏・王さん

今回も、T様の胸打つお話から始まり、宴へとプログラムは進んでいきました。
ラテン・フォルクローレ、 二胡演奏、 フラメンコギター、 そしてイタリアン・カンツォーネ。
それぞれのプロの方々の演奏と合間のお話し。
美味しいフルコースのお料理と種々のお酒に酔いしれ、またたく間に4時間余り。

昨年、そして今回の傘寿の宴には更にお心を込められたこと、心より頭が下がりました。
願っても思っても中々できることでは無いことを実現されるT様。
なせばなる、それを教えて頂きました。

翌あさ、19日はゆっくりと朝食をとり、
昨晩の宴の模様を思い出しつつ、レストランでコーヒーを飲んでおりました。
チェックアウトし、東京へ。 久し振りの上京、デパート巡りをしておりましたが
あまりにも多くの、ひと、人、ひと。 人の波に酔ってしまい、早々に空港へ。

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   外はまだ明るい羽田空港

出発まで2時間半、疲れたことでもあり、ラウンジで仮眠をすることに致しました。
4時頃だった為か、満員の乗客。ようやく窓際に席を取ってもらい、コーヒーで一息。

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    すっかり暗くなった空港

 乗客数も少なくなってきたラウンジ

定刻の午後6時半、私は機上人となって東京を離れました。

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ミニカボチャの鳥蒸し

2008年10月15日 | 日記

前庭に棚を作って植えてあったフルーツトマト、その棚に伸びて実ったカボチャ。
大きさは丁度リンゴくらいのもの。 実もしっかりとして調理するには最適のころ。
採取して適当な分量の、男の料理を作ってみました。

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   トマトの棚に絡みついたカボチャ

小さいカボチャだが、思っていたほども種の量が少ない。
良く洗い、横半分に切り、スプーンで種を取り出してカボチャの準備は完了。

次に、カロリーの少ない鳥のむね肉を用意し、皮を取り除き細かくミンチに。
同じく玉ネギもみじん切りに。 岩塩、コショウ、前庭のハーブをほんの少し加え、
つなぎに卵1個、小麦粉を適当に加え、良く混ぜ合わせます。

粘りが出てきたところで、具の準備は完成。
種を取り除いたカボチャに具をこんもりと盛ります。
適当な男の料理ですので、いずれもそれなりに適当の分量で仕上げます。
しかし大切なことは、塩分は控えめに、が条件です。

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   具を盛りつけたカボチャ

蒸し器なんて面倒なものは必要なく、大き目のフライパンを用意。
水を入れ、受け皿にカボチャを並べ、フタをして沸騰させます。
15分くらいも蒸せば全体に熱も加わり、ふっくらと蒸しあがります。

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     青磁線文皿

   出来立てホヤホヤ

ほんのり甘いカボチャ、そしてちょっぴりハーブの香りのする具。
このまま食べても美味しいですが、カロリー控えめのマヨネーズに少々の醤油を加え、
食べる時にチョッとかけ、あつあつを頂く。
秋の夜にふさわしい、簡単料理の出来上がり。

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月見草の咲く堤防

2008年10月10日 | 日記

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   彼岸花=曼珠沙華

作家にとっての作品発表は当然ながら大切なこと。
その最たる重責を感じるのは個展。
ヴィトレの丘・個展も無事に締めさせていただき、心より安堵しております。

今回の個展、始まる前より経済の不安材料が巷を、そして世界中を駆け巡っていて、
この先いったいどうなることかと毎日心配のしどうしでしたが、皆様に支えていただき、
ホッとした気持ちで今日の日記をしたためております。

天気も良く、久し振りに歩きに出かけた 梯(かけはし)川の堤防、
9月はじめには彼岸花も咲いていましたが、そのあと再び新芽が伸びてきて、
散歩コースの堤防は満開の状態。
朝夕の気温の差の影響か、9月の花より色が濃く感じます。

その彼岸花の傍らに、遠慮がちにひっそりと咲いているのが月見草。

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   月見草=宵待ち草

たった一日の花だが、柔らかい花びらを懸命に開いている姿は美しく、心うつ。
この花を見るたび、すぐメロディーが出てくる。

♪ 待てど暮らせど来ぬ人を、宵待ち草のやるせなさ ♪
     ♪ 今宵は月も、出ぬそうな・・・♪

彼岸花と月見草の対比、余りにも派手な彼岸花に比べて、
藪(やぶ)の生い茂るところに咲いている一輪の月見草、そっと手を添えたくなってしまう。
けれどたった一日しか咲かない小花、静かに見守ることにしょう。
個展が無事終了し、久し振りに歩いた堤防、そろそろ晩秋の風情に移ろうとしていた。

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   イチジク

一時間の散歩中、思いつく限りの童謡を歌って我が家に近づいた。
ほんの二、三軒となりの農作業小屋の前に植わっているイチジク。
以前イチジクは何処の家の庭にも植わっていたが、今では殆ど見かけることがなくなった。

子供の頃、庭に実っているイチジクを採っては食べていたが、
もぎ採った切り口から出てくる白い樹液で、唇が痒くなるのがイヤで仕方なかった。
現代のように、おやつなど無かった時代、柿、ナツメ、イチジクが唯一のご馳走だった。
そういえば、ナツメ、この木は何処にあるのだろう? とんと見かけなくなった。
甘酸っぱいリンゴに似た味のナツメ、味もさることながら、その実の形も美しい楕円形であった。

スーパーに行けば何でもあり、お金さえあれば何でも手に入れることが出来る現在、
精一杯手を伸ばし、折れそうな木によじ登り、傷だらけになってようやく採った木の実、
その時の達成感、充実感を味わえない今の子供達、
ジャガイモやサツマイモは木に生って(なって)いると思っている子供の多いことに驚く。

野や山を駆け巡り、山葡萄、クルミ、栗など、ぜひ自ら(みずから)の手で採らせてやりたい、
心よりそう思う。   自分の手で収穫したそれらの味、形、そして達成感、
きっと将来の生きる過程において役に立つと信じている。

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