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富山市内を流れる用水 |
アラレが降るかと心配していた初冬の午後、国道を通って富山市へと向かった。
雲行きは怪しいものの、大した天候の変化も無く、何十年ぶりかの国道の旅。
いつもは高速を利用しているが、今回は時間の余裕を持ってゆっくりと車を走らせた。
すっかり忘れてしまっている風景に驚くと同時に、全く別の空間を旅しているような妙な感じさえもした。
今は便利な道案内のナビゲーションの誘導のまま、2時間もかかって富山入り。
シャンソンコンサートの観劇が目的で枯葉舞い散る国道をトロトロと走ってきた。
ゆっくり走ってきたが、それでもまだ充分に時間があるので市内観光とシャレてみた。
久し振りに歩いた富山市内、思ったよりも緑が多く、富山城近辺はかなり整理されていた。
今回初めて気づいたのだが、ガラスで作られたものがいたる所に陳列されていた。
用水にかかる欄干にもしかり。
たまたま入った市民プラザでも色々と作品を並べてあり、係りの人に質問をなげかけてみた。
1985年からガラスの街として、うんぬんと。 なるほど、だからこんなにも多いのかと納得。
夕暮れも迫り、淡い夕日が斜めにそのガラスに映りこみ、何となく哀愁を感じ始めた頃、
道端に落ちている大きなカエデの葉をよけつつ、シャンソン会場へと向かった。
考える暇もなく
時は過ぎてゆく
金子由香利のコンサートが始まった。
パリのエスプリを感じさせてくれる歌声、ある時はそっとささやくように・・・。
一曲一曲から、さまざまな思いがわき上がってきて、いやおうなしにその世界に引き込まれてしまった。
伴奏はミュージシャン9人編成で、これまた味があった。
すべての伴奏は電気的な機械を全く通さず、大きな会場なのにサロンで聴いているようだった。
ささやき語りかけ、そして情熱的に歌声は流れ、
ピアノ、コントラバス、アコーディオン、バイオリン、チェロなどが枯葉舞うようにからみ合って・・・。
たっぷりと、しかしアッと言う間の2時間、金子由香利の世界に浸ってしまった。
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パリのカフェにて |
なぜか以前訪れたパリの風景が浮かんできて、妙に懐かしさがこみ上げてきた。
家に戻ってアルバムを開いてみたら、サクレクール寺院近くのカフェでゆっくりしている写真が一枚。
アン カフェ シルブプレ。
寒い季節のパリなのに店内ではなく、テラスのテーブルでカフェを飲みたくなる不思議な街。
金子由香利の歌うシャンソンは、取材で訪れていた懐かしいパリへといざなってくれた。