今時分の気候は気まぐれ。
もしやと思い、傘を持って出かけても一度も開くこともない・・・。
青く澄み渡った空を信じて何も持たずに出かけてみると、期待を裏切るように
アラレやミゾレが体を打ち、傘を持ってこなかったことに後悔することしきり。
晩秋から初冬へと確実に移って来たこの頃、たえず空のご機嫌を伺っている。
幾層にも重なり合った雲間からのぞく、僅かな青空が見えると何故か嬉しくなってしまう。
はるかかなたの上空に、サーッと薄くはいたような雲は殆ど動かない。
その下の濃いネズミがかった雲は激しく流れている。
そして地表まじかの黒い雲は反対方向へと動きつつ、雨のカーテンをあちらこちらに垂らしている。
頃合を見計りつつ、今日も出かけなくてはとスニーカーを履いた。
川面に群れ遊ぶ渡り鳥の姿も少なく、枯れ果てたススキだけが
なぜか侘しく揺れていた。
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くれない染まる 「梯川」 |
小さい頃に聞いた話しでは、この川にも資材を運ぶ木舟が行き来していたそうである。
実家の隣の家の外壁に、その舟板が打ちつけてあったのが珍しく、それは今も記憶に残っている。
今は浅瀬ばかりのこの川に、一体どうやって舟を浮かべていたのだろう。
先人達は何を運んでいたのだろう。
河口の 「安宅の関」 当たりから何かの海産物でも載せてきたのだろうか。
その時分の 「かけはし川」 は深かったのだろうか。
きっと何処かに資料が残っているとは思うけれど、今の環境からは想像も出来ない。
数年前に完成した国道8号線の立派な橋が 「かけはし川」 を横切り、
通り行く車は何事もなかったように走り抜けて行く。
川面に映るオレンジ色の街灯は、ユラユラと過去から現在の流れを映し出しているようにも思える。
くれない色から紫色へと暮れゆく空だけが、今も昔も変わらずに静かにそれを見ている。