オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

「最後のコンサート~あるチェロ奏者の死~」

2012年12月18日 12時29分03秒 | 音楽
今日の朝、NHK・BSで放送されたNHKアーカイブス名作選で、深く心に残る番組を見ました。
にっぽん点描「最後のコンサート~あるチェロ奏者の死~」
1996年の番組ですが、私は今日、初めて見ました。
あるチェロ奏者とはNHK交響楽団の首席チェロ奏者だった徳永健一郎氏のことである。
1996年癌のため死去。55歳の若さだった。
私は東京での大学生時代、NHK交響楽団の定期演奏会によく通いましたが、その頃、チェロのトップに座っていたのが徳永健一郎氏である。
ですから徳永健一郎氏は私にとって、たいへん懐かしい方である。
よく当日券を購入してNHKホールの最前列で聴いていましたが、いつも目に入っていたのが徳永氏の姿でした。
そして、あの頃のイメージを、そのまま現在まで持ち続けていたので今日、見た映像で見た徳永氏の姿は衝撃的でした。
徳永氏の早い死は当然、知っていましたが、こんなに壮絶だったとは全く知りませんでした。
「最後のコンサート」とは末期癌で苦しんでいた死の直前、入院先のホスピスで行われたコンサートである。
曲目はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲より第2楽章、そして徳永氏の生涯最後の演奏曲目は「鳥の歌」
番組を見て、徳永氏の死の直前まで、頭の中にあったのは、チェロ、そして音楽であり、死を目の前にしても(癌のこと、そして余命が少ないことは本人に告知されていた)、すこしでもチェロを上手くなりたい、弾きたいという音楽家としての強い生きざまに強い感銘を受けました。
そして番組の中で元NHK交響楽団のコンサートマスターであり実弟の徳永二男氏の言葉が、たいへん心に残りました。
「(兄は)末期癌でしたが、精神は健康でした」
生きること、生きがいとは何だろう。
人間は死を直面にしたら、いったい何を思うのだろうか?
今日は朝から、たいへん重たいテーマの番組を見てしまいました。

番組を見終わったあと、やはりチェロの作品が聴きたくなり、ドヴォルザークのチェロ協奏曲を聴く。
チェロ独奏は1987年42歳の若さで世を去った女流チェリスト、ジャクリーヌ・デュプレ、そしてセルジュ・チェリビダッケ指揮スウェーデン放送交響楽団による1967年のライブ録音のCD.
ジャクリーヌ・デュプレの名前は、ひょっとしたら映画の好きな方だったら、かなり以前に公開されたイギリス映画「ほんとうのジャクリーヌ・デュプレ」という作品を憶えていらっしゃるかもしれません。
ドヴォルザークのチェロ協奏曲の録音と言えばムスティラス・ロストポーヴィチの何種類かの録音を挙げれば安全パイだと思いますが、私はやはりジャクリーヌ・デュプレである。
デュプレには録音当時、夫だったダニエル・バレンボイム指揮シカゴ交響楽団との1970年の録音(EMI盤)もありますが、私は1967年のライブ録音の方が好きです。
1070年の録音はバレンボイムの指揮が今イチで、1967年盤のチェリビダッケの指揮の方が遥かに上で役者が違う。
朗々と豊かに歌うチェロの音色。そして一音、一音、心のこもったデュプレの音色。そして正に体を張ったデュプレの演奏。
映画を見た方だったら分かってもらえると思いますが、デュプレ自身の中にひそんでいる狂気と苦しみと戦いながら、音楽と真正面と向き合った演奏は、今も私の心に響くものがあります。
今度は久し振りに彼女の演奏するエルガーのチェロ協奏曲が聴きたくなってきた。





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