オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

ボリショイオペラの歌劇「エフゲニー・オネーギン」

2017年04月27日 23時32分54秒 | オペラ
見たくてたまらなかったオペラの映像のDVDがやっと届きました。
チャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」全曲。2008年のボリショイ歌劇場のパリ公演。指揮はアレクサンドル・ヴェデルニコフ、演出はディミトリ・チェルニャコフ。
私はオペラの時代設定を現代に移した読み替え演出は好きではありません。しかし、この公演は違いました。全ての場面を館の広間の中に据えて、斬新ですが、けっして奇抜ではなく、人物の内面の描写に力点をおいた、とても抒情的な舞台。
タチアーナを歌ったタチアーナ・モノガローワが素晴らしかった。最初は田舎娘だったタチアーナが第3幕に登場した時の美しさと気品。それに驚いていると、グレーミン公爵のアリアに流れ込む見事さ。やっぱりオペラは面白い。そして心が奪われる。
それにしても、これで歌劇「エフゲニー・オネーギン」は3つ目のDVD.やはり、このオペラは私にとって、こだわりの作品なのでしょうねえ。




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宮原知子さんと歌劇「ラ・ボエーム」

2016年12月29日 22時24分26秒 | オペラ
フィギュアスケート大好き人間の私にとって、自分の好きな曲で素晴らしい演技を見た時ほど最高に嬉しいものはありません。先般の全日本選手権の女子シングル・ショートプログラムでの宮原知子さんによる歌劇「ラ・ボエーム」から「ムゼッタのワルツ」は正にフィギュアスケートを見る最高の喜びを私に与えてくれるものでした。
数多いオペラの中で「ラ・ボエーム」は一番愛着のあるオペラ。
高校生の時、初めて手にしたオペラの全曲盤のレコードが「ラ・ボエーム」で、フレーニのミミ、カラヤン指揮ベルリンフィルの演奏。初めて手にしたオペラの全曲盤はズシリと重いものでした。解説書を隅から隅まで読み、家にいるときは対訳を見ながら、レコードのノイズが、どこにあるのか憶えるくらい、いつも聴いていました。CDの時代になって、オペラの全曲盤も手軽になりましたが、この時のように、とことん聴き込むことが無くなったのが、私には不本意です。解説書にはミラノ・スカラ座でのゼッフィレッリの演出の素晴らしさが記されていて、現在のようにDVDで手軽に映像を見ることが出来なかった時代だけに、レコードを聴きながら想像するのみでした。後年、ミラノ・スカラ座初来日の時、大阪公演で、このオペラを見ました。レコードと同じフレーニのミミ、クライバー指揮による詩情あふれた公演は終生忘れることはないでしょう。
さてカラヤン指揮による全曲盤はCDでも当然、買い直しましたが、レコードの方が録音が良く思えたのは年寄りのレコードへの郷愁かな?





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ザルツブルク復活祭音楽祭2015「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」

2016年06月21日 17時37分26秒 | オペラ
6月20日日曜の深夜、NHK・BSでザルツブルク復活祭音楽祭2015よりマスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」とレオンカヴァルロの歌劇「道化師」の全曲放送あり。
演奏はクリスティアン・ティーレマン指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団及び合唱団。
ティーレマン指揮によるイタリアオペラを聴くのは初めてである。やはりティーレマンはオペラの人。歌うところはしっかりと歌わせて、しっかりと聴かせてくれます。ティーレマンがプッチーニのオペラを振るとどうなるのかな?などと思いながら聴いていました。「蝶々夫人」を聴いてみたい。
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のイタリアオペラも珍しい。しかし、やはり歌劇場のオーケストラ。イタリアのオーケストラと比べて、輝きさは少ないかもしれませんが、オペラの雰囲気たっぷりで満足する。
この公演の一番の聴きどころは、やはりトゥリッドゥとカニオの二役を歌ったヨナス・カウフマン。
今、世界のオペラ界で一番人気を誇っているテノールだけに、やはり特別なオーラを感じました。やはり現在一番乗っているテノールの声を聴くのは、やはりオペラの醍醐味の一つですな。
さて演出は分割したステージで、それぞれの枠の中で登場人物の心理を表現したもの。
「カヴァレリア・ルスティカーナ」でも音楽が始まると直ぐに登場人物の演技が始まり、トゥリッドゥの歌うシチリアーナもステージで歌われる。私は、こういう演出は好きではなく、前奏曲が流れている時はじっくりと音楽を聴きたいと、いつも思っていますが、今回の演出は、面白かった。目が離せなかった。
ただ有名な間奏曲の前に歌われるサントゥッツァとトゥリッドゥの激しい2重唱は室内で歌われていましたが、どうも、しっくりいかなかった。群集が立ち去ったステージで間でローラが絡む以外は2人が激しく感情をぶつけ合う場面に集中したいというのが本音である。
たいへん凝った演出でしたが「カヴァレリア・ルスティカーナ」の場合は、もっとシンプルな演出の方が私は好きだな。
今回の演出は「カヴァレリア・ルスティカーナ」より「道化師」の方が効果があったと思う。
第1幕の最後、カニオの歌う「衣装をつけろ」をカウフマンが、たっぷりと聴かせてたあと、第2幕の前奏曲の時は、カニオが顔におしろいを塗り、道化師の衣装をはおり、ネッダやぺっぺの劇中劇での最中のカニオの動き、表情が、このオペラの最後へ引き込んでいく前触れを見せてくれて、この演出の面白さを強く感じたしだい。
ただステージが分割されていたため最後のだんだんと狂気を増していくカニオと群集が一体になるこのオペラの醍醐味が分断されたのは残念でした。
しかし何だかんだといって、たいへん面白い演出でした。
もう一度、録画を見直すことにしましょう。また新しい発見が、あるかもしれません。





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アンナ・ネトレプコ in JAPAN 2016

2016年06月03日 10時45分32秒 | オペラ
5月29日の日曜日の深夜、NHK・BSで3月に来日したオペラ歌手・アンナ・ネトレプコのリサイタルの放送。
東京フィルハーモニー交響楽団による伴奏による亭主のテノールのユーシフ・エイヴァゾフとのジョイントリサイタル。
ザルツブルグ音楽祭で歌劇「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」を歌っていた頃に比べて、たいへんふっくらしていた。
あの頃は・・・・?
また、いろいろと思うことはありましたが、それでも、現在、世界のオペラ界の頂点のプリマドンナの歌声を、それなりに楽しみました。
最初はチレアの歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」から「私は神の卑しいしもべです」が歌われる。
ネトレプコが、このオペラを歌劇場のステージで歌ったとは、まだ聞いていませんが、ネトレプコが扮するアドリアーナ、さぞかし美しい舞台姿になるでしょう。見てみたいものです。
プッチーニの歌劇「蝶々夫人」からの「ある晴れた日に」
これが最高に良かった。このオペラの持つドラマの激しさを、たった1曲のアリアから聴くことが出来た。さすが!と言うべきである。ぜひ、全曲で聴いてみたいものである。
ただ、今回のプログラムで残念だったのは、本当にこれぞネトレプコ!と言うべき曲目が無かったこと。
ロシアオペラ、そして最近、彼女が力を入れているベルカントオペラが含まれていたら、また違っていたものになったでしょう。
亭主とのジョイントリサイタルだったので、しかたなかったのかな?
プログラムの最後にチャイコフスキーの歌劇「エウゲニー・オネーギン」から「手紙の場」や、ドニゼッティの歌劇「アンナ・ボレーナ」から大詰めの狂乱の場「あなたたちは泣いているの?~私の生まれたお城」あたりが歌われていたら、印象は大きく変わっていたでしょうなあ。ベルリーニの歌劇「清教徒」からの狂乱の場も聴きたかったなあ。
ジョルダーノの歌劇「アンドニア・シェニエ」より、私にとっては、こちらの方が興味あるし血が騒ぐ。
せっかくのオーケストラでの伴奏だっただけに残念だった。
CDやDVDで我慢することにしましょう。
次に機会があれば、亭主抜きのアンナ・ネトレプコのみのリサイタルを、ぜひとも期待したいものです。






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1956年録音のカラヤン指揮「ばらの騎士」全曲盤

2016年05月06日 11時20分44秒 | オペラ
R.シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」全曲

元帥夫人:エリーザベト・シュヴァルツコップ、オックス男爵:オットー・エーデルマン、オクタヴィアン:クリスタ・ルートヴィヒ、ファーニナル:エーベルハルト・ヴェヒター、ゾフィー:テレサ・シュティッヒ=ランダル
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団、合唱団( 1956年録音、EMI盤)

私のCD棚には「ばらの騎士」の全曲CDが5組並んでいる。しかし今まで、何故か、この名盤の誉れ高いカラヤン指揮の1956年録音の全曲CDは並んでいなかった。ウィーンフィルとの再録音(ドイツグラモフォン盤)はあるというのに・・・。
やはり、このオペラとの出会い、そして、あの1960年のザルツブルグ音楽祭の記録映画のイメージが大きすぎたということだろう。
そして、やっと今、2300円という安価のCDをネットで見つけて、とうとう思い腰を上げて?購入してしまった。
このオペラの全曲に初めて接したのは、遠い昔、私の大学生の時、銀座のヤマハホールで見た1960年のザルツブルグ音楽祭の記録映画。
本当にビックリした。この世に、こんなに美しいものがあるのか!と思った。
エリーザベト・シュヴァルツコップの気高さ。アンネリーゼ・ローテンベルガーの可憐さ。そしてR・シュトラウスの音楽!特に効果的に使われているワルツの凄さ!この当時、既に楽劇「サロメ」の全曲は聴いていたので、本当に同じ作曲家の作品かと思ったくらい。
特に第3幕の大詰めは、あまりの美しさに茫然としてしまった記憶がある。
そして、まだ余韻が残っている翌日、有り金をかき集めてレコード店に走り4枚組のカラヤン盤(CDと同じ1956年録音)を購入した。4枚組の豪華なケースのセット物だったので1万円を超えていたはず。
そして今や、あの思い出が詰まった録音がCD3枚組で2300円。こんなにお手軽になっていいのか?そんな抵抗感も購入しなかった原因かもしれません。
また1960年の記録映画が初めてビデオ化になった時は直ぐに購入したし、今はDVDも持っているので、これで十分という気持ちがあったのかもしれません。しかしCD棚に、この1956年録音のカラヤン盤が並んでいないというのは、やはり何か忘れ物をしているような気持ちだったのも確かです。
この録音のゾフィーがアンネリーゼ・ローテンベルガーだったら、ファーニナルがエーリッヒ・クンツだったら、そしてオケがウィーンフィルだったらとは、やはり言うまい。思ってはいけない。
久し振りに聴いてみて、このオペラからあふれ出てくるような「香り」は1956年のこの録音からも十分に伝わってくる。
同じカラヤンの指揮でもウィーンフィルとの再録音盤より、やはり1956年盤の方が私は好きだな。
そしてエリーザベト・シュヴァルツコップの存在の大きさ。
やっぱりエリーザベト・シュヴァルツコップ!
今も第3幕がスピーカーから流れている。いよいよ大詰めの3重唱。
じっくりと聴いて、その美しさに酔うことにしましょう。






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ムーティ指揮の日伊国交樹立150周年記念コンサート

2016年04月22日 09時13分52秒 | オペラ
昨晩、遅くまで4月17日の日曜の深夜、NHK・BSで放送された「プレミアムシアター」の録画を見る。
指揮者リッカルド・ムーティの特集。
ムーティは現在、現役で活躍している指揮者の中でシャルル・デュトワと並んで、私の1番好きな指揮者である。
私はムーティが世界中の多くの指揮者の中で一番オペラを知り尽くしている指揮者だと思っている。
番組の前半は今年3月の東京での日伊国交樹立150周年記念コンサート 。そして後半は2008年のザルツブルク音楽祭よりヴェルディの歌劇「オテロ」の公演。
メインはザルツブルク音楽祭での「オテロ」だと思い、前半の東京でのコンサートの放送は失礼だったのですが軽い気持ちで見始めたのですが、これがもう前半を見終えて、おなか一杯の気持ちになりました。
オーケストラは、この日のために日本とイタリアの若い演奏家たちで特別に編成された日伊国交樹立150周年記念オーケストラ。そして合唱は東京オペラシンガーズ。
プログラムの前半はヴェルディのオペラから6曲。
歌劇「十字軍のロンバルド人」や「アッティラ」などヴェルディの前期の作品が演奏されてオペラの大好きな私を大いにくすぐるものがありました。
おそらくオペラの経験のない若い演奏者ばかりのオーケストラから、これだけのオペラの雰囲気、そしてヴェルディの作品の持つ力強さ、情熱そして歌心を引き出したムーティの素晴らしさに改めて感嘆しました。
指揮者が自分自身の持っている音楽的経験や愛情をオーケストラに伝えることの素晴らしさを改めて強く感じることが出来て、映像を見ていて本当に最高の気持ちでした。
そしてプログラムの後半はボイートの歌劇「メフィストーフェレ」から「プロローグ 」
この作品が日本で演奏されることは本当に稀であろう。
大編成のオーケストラと合唱が一体になった圧倒的的な演奏。
素晴らしい演奏だった。
ムーティが、この曲をプログラムに加えてくれことに感謝するばかり。
私はムーティが1995年にミラノ・スカラ座で指揮したこのオペラの全曲CD(国内盤)を持っているので取り出して解説書を改めて目を通してみるとムーティの、このオペラに対する愛着を示すコメントが掲載されていた。

私が「メフィストーフェレ」を指揮したいと思ったのは、このオペラが私の愛してやまぬ作品だからです。

今、我が家のスピーカーから1954年録音のアルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団による演奏が流れています。
「プロローグ」だけの録音ですが、あのトスカニーニも、このオペラを愛したのでしょう。
古い録音ですが、何か時代を超えた熱気、情熱を感じています。
さてさて、番組後半のザルツブルク音楽祭での歌劇「オテロ」の印象が気薄。
改めて見直すことにしましょう。





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2007年、ミラノ・スカラ座の楽劇「トリスタンとイゾルデ」

2016年03月25日 10時55分11秒 | オペラ
ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」は私にとって特別なオペラ。以前、私がクラシック音楽の深みに入って行ったことに、3つの転機(3つの大きな扉)があり、その扉を開けて行くたびにクラシック音楽の深みに入って行ったことをコメントしたことがありますが、その2枚目の扉が楽劇「トリスタンとイゾルデ」である。

カール・ベーム・没後30周年 「出会い」

さて数日前、その楽劇「トリスタンとイゾルデ」の全曲DVDが届きました。
2007年のミラノ・スカラ座での公演の映像。指揮はダニエル・バレンボイム、演出はパトリス・シェロー。
以前からシェローの演出を見たかった映像だったのですが、手がでなかった。
しかし、今回、限定特価1490円だったので迷わず飛びつきました。
ヴァルトラウト・マイヤーのイゾルデが素晴らしかった。立派だった。
バレンボイムの指揮も立派ななものですが、第2幕の序奏のフニャとした響きにズッコケる。録音のせいかな?私が愛聴しているカール・ベーム指揮の1966年のバイロイト音楽祭のライブ録音の強い響きに慣れてしまっているためだろうか・・・?
シェローの演出は私にとってはウ~ン?である。
こういう演出が好きな方もいるのは分かっていますが、どうも私は今一つだった。
同じバレンボイムの指揮の1983年のバイロイト音楽祭でのジャン=ピエール・ポネルによる美しく幻想的で瑞々しい演出が懐かしくなった。
第3幕の最後、イゾルデの愛の死の場面では、シェローはイゾルデをいろいろ動かし、最後は額から血が流れてくるという手の込んだ演出。逆にポネルの演出ではイゾルデはほとんど直立不動ですが、たっぷりとワーグナーの素晴らしい音楽を味わうことができ、私はやはりポネルの演出の方が好きだな。
聴かせどころは、しっかりと聴きたいもの。
ただ今となっては1983年のバイロイトの映像状態は良いとは言えないので、私は、その時の気分でミラノ・スカラ座盤とバイロイト盤を選んで見るのかな。
ミラノ・スカラ座の映像では公演が終わりカーテンコールの最後、ステージ上に指揮のバレンボイムを真ん中にしてオーケストラのメンバーがズラリと勢揃いして拍手を浴びているシーンは壮観でした。
これからも私にとって「トリスタンとイゾルデ」の旅は続いていくでしょう。





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浅田真央さんとミレッラ・フレーニ

2016年01月23日 16時09分46秒 | オペラ
毎晩、仕事から帰って必ず見る映像は、昨年暮の全日本選手権での浅田真央さんの「蝶々夫人」の演技。
最初、トリプルアクセルでの転倒などジャンプのミスはありましたが、後半の浅田真央さんに蝶々さんが何か乗り移ったような演技に、飽きもせず毎晩見ています。
歌劇「蝶々夫人」は大好きなオペラ。とことん聴き込んだオペラ。その大好きなオペラの音楽での浅田真央さんの演技。すっかり私にとって特別なプログラムになってしまいました。
さて浅田真央さんのプログラムでの「ある晴れた日に」の音源で歌っているのはミレッラ・フレーニである。
イタリアの名ソプラノ歌手。大昔、私が高校生の時、初めて手にしたオペラの全曲盤を手にしたのはカラヤン指揮のプッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」のレコードでしたが、そのレコードでヒロインのミミを歌っていたのがフレーニだった。
また、あの事件だったと言っていいミラノ・スカラ座の初来日公演で見た歌劇「ラ・ボエーム」でのミミ役もフレーニだった。
ミレッラ・フレーニは私にとって特別な存在のオペラ歌手である。
そのフレーニの歌に乗っての浅田真央さんの演技。
こんな私の胸をときめかすことはありません。
浅田真央さんとミレッラ・フレーニが歌劇「蝶々夫人」でつながるとは夢にも思いませんでした。
フィギュアスケートとオペラを愛する私にとって、これ以上の喜びはありません。
ヴォーカル入りのプログラムが解禁になった時、大好きなオペラのアリアを真正面から受け止めたプログラムを見たいと願ったものですが、浅田真央さんで実現するとは!
それも単にオペラの音楽で演技しましたというものではなく、そのオペラにある心情、感情が見事に顔の表情や体の動きで表現されている素晴らしい浅田真央さんのプログラム!
これもヴォーカル入りのプログラム解禁の恩恵である。
今もイタリアのモデナで在住のフレーニは、今シーズンの浅田真央さんのプログラムのことはご存じなのでしょうか?
「日本が誇るフィギュアスケートの選手である浅田真央さんが、あなたの歌で素晴らしい演技を見せてくれていますよ!」と本当にフレーニに伝えたい私の気持ち。
ところで本来ならば公休日だった昨日は仕事したので、今日は振替の公休日。
朝から手にしたのは歌劇「蝶々夫人」の全曲CD.
このところブルックナーやマーラーもご無沙汰になってしまった。
今日聴いた録音はレナータ・テバルディの蝶々さん、トゥリオ・セラフィン指揮ローマ聖チェチリーア音楽院管弦楽団、合唱団による1958年の録音。(デッカ盤)
このところ何故かテバルディの録音をよく聴くようになった。やはり、これもテバルディの持つ声の魅力か?
とにかく今は3月のボストンでの世界選手権での浅田真央さんが最高の演技を見せて欲しい、「蝶々夫人」で世界中のフィギュアスケートファンを感動させて欲しいと願うばかりです。


2015年、全日本選手権より


ミレッラ・フレーニ

いろいろ映像を探していたら今日CDを聴いたレナータ・テバルディの歌う「ある晴れた日に」の映像を見つけました。
参考までに。



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歌劇「オテロ」~1976年12月7日、ミラノ・スカラ座

2016年01月15日 16時44分48秒 | オペラ
昨晩は久し振りにヴェルディの歌劇「オテロ」全曲をDVDで見る。
1976年12月7日、ミラノ・スカラ座での公演。
オテロをプラシド・ドミンゴ、デズデモナはミレッラ・フレーニ、そしてヤーゴはピエロ・カプッチルリという当時の最高の顔ぶれ。
指揮はカルロス・クライバー、演出はフランコ・ゼッフィレッリ。
かなり以前、確か、このDVDを購入した時もコメントしたはずだが、改めて見直してみると、やはり物凄い公演の記録である。
残念ながらオリジナルのフィルムの劣化のためか、たいへん映像状態が悪く、特に第3幕は辛いものがあるが、やはり第1幕の冒頭から第4幕のオテロの死まで、目が離せなかった。
やはり演奏の凄さであろう。クライバー指揮の緊張感あふれるオーケストラの演奏。また主役たちの表情も素晴らしいものがあった。これもフランコ・ゼッフィレッリの演出の賜物であろう。
オテロ役のドミンゴ。最近はバリトン役も歌っていて、この前、プッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」をテレビで見ましたが、ドミンゴに関しては面白いと思わなかった。やはりドミンゴはテノール。この頃のドミンゴが声の艶など一番良かったのでは?と思ってしまう。
フレーニのデズデモナ。最高!素晴らしい声!
第1幕の大詰め、オテロとの2重唱は本当に美しい。
そしてカプッチルリの歌うヤーゴ。いや演ずると言うべきか。
ヤーゴという悪党が少しずつ、幕が進むにつれて、徐々に牙をむいていく様が、カプッチルリの歌と演技によって見事に出ていて、このオペラの凄さを見せつけてくれる。
これこそ歌劇「オテロ」の本当の醍醐味かもしれない。
第3幕の最後、気絶して倒れているオテロを前に、不気味に、そして高らかに笑い声を上げるカプッチルリのヤーゴ。
悪党が一気に本性を見せた瞬間の凄さ。
ピエロ・カプッチルリ!素晴らしいヴェルディ・バリトンだった。
このDVD、訳の分からないレーベルのDVD.今も手に入るのだろうか?
指揮者のクライバーが指揮台に登場した時のスカラ座の聴衆の反応もライブならでは面白さがありました。
映像状態の悪さを乗り超えて、オペラを見る楽しさを十分に伝えてくれるものがあり、このDVDを大切にしていきたい。





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「レナータ・テバルディ~アーリー・イヤーズ」

2016年01月08日 11時22分52秒 | オペラ
「レナータ・テバルディ~アーリー・イヤーズ」

1. ヴェルディ:歌劇「アイーダ」より「勝ちて帰れ」
2. ヴェルディ:歌劇「トロヴァトーレ」より『穏やかな夜」
3. グノー:歌劇「ファウスト」より「宝石の歌」(イタリア語歌唱)
4. プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」
5. プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」より「この柔らかなレースの中に」
6. プッチーニ:歌劇「トスカ」より「歌に生き、愛に生き」
7. モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」より「愛の神よ」
8. モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」より「スザンナはまだ来ない~幸せな日々はどこへ」
9. チレア:歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」より「私はいやしい召使です」
10. チレア:歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」より「哀れな花よ」
11. カタラーニ:歌劇「ワリー」より「もう安らかではいられない」
12. マスカーニ:歌劇「ロドレッタ」より「あの人の名前!~フラメン、わたしを許してください」
13. ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」より「やっと遠ざかっていった~暗い森、荒れ果てた地」
14. レフィーチェ:歌劇「チェチーリア」より「神の愛ゆえに」
15. レフィーチェ:歌劇「チェチーリア」より「Grazie, sorelle」

レナータ・テバルディ(ソプラノ)アルベルト・エレーデ指揮スイス・ロマンド管弦楽団(1-6)ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団(7-15)
(1-6)1949年録音、(7-15)1955年録音 (デッカ盤)

正月早々の1月2日に宅急便で届いて家族から大ヒンシュクを買ったCDの1枚。
超お買い得価格の800円。(ここが大切)
1950年代から1960年代にかけて世界のオペラ界をマリア・カラスと人気を二分した大プリマドンナのレナータ・テバルディの初期のオペラアリア集。
デビュー当時、トスカニーニから「天使の声」と評された美しい声。
特に興味深く聴いたのは1949年録音のデビュー盤。
その中にも、スケールの大きさが既に備わっていて、その後の大きく羽ばたいたキャリアを予感させるものがあります。
さて私はテバルディが蝶々さんを歌った1951年の録音の全曲CDを持っています。
テバルディの歌劇「蝶々夫人」全曲盤というとセラフィン指揮の1958年の録音が有名ですが、円熟味は確かに1958年盤の方が勝りますが、私は、どちらかというと1951年の録音の方が好きですな。
第1幕の蝶々さんの登場でのテバルディの声の瑞々しさ。
声の魅力では古い1951年盤も無視できないものがあります。
おっと!最後は歌劇「蝶々夫人」になってしまいました。
これも昨年暮のフィギュアスケートの全日本選手権での浅田真央さんの演技の余韻が、まだまだ残っているようだ。




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今年最初はワーグナー!

2016年01月05日 11時07分24秒 | オペラ
毎年1月3日のお楽しみは「NHKニューイヤーオペラコンサート」の放送を見ること。
残念ながら、当日、職場から帰宅すると放送は終わっていましたが、録画を遅い正月の酒を浴びながら?見る。
最初は「トスカ」や「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」など、いつもながら面白みのない選曲で私のノリも悪く、「ドン・カルロ」からの「むごい運命よ」では、正月早々から何とかならぬものかと思ったりしましたが、「ホフマン物語」の舟歌からノッてきて、「セリビアの理髪師」のハイライトでは、酒の効果もあり?ご機嫌になる。フィナーレでは、かなり歌っていた。
そして「メリー・ウィドウ」の「女・女・女」でも歌っていたら娘から「うるさい!」と一喝される。
すんまへん。

さて今日は今年最初の公休日。今年のCDの聴き始めの最初の1枚。

「偉大なるワーグナー歌手たち」
イングリート・ビョーナー(ソプラノ)、エリーザベト・グリュンマー(ソプラノ)、マーティナ・アーロヨ(ソプラノ)、ルドルフ・ショック(テノール)、アニヤ・シリア(ソプラノ)、ゴットロープ・フリック(バス)、テオ・アダム(バス・バリトン)、ヨゼフ・グラインドル(バス)、フランツ・クラス(バス)、カタリーナ・リゲンツァ(ソプラノ)
クルト・アイヒホルン、ホルスト・シュタイン他指揮ミュンヘン放送管弦楽団(1963年~1971年録音、Br Klassik 盤)

1月2日に宅急便で私がネットで注文していたCDが届き「新年早々から、いいかげんにしろ!」と家族からヒンシュクを買ってしまう。
今年1年も前途多難でござる。
さて、1年の最初はワーグナー!やはり気合が入ります。
このCDはバイエルン放送の持つ豊富なアーカイブの中から選りすぐったワーグナーの歌唱をCD化したもので、ワーグナーの生誕200周年の時に記念盤として発売されていたらしいが、まだ手にしていなかった。
正にワーグナー・ガラコンサート!
録音も高音質でマスタリングされているとのことでワーグナーの名歌手たちの歌を堪能する。
1曲目のイングリート・ビョーナーの歌う「タンホイザー」からの「おごそかなこの広間よ」で、広がりのあるビョーナーの歌声からノリノリ。
アニヤ・シリアは「さまよえるオランダ人」からゼンタのバラード「ヨホホエ! 海原に船を見かけましたか?」
テオ・アダムの「ワルキューレ」から「ヴォータンの告別と魔の炎の音楽」
正に極め付き。ゾクゾクしてくる。
やっぱりワーグナーはいいねえ!
CDの最後はカタリーナ・リゲンツァの歌う「トリスタンとイゾルデ」からイゾルデの死「おだやかに静かに彼がほほえんで」である。
一番楽しみにしていた演奏。たっぷりとした歌で最高の締めくくり。
リゲンツァをイゾルデ役を得意にしていてバイロイト音楽祭でも歌っていましたが正規の録音はなかったはず。また彼女の演奏自体、録音が少ないので、本当に貴重である。
バイエルン放送には、まだまだお宝録音があるのかな?ぜひCD化され聴いてみたいものです。




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メトの歌劇「ファルスタッフ」

2015年10月30日 09時17分06秒 | オペラ
25日の深夜、NHK・BSで今年のバイロイト音楽祭から楽劇「トリスタンとイゾルデ」が全曲放送されました。
演出はリヒャルト・ワーグナーの曾孫のあたる カテリーナ・ワーグナー。
怖いもの見たさ?もあり全曲通して見ましたが、ゲッソリする。
第1幕、トリスタンとイゾルデは妙薬は飲まないと言う演出。物凄い違和感。
そして第2幕の長大な愛の2重唱。誰もがワーグナーの音楽に酔いたいもの。
しかし、それを否定するかのような訳の分からない舞台装置と演出。私はついて行けなかった。
クリスティアン・ティーレマン指揮バイロイト祝祭管弦楽団の演奏が良かっただけに残念。
それにしても私自身、現在の新演出とか読み替え演出を受け入れる感性がないのだろうか?と自己嫌悪に陥るような気持ちになる。

そして昨日、1枚のDVDが届き、深夜まで一気に見入る。
ヴェルディの歌劇「ファルスタッフ」全曲のDVD.
2013年12月14日、メトロポリタン歌劇場でのライヴの映像。
指揮はジェイムズ・レヴァイン、演出はロバート・カーセン。
こちらも時代を現代に設定した読み替え演出。
読み替え演出の苦手な私ですが、最後まで面白く、楽しく見てしまう。
あの太っちょを中心にした人間喜劇、そして若い恋人たちの語らい。
それは、昔も今も変わらないもの。時代を超えた人間賛歌と言うべきか。
それにしても第3幕第2場のフィナーレの演出は本当に素晴らしかった。登場人物の動かし方、表情は見事!
私は見事に演出のロバート・カーセンの術中にはまってしまったようだ。
指揮は体調不良で長らくステージから離れていたジェイムズ・レヴァイン。メト復帰の公演だったとのこと。
立つことが、もう難しいようで、カーテンコールでも舞台の上の上には現れず、ひたすら指揮台で座って歌手たちに拍手を送っていました。
まだまだ、いつまでもお元気でオペラの公演を振って欲しいと願うばかりです。




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デル・モナコの歌劇「オテロ」

2015年10月20日 16時29分54秒 | オペラ
ヴェルディ 歌劇「オテロ」(全曲)

マリオ・デル・モナコ(オテロ)レナータ・テバルディ(デズデモナ)アルド・プロッティ(イアーゴ)アルベルト・エレーデ指揮ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団&合唱団(1954年録音、デッカ盤)

デル・モナコの生前の最高の当たり役である歌劇「オテロ」の最初の録音のCDが届く。
そして全曲を聴き終えて、うまく言葉で表現できませんが、何かイタリアオペラの持つ本当の雰囲気と言うか、これぞヴェルディの音楽の響きというものに大いに満足する。これは当時のイタリアオペラのスペシャリストだった指揮者のエレーデの力でしょう。こういう演奏はインターナショナル化された現在では、もう聴くことは出来ないでしょう。
デル・モナコの「オテロ」の全曲録音では同じデッカでの1961年に録音されたカラヤン指揮ウィーンフィルとの録音の方が超有名で、今でも歌劇「オテロ」の決定盤的録音で、絶対に「オテロ」を語るには、外してはいけない録音であることは、私も十分に熟知しています。
その上で、この1954年の録音。ステレオ録音初期の録音で、コーラスが、奥まって聴こえるのが残念ですが、デッカも開発されて日の浅いステレオ録音にいろいろと苦労していたのでしょう。逆に1961年の録音は、ステレオ録音の効果をフルに発揮しようとしているのですが、プロデューサーのカルショウの好みが出過ぎていて、世間様が大絶賛する割には、いま一つ好きになれない録音です。
ただ1961年盤のカラヤン指揮のウィーンフィルの演奏は絶対的なものがあることは、よく分かっています。
主役の3人は1954年盤も1961年盤も同じキャストですが、歌唱は、この1954年盤の方が上ではないかと思います。声の艶、瑞々しさなど1961年盤では、失われているものが1954年盤にはあります。テバルディの美声。そして、特にイヤーゴ役のプロッティのバリトンの声の威力は1961年盤では聴けないものがあります。
そしてデル・モナコの声の凄さ、ド迫力。そして輝かしさ。正に圧倒的。
第1幕、オテロが登場しての第一声。

喜べ!傲慢な回教徒は
海中に沈んだ。
栄光は神と我らの上にある。
戦いのあとで、彼らは暴風雨にやられたのだ。

ここでのデル・モナコの声!声!声!
身震いがするような輝かしさ、威力である。
1954年当時、ライバル会社のEMIは、まだモノラル録音だった頃、早々とデッカがデル・モナコの代名詞と言うべき「オテロ」の全曲を絶頂期にステレオ録音で残してくれたことを心から喜び感謝したい。






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今日も歌劇「蝶々夫人」

2015年10月13日 09時23分43秒 | オペラ
今日も朝から歌劇「蝶々夫人」のCDを聴いている。ジャパンオープンでの浅田真央さんの演技を見て以来、元々大好きなオペラだけに病的な状態に陥ってしまったようだ。
ちょっとだけ、このオペラを紹介。

作曲家のプッチーニは1900年に自身のオペラである歌劇「トスカ」のイギリス初演で、ロンドンへ招かれる。
そしてロンドンデーヴィッド・ベラスコの戯曲「蝶々夫人」を観劇。英語で上演されていたため、詳しい内容はわからなかったらしいが、プッチーニはたいへん感動し、次の新作の題材に「蝶々夫人」を選んだ。
イタリアに戻ったプッチーニはオペラの制作を開始。
当時のヨーロッパはジャポニズムが大流行の時。プッチーニは日本の雰囲気を出すために日本音楽の楽譜を調べたり、レコードを聞いたり、日本に関する資料を集める。また当時の駐伊日本大使夫人の大山久子を通じて日本の音楽や文化の情報を集めた。1902年にはプッチーニはパリ万国博覧会で渡欧していた川上貞奴にも会っていたらしい。
このオペラには「宮さん宮さん」「お江戸日本橋」や「君が代」などの旋律が登場し、日本的情緒を高めている。

舞台は明治時代の長崎。
長崎に寄港していたお気楽?アメリカ海軍中尉ピンカートンは芸者の蝶々さんと結婚する。
そして時は流れ、ピンカートンがアメリカに帰国して3年。
待って、待って、やっとピンカートンを乗せた船が入港。
しかしピンカートンとの間に生まれた子供と女中のスズキと3人待ち続けていた蝶々さんですが、そこにはアメリカで結婚した夫人ケイトを伴ったピンカートンの姿。
スズキから蝶々さんがどんなに彼の帰りを待ち続けていたか聞かされたピンカートンは自責の念からか逃げるように立ち去る。
そして蝶々さんはピンカートン夫人に会って全てを悟り、子供に別れをを告げて、自殺を図る。遠くから「蝶々さん」と叫ぶピンカートンの声を聞きながら・・・。

1904年2月17日のミラノ・スカラ座での初演は大失敗。
プッチーニは、翌日、すぐにスコアを引き上げ、改訂を重ね、現在の形になる。
ミラノ初演版では、第1幕の結婚式の場面で蝶々さんの親類が大活躍。第2幕では蝶々さんとピンカートン夫人との激しいやりとりがあり、現在、ピンカートンによって歌われている「さらば愛の巣」はない。
また第1幕の蝶々さんの登場や大詰めの愛の2重唱の旋律は大きく違っている。
歌劇「蝶々夫人」の全曲を聴き込んでからミラノ初演版を聴いてみるのも、面白いでしょう。

私が歌劇「蝶々夫人」の全曲レコードを手にしたのは大学生の時。当時、オペラに魅せられた貧乏学生の私は少ないお金が貯まっては少しずつオペラの全曲レコードを買い求めていたのですが「蝶々夫人」の購入は遅かった。理由は「ラ・ボエーム」や「トスカ」はLPレコード2枚組でしたが「蝶々夫人」は3枚組だったからである。
やっと手にした初めての「蝶々夫人」の全曲盤はマリア・カラスの歌う蝶々さん、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団による1955年録音のEMI盤。当時6980円。30余年前の貧乏学生にとっては、けっして安い買い物ではありませんでした。
第1幕の冒頭、どんな異国情緒あふれる旋律が流れてくるのかと思っていましたが、流れてきたのは、その後の蝶々さんの運命を暗示するような激しい音楽に驚いたことを今も憶えています。
第1幕での蝶々さんの登場の場面の華やかさ、そして第1幕大詰めの蝶々さんとピンカートンの2重唱の美しさの高揚感。初めて聴いた時から現在まで、私にとって全く変わりません。
マリア・カラスの声は第1幕はやはり可憐さの必要な15歳の少女を歌うには強烈かな?と思ったりしますが、第二幕となるとカラスの独壇場である。声が演技をしているとしか言い様がありません。
しかし、一たびマリア・カラスの洗礼を浴びると逃れられないものがあります。

第二幕第二場の冒頭ピンカートンを待って一夜を明かした蝶々さんがわが子を寝かす時に歌われる子守歌。
 
「いらっしゃるは、いらっしゃるは、きっと。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 おやすみ、かわいい坊や、私の胸でおやすみ。
 お前は神様と、私は苦しみと一緒。
 金星の光はお前のものに。
 坊や、おやすみ」

Verra(いらっしゃるは)のたった一言のことばに込めたカラスの思い。何という悲しさでしょうか。この時のカラスの歌はまさに蝶々さんの悲しさそのもの。ここの場面を他の歌手で聴くと単に美しく歌いましたとしか聴こえません。

さて私の歌劇「蝶々夫人」全曲のお気に入りのCDには、こんなのもあります。
ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレスの蝶々さん、ユッシ・ビョルリンクのピンカートン。ガブリエーレ・サンティーニ指揮ローマ国立歌劇場管弦楽団による1959年録音のEMI盤。
ロス・アンヘレスに歌われる可憐な蝶々さん。そしてビョルリンクの素晴らしいテノールの声。
カラス盤は別格として、一番のお気に入りです。
浅田真央さんの演技で、しばらく歌劇「蝶々夫人」から逃れられない日々が続きそうです。




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歌劇「蝶々夫人」

2015年07月03日 10時35分58秒 | オペラ
今、私のスピーカーからプッチーニの歌劇「蝶々夫人」から第1幕の音楽が流れている。
ミレッラ・フレーニの蝶々さん。ホセ・カレラスのピンカートン。テレサ・ベルガンサのスズキ。ジュゼッペ・シノポリ指揮フィルハーモニア管弦楽団による1987年録音のドイツグラモフォン盤。
今シーズンのフィギュアスケートの浅田真央さんのプログラムが発表された。フリーは歌劇「蝶々夫人」の音楽。
この情報は、このオペラを愛する私をどれだけ私を喜ばせたでしょうか!
2012~2013年のシーズン、浅田真央さんはフリーでチャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」の音楽に乗って見事に、この傑作バレエの世界を、そして見事に氷上でオデットとオディールの2役を演じきってくれました。
そして今シーズンはオペラである。それも「蝶々夫人」である。氷上で、どんなドラマを表現してくれるのか今から楽しみでたまらない。

さて歌劇「蝶々夫人」と言うと誰もが、あの有名なアリア「ある晴れた日に」を知っていると思います。
しかし、このオペラは全2幕、演奏時間が約2時間20分の長大なオペラなのである。

1900年、歌劇「トスカ」がイギリス初演された時、ロンドンに招かれたプッチーニはデーヴィッド・ベラスコの戯曲「蝶々夫人」を観劇し、たいへん感激する。そして次の作品の題材に「蝶々夫人」を選んだ。
イタリアに帰国後、これまでプッチーニのオペラの台本を手掛けたジュゼッペ・ジャコーザとルイージ・イッリカとオペラの制作を開始。
またプッチーニは当時、日本大使夫人の大山久子に再三会って日本の事情を聞き、民謡など日本の楽譜を調べたりして日本の雰囲気を出そうとする。
1904年2月17日、ミラノ・スカラ座にて世界初演。しかし大失敗。
当時ヨーロッパではジャポニズムが流行していたとは言え、すぐに受け入れられるには、この作品はあまりにも当時のオペラからは、かけ離れたものがあったのかもしれません。
しかし、プッチーニはこのオペラを見放さなかった。何度か改訂を重ね現在の形になる。
私は1904年ミラノ初演版による演奏のCDを持っていますが、第1幕の結婚式では蝶々さんの親戚が活躍し、第2幕では蝶々さんとピンカートン夫人ケイトと激しいやりとりがあり、ピンカートンが歌う「さらば愛の巣」はありません。また第1幕の蝶々さんの登場や愛の2重唱のメロディも現状と違うものがあり興味深いものがあります。

舞台は明治時代の長崎。
長崎に寄港していたお気楽?アメリカ海軍中尉ピンカートンは芸者の蝶々さんと結婚する。
そして時は流れ、ピンカートンがアメリカに帰国して3年。
待って、待って、やっとピンカートンを乗せた船が入港。
しかしピンカートンとの間に生まれた子供と女中のスズキと3人待ち続けていた蝶々さんですが、そこにはアメリカで結婚した夫人ケイトを伴ったピンカートンの姿。
スズキから蝶々さんがどんなに彼の帰りを待ち続けていたか聞かされたピンカートンは自責の念からか逃げるように立ち去る。
そして蝶々さんはピンカートン夫人に会って全てを悟り、子供に別れをを告げて、自殺を図る。遠くから「蝶々さん」と叫ぶピンカートンの声を聞きながら・・・。

歌劇「蝶々夫人」はドラマである。
第1幕は愛の喜び。
そして第2幕はひたすら待ち続ける蝶々さん。そして絶望、悲劇的な最後。
ひたすら蝶々さんの死へ突き進んでいく緊迫したドラマである。
そして、そのドラマと一体になって進んで行く、時には美しく抒情的、そして時には激しいプッチーニの音楽。
私が初めて歌劇「蝶々夫人」の全曲レコードを手にしたのは大学生の時。3枚組のレコード。
1枚目のA面。いよいよ歌劇「蝶々夫人」の開幕の音楽。
どんな異国情緒あふれた音楽が流れてくるのだろうかと思っていましたが、第1幕冒頭に流れてきたのは蝶々さんの運命を暗示するような激しい音楽。本当に驚いた。あの衝撃は今も忘れられない。
第1幕の最高の聴きどころは、やはり大詰めの蝶々さんとピンカートンによる2重唱「夕暮れはせまり」でしょう。
これ以上ないと思うくらい甘く美しい2重唱。
この美しい2重唱を聴いている時、既に私は蝶々さんの悲劇的な最後を当然知っているだけに、何か胸が締め付けられるような思いになります。
また私が、いつも胸を締め付けられるのは第2幕第2場、一晩中、寄港したピンカートンを待っていた蝶々さん。しかし彼は彼女の元には帰ってこなかった。そこで蝶々さんが子供に歌う子守歌は何度聴いても本当に涙が出ます。

おやすみ、かわいい坊や、
私の胸でおやすみ。
お前は神様と、
私は苦しみと一緒。
金の星の光は
お前のもとに。
坊や、おやすみ。


浅田真央さんがシーズンのプログラムを発表しただけで盛り上がっている私。
先が思いやられますな。
本当に申し訳ございません。




第1幕の大詰めの2重唱。私の大好きなアンジェラ・ゲオルギューが蝶々さんを歌っています。ピンカートンを歌っているのはゲオルギューの元亭主のアラーニャ。

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