オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

あと35日。

2008年05月31日 22時45分56秒 | 荒川静香さん
今日、本社より7月、8月の決定スケジュール表がFAXで流れていた。すぐに7月5日の欄に目が行く。何もない!本当に良かった!(次の週は大きなイベントが入っているので危なかった!)
横浜へ行って荒川静香さんと中野友加里さんに会えることが、いよいよ現実的になって来た。とにかく今はどんでん返しが無いように祈るのみである。
事務所で喜んでいると事務のお姉さま(おばさんとは恐ろしくて言えない)もなぜか安堵していた。理由を聞くと当日、大阪城ホールへ松田聖子のコンサートへ亭主と行くとのこと。皆さん、心労が絶えないようです。

「心より心へ」

2008年05月30日 23時00分34秒 | 音楽
ベートーヴェン 「ミサ・ソレムニス」ニ長調 作品123

澤畑恵美(ソプラノ)福原寿美枝(アルト)市原多朗(テノール)井原秀人(バリトン)
井上道義指揮、兵庫芸術文化センター管弦楽団(コンサートマスター 四方恭子) 神戸市混声合唱団

5月30日兵庫芸術文化センター大ホール

独唱者、コーラスが登場する大掛かりなオーケストラコンサートを生で聴くのは本当に久し振りである。この前に聴いたのはいつだったのか、さっぱり記憶が無い。兵庫芸術文化センターの大ホールはもう何度か来ているが純粋なオーケストラのコンサートは初めてである。席は前から4番目のど真ん中。まさに指揮者の真後ろである。これだけ前の方でこれだけの大曲を聴くと普通のホールだと耳が痛くなる事があるが、さすがこの木造の大ホールは、そんな事は全く無くバランス良く鳴り響いた。素晴らしいホールである。

今回、生演奏で「ミサ・ソレムニス」を聴いて、この作品がベートーヴェンの数多い傑作の中でまさに最高の作品であることを本当に確信した。反対意見もあると思いますが有名な第9交響曲よりも上である。素晴らしい演奏であった。井上氏の指揮は見事である。ハッタリは皆無で、こんな素晴らしいベートーヴェンを振るとは予想外であった。そしてこの作品の要のコーラスが本当に素晴らしかった。たいへんなリハーサルを積んできたものと推測されます。
第1曲のキリエでオケの序奏のあと、コーラスが歌いだしたとたん涙が出て困った。そして第2曲のグローリアでの壮麗で、音楽の大きさ!第4曲サンクトゥスの美しさ。独創的なヴァイオリン・ソロ。ソロの直前、コンサートマスターの緊張しきった表情が印象的であった。
今回、私は今日の公演のみ聴きましたが5月に入って、ベートーヴェンチクルスとして、すでに3回、交響曲第1番から第8番まで連続して演奏しており今日が最終回であった。最終回が第9でなく「ミサ・ソレムニス」なのが、指揮者もオケも大変だったと思いますが、さすがである。

プログラムよりの作品紹介
「・・・自筆譜の冒頭に記された”心より出て、願わくば、再び心へ至らんことを”という言葉通り、宗教音楽および宗教行事の約束事よりも、作曲者自身の進撃な情熱が全編にみちあふれ、一人の偉大な天才が、唯一なる神と胸襟を開いて交わり合っている趣きが漂う力作となっています。・・・」

最後の演奏が終わった後、聴衆の場違いなブラボーの叫び声がいっさい無かったのが本当に良かった!熱い拍手のみである。気持ち良く会場を後にすることが出来、幸せであった。





誕生日と花束

2008年05月23日 17時46分04秒 | 私事
今日は何と我が家の財務大臣の誕生日である。(年齢不詳)
昨日、店で花束を作ってもらい、大臣に献上する。
それにしても立派な花束であった。(もったいないな~~ 暴言でした。失礼しました)
自店の花工房のスタッフのレベルの高さには驚かされる。アイスショーで荒川静香さんに渡されたいる花束の写真を見ても、けっして負けるものではない。彼女が心を込めてつくった花束を荒川さんに渡す事が私の念願である。
私が花束を持って事務所へ帰ると、一人の女子社員が言った。
女子社員「あら、その花束、アラカワシズカに渡しに行くの?明日、仕事休むの?」
私「うるさい!荒川さんを呼び捨てにするな!」
何で私が荒川さんの大ファンである事を知っているの?

来週の金曜日、神戸へ井上道義の指揮するベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」を聴きに行くことを、すっかり忘れていた!ベートーヴェンの最高峰の作品を生で聴けると思うと胸がわくわくしてきます。

朝比奈隆のブルックナー交響曲第5番

2008年05月23日 11時29分42秒 | 朝比奈 隆(生誕100年記念)
ブルックナー 交響曲第5番 変ロ長調

第1楽章 アダージョーアレグロ
第2楽章 アダージョ
第3楽章 モルト・ヴィヴァーチェ
第4楽章 アダージョーアレグロ・モデラート

第4番までの作品には無いスケールの大きさで演奏時間も1時間を越える大曲である。特に第4楽章はフーガが使用されており、最後は息の長い圧倒的としか言い様がないクライマックスを聴く事が出来る。作品全体を通じてブルックナーを聴く醍醐味である宇宙の鳴動を感じさせる壮大な作品である。

1875~6年に書かれブルックナーの手によって一度も改訂されていないので、ハース版とノヴァーク版の差異はない。しかし1894年シャルクの指揮で、シャルクの手によって全曲の細部まで改訂しオーケストレーションも書き直したもので演奏された。これが改訂版である。改訂版はクナッパーツブッシュの録音(デッカ)によって聴く事ができる。

私が所持している朝比奈隆の指揮する5番の録音は下記の通りである。
①大阪フィルハーモニー交響楽団(1973年7月東京文化会館でのライブ録音)Tokyo FM盤
②大阪フィルハーモニー交響楽団(1977年10月大阪フェスティバルホールでのライブ録音)ジャンジャン盤
③東京都交響楽団(1980年9月東京カテドラル聖マリア大聖堂でのライブ録音)ビクター盤
④新日本フィルハーモニー交響楽団(1992年サントリーホールでのライブ録音)fontec盤
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⑤シカゴ交響楽団(1996年5月シカゴ・オーケストラ・ホールでのライブ映像)NHKエンタープライズ盤
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⑥大阪フィルハーモニー交響楽団(2001年4月大阪・ザ・シンフォニーホールでのライブ録音)EXTON盤
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参考CD
⑦ギュンター・ヴァント指揮ベルリンフィルハーモーニー管弦楽団(1996年ベルリン・フィルハーモーニーでのライブ録音)RCA盤
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⑤のみDVDである。朝比奈隆はブルックナーの作品の中で5番と8番を最も得意としていた。1950年代から60年代はブルックナーは演奏会のプログラムに取り上げられていたが4番、7番、9番が中心であった。その頃はブルックナーが好きという事ではなく、聴衆にいろいろなスタイルの演奏を聴かせるという使命感からのようである。しかし1970年代になって5番と8番に出会いブルックナーの交響曲を彼自身のレパートリーとしていくのである。①はおそらく彼の残したブルックナーの録音の中で一番古いもので、まだ60代半ばであり⑥は彼の死の年93歳の時の録音である。
朝比奈隆の得意としていた作品なので、どれも名演ぞろいである。③の第4楽章は大変な美しさであるが、本命は最後の録音の⑥であろう。オケの力量もアップし彼の最後の行き着いた演奏であろう。
しかし私が一番好きな演奏は①である。60代の意気盛んな頃の演奏だけに、晩年には見る事の出来なかった凄い感情移入である。たいへんな燃え方である。そしてオケも単に熱演と言えない切羽詰った切実さを感じます。これは自分たちの本拠の大阪を離れて東京での演奏という事も名演になった大きな要素でしょう。気迫充分の第1楽章も素晴らしいですが第4楽章の物凄さ!まさにただならぬ音楽が鳴り響いている。フィナーレの凄さは何と表現したらよいのであろうか?とにかく①は現在、私にとって朝比奈隆の録音の中で一番の愛聴盤である。②は①の演奏を落ち着かせた演奏。もし⑥が無かったら、これが本命だったかもしれません。
そして話題になった⑤の映像である。当時のシカゴ響のマネージャーが来日時、朝比奈隆の演奏を聴き、あまりの素晴らしさに驚きシカゴ響に初めて招いた時の演奏の映像で、朝比奈隆自身アメリカ・メジャーオーケストラ初登場で話題になったものである。映像を見ていてホルンのクレヴェンジャーやトランペットのハーセスといったシカゴ響を代表する大物奏者たちが顔を真っ赤にして朝比奈隆の指揮についていく様は目が離せないものがあります。私は大学生時代ショルティ指揮シカゴ響の初来日公演を聴いています。曲目はマーラーの5番。地響きを立てるような凄いサウンドの物凄いオーケストラでした。そんなオーケストラを巨匠が指揮をする。私が映像を観ていて感じるのは、会場で響いていた音楽はもっと物凄かったのではないかという気がどうしてもしてしまいます。ぜひ映像のないCDでじっくりと聴いてみたい演奏である。
最後に参考で取り上げた⑦はブルックナーの5番を語るにはぜったいはずせない録音である。こちらもヴァント指揮するベルリンフィルの圧巻としか言えない演奏を聴く事ができます。

「ALWAYS 続・三丁目の夕日」

2008年05月20日 15時28分59秒 | 映画
今日、Amazonに予約しておいた「ALWAYS 続・三丁目の夕日」のDVDが手元に届く。財務大臣はまだ知らない。この前「クリスタ・ルートヴィッヒの芸術」などのCDが届いた時は約1週間仕事から帰ってもビールが冷えていなかった!昨日からの雨も上がり天気は快晴だが我が家だけは大嵐の予感!

冒頭のシーンはやはり凄い。本家も顔負けである。今回、見直してみて、やはり薬師丸ひろ子のお母さん役の温かみのある演技が印象に残りました。

携帯電話、高速道路、そしてインターネットなどこの世の中、舞台になった昭和30年代前半と比べて大変便利になりましたが、失ったものも、忘れてしまったものもあるということか・・・
この作品を映画館で見た直後、私が子供の頃、よく蝉取りに行っていた所が取り壊しになって大型マンションの工事が始まりました。私の悪がき時代の面影を残す数少ない場所だっただけに工事現場を初めて見たときの何か共通する寂しさを感じます。

特典映像盤もあるので、ゆっくりと見る事にしましょう。詳しくはこちら

「グレート・スリー・テナーズ・ガラコンサート」

2008年05月20日 10時21分59秒 | オペラ
昨日、NHKハイビジョンで一昨年サントリーホールであった「グレート・スリー・テナーズ・ガラコンサート」の放送がありました。ほとんどの方は三人のテノールと言うと、どうしても、あの「三大テノール」を思い浮かべると思われますが、今回のコンサートは「三大テノール」ではありません。ヴィンチェンコ・ラ・スコラ、ニール・シコフ、ジュゼッペ・サヴァティーニと言う知る人は知る現在、欧米の一流歌劇場のステージに立っているバリバリの現役テノール・オペラ歌手三人の登場です。実はコンサートの直後NHK教育放送で一度放送があり何も気に留めないで観たら、たいへんよかったのですが、残念ながら録画していなかったので今回の再放送は嬉しくてたまりませんでした。
私自身「三大テノール」のコンサートを本当に面白いと思ったのは1回目の1990年のローマでのコンサートのみでそのあとは予定通りのルーティンな印象で興味は全く薄れてしまいました。今回の「グレート・スリー・テナーズ」のコンサートは、それは忘れさせてくれる好企画だったと思います。
何が魅力だったかと考えてみるとやはり1番の魅力は何と言っても、声、声、声、そしてあふれる「歌心」だったと思います。「三大テノール」のように単に有名な3人が並んで歌っているだけという次元とは違っている。テノールの持つ声の魅力、デリケートな部分そして独特な節回しを今回の再放送でも堪能する事が出来ました。なお誤解をまねいては困るのですが私自身は「三大テノール」の一人一人は大好きです。
シコフは相変わらず最初からエンジン全開。伸びのある高音には魅了させられました。ラ・スコラはこの3人の中で一番甘い声。やはりプッチーニのアリアが良かった。そして私が一番好きなサヴァティーニ。前半のオペラアリアでは精彩を欠いていましたが後半のウエストサイド物語からの「マリア」では目が覚めるような素晴らしさ。本当にピンと糸がはったような綺麗な声。CDでの録音がほとんど無いのが素晴らしいテノールだけに本当に残念である。
プログラムの最後の3人でのナポリ民謡メドレー。単なる美声の垂れ流しでは無い歌の世界。特に、この中で私の大好きなトスティ作曲の「かわいい口もと」が歌われたのは本当に嬉しかった。本当に心の底からジーンとしてきました。そしてラストの「オー・ソレ・ミオ」でも三大テノールの時のように単に声を張り上げるではなく、この曲の持つメロディの美しさを味合わせてくれました。

しかし私が一番印象にに残ったのは、やはりラ・スコラの歌う歌劇「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」でした。
「・・・夜よ去れ!星よ沈め!夜が明けると私は勝つのだ!・・・」
ここの部分になると今でも、どうしてもリアルタイムに過ごしたあの日の事を思い出してしまいます。忘れることが出来ない大切な私の心の1ページになってしまいました。
最後はどうしてもトリノでの荒川静香さんになってしまいました。

朝比奈隆のブルックナー交響曲第4番

2008年05月16日 11時57分51秒 | 朝比奈 隆(生誕100年記念)
ブルックナー 交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」

第1楽章 快速に、速すぎぬように
第2楽章 アンダンテ・クワジ・アレグレット
第3楽章 スケルツォ
第4楽章 フィナーレ 快速に、しかし速すぎぬように

「ロマンティック」という表題があるため昔からブルックナーの作品の中ではよく演奏されていた作品である。私自身もはじめて購入したブルックナーのレコードも第4番でよく聴いていたものである。(ベーム指揮ウィーンフィル)
ただ後に8番や9番そして初期の1番や2番を知ってほとんど聴かなくなった。何か他の作品と比べるとなにか充実度、ブルックナーを聴く満足感を感じる事が薄く疎遠になっていた作品である。やはり後期ロマン派の色合いを残す作品なので8番や9番を聴くと何か中途半端で私自身物足りなさを感じ、また初期の作品の方が魅了されたからである。
しかし、後でふれますが晩年の朝比奈隆とギュンター・ヴァントの録音を聴いて考え直させられました。ロマン派の色合いを払拭しブルックナー独特の厳しさ、静寂感そしてスケールの大きさを表現した究極の演奏だと思います。死ぬまでブルックナーを振り続けた指揮者の最高の境地だったのかもしれません。なお朝比奈隆とヴァント、二人ともハース版の支持者であるという共通点があるのがおもしろい。
この作品で一番好きな所はやはり第1楽章の冒頭、弦のトレモレに乗ってのホルンの演奏でアルプスの深い森を想像させます。また以前、つまらなく感じていた第4楽章も今は大好きです。いろいろな主題が連ねられ、最後の静かに盛り上がっていくコーダはゾクゾクさせるものがあります。

1874年に書かれた第1稿は出版も演奏もされなかった。そして1878~80年に第2稿が書かれた。しかし1890年に出版された改訂版は弟子たちの意見によって見るも無残に変えられてしまった。
改訂版から弟子たちによる変更を全て洗い直したものがハース版であり、後年さらにいくつかの修正を加えたのがノヴァーク版である。
なお改訂版で録音しているのが古い録音ですがクナッパーツブシュ指揮のウィーンフィル盤(デッカ)で第1楽章の出だしはびっくりである。

私が所持している朝比奈隆指揮の第4番の録音は下記の通りである。
①大阪フィルハーモニー交響楽団(1976年7月東京文化会館でのライブ録音)ジャンジャン盤
②日本フィルハーモニー交響楽団(1980年5月東京カテドラル聖マリア大聖堂でのライブ録音)ビクター盤
③NHK交響楽団(2000年11月3日4日東京NHKホールでのライブ録音)フォンテック盤
④大阪フィルハーモニー交響楽団(2000年11月27日大阪・ザ・シンフォニーホールでのライブ録音)EXTON盤
詳しくはこちら
参考CD
⑤ギュンター・ヴァント指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1998年1月2月ベルリン・フィルハーモニーでのライブ録音)BMG盤
詳しくはこちら

①は浪速のオーケストラの、ど根性演奏。とにかく一発勝負型の熱い演奏である。晩年のブルックナーの演奏では想像できない面白さがある。③と④は死の1年前の演奏である。③はN響との演奏でレベルの高い演奏であるが、この録音の後の大阪フィルとの④があるため陰が薄い。
上記で述べた通り私にとって④は⑤と並んでこの作品の最高の演奏である。第2楽章アンダンテでの淡々とした中で聴かれる美くしさは言い様がありません。まさに朝比奈隆が行き着いた境地としか言葉で表わすことが出来ません。

次回はいよいよ朝比奈隆が得意としていた第5番である。今、1973年のライブ録音を聴き直していますが、やはり凄い演奏である。最初の大きな山にさしかかっと言うべきでしょう。

プロ3年目を迎えた荒川静香さん

2008年05月13日 15時09分43秒 | 荒川静香さん
荒川静香さんの公式サイトの荒川さんのメッセージが更新されています。

プロ3年目を迎える荒川さんの決意が書かれています。
http://www.shizuka-arakawa.com/message

またプロとしての厳しさも垣間見ることが出来、私自身少々仕事の疲れか愚痴っぽくなってきていて、マイナス思考になってきたかな?と感じていたので荒川さんの更新されたメッセージを読んで目が覚める思いです。荒川さんのご苦労、努力からみると私などまだまだである。
とにかく7月の横浜でのFOIが楽しみである。




朝比奈隆のブルックナー交響曲第0番

2008年05月13日 10時24分22秒 | 朝比奈 隆(生誕100年記念)
本当は第4番の順でしたが今回は少し戻って第0番を取り上げます。当初、第0番からスタートするべきか第1番にするべきか迷いましたが少しでも早くブルックナーの最高傑作の第8番に到達したいという気持ちが強く第1番からスタートしてしまいましたが、私がよくお邪魔するeyes_1975さんのブログでも少し前に取り上げられ、また朝比奈隆が日本初演した作品なので、やはり通り過ぎるわけにはいけないと思い今回、取り上げたいと思います。

ブルックナー 交響曲第0番二短調

第1楽章 アレグロ
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 スケルツォ
第4楽章 フィナーレ、モデラート

1983年、楽譜を整理をしていた作曲者は若い頃の交響曲の楽譜を発見し破棄するにはしのびず、次のように記入しました。
「交響曲第0番、まったく通用しない、単なる試作」
ただ、この「0」という意味は「1より前」という意味ではなく「無効」「無価値」という意味らしい。
作曲者は「単なる試作」と述べていますが1番や2番と並ぶブルックナーの初期の作品と並んで魅力満載で間違いなくブルックナーファンには聴き逃せない作品である。
この作品に関してはeyes_1975さんのブログで詳しく述べられていますので、どうかご覧下さい。
ミュージック・トリビアの世界

①大阪フィルハーモニー交響楽団(1869年ノヴァーク版 1978年大阪フェスティバルホールでのライブ録音)ビクター盤
②東京都交響楽団(1968/1981年ノヴァーク版 1982年東京文化会館でのライブ録音)フォンテック盤
詳しくはこちら

①はこの作品の日本初演のライブ録音。この当時、初めて大手レコード会社から発売された朝比奈隆のブルックナーの録音だった。学生時代、ジャンジャンの交響曲全集を購入できなかった私は本当に飛びつくような気持ちで購入した記憶があります。当時まだ初期の作品をよく聴き込んでいなかった私にとって、あまりよくこの作品の良さがわからなかったのが、その時の実態でした。今、この録音を聴いてみると指揮者自身も手探りのような感じを受けます。
②は日本初演から4年後の録音ですが演奏の差が歴然としている。①の録音にはない豪快さもあり「単なる試作」とは、けっして言えない作品である事を確信させてくれる録音である。また朝比奈隆は1982年以降、第0番をコンサートで取り上げていないので大変貴重な録音である。

「クリスタ・ルートヴィヒ」

2008年05月10日 23時50分33秒 | 今日、聴いたCD
今年はカラヤン生誕100年記念で大変盛り上がっているようですが、全く話題にされていませんが、すでに引退して久しいドイツの往年の名メゾソプラノ、クリスタ・ルートヴィヒが今年の3月80歳をむかえました。私が昔々オペラに興味を持った頃、メゾソプラノと言えばイタリアオペラではフィオレンツァ・コッソット、そしてドイツオペラではクリスタ・ルートヴィヒが第一人者で、そのイメージが今でも強く、現役のメゾソプラノでは彼女たちを超える存在の方に巡り会っていないのが現実です。

ルートヴィヒの声を初めて聴いたのはバイロイト音楽祭のライブ録音のレコード、ベーム指揮「トリスタンとイゾルデ」でのブランゲーネ役でした。それ以降マーラーの「大地の歌」やR・シュトラウスの「ばらの騎士」などの録音で私にとって無くてはならぬ存在となりました。
数日前、予約していた輸入盤ですが生誕80年記念の5枚組のアンソロジー集「クリスタ・ルートヴィヒの芸術」が手元に届きました。(EMI CZS-5176082)
ジャケットの写真はおそらく最近の写真だと思われますが、にこやかな笑顔は年齢を感じさせません。
ブラームス、シューベルト、マーラーなどのドイツ歌曲やマリア・カラスとのベルリーニの歌劇「ノルマ」からの二重唱や「ばらの騎士」第三幕の大詰めの三重唱など盛り沢山の内容となっています。まだ全ては聴けていませんがシューベルトとマラーの歌曲を聴いてみました。歌曲のピアノ伴奏は伴奏の神様ジェラルド・ムーアの名前もあるのが、より贅沢さを増します。
1950年代後半から1960年代前半の録音がほとんどで、以前レコードで購入していた録音もありますがCDで聴き直してみると声の艶の美しさ、素晴らしさにはたいへん驚かされました。私の大好きなシューベルトの「水の上で歌う」も本当に久しぶりに聴いたのですがレコードの時とは比べものにならないくらい感銘を受けました。この曲はルチア・ポップなどソプラノでの歌唱もよいのですがメゾソプラノで聴くと一段と作品の深さを感じます。
今度の仕事が休みの日は一枚目のブラームスからじっくり聴いてみましょう。アルト・ラプソディも収録されていますが指揮はクレンペラーである。公休日が待ち遠しい。

こんな素敵なアルバムが5枚組で3500円という超お買い得だった。国内盤はおそらく発売されないだろう。本当に残念である。

朝比奈隆のブルックナー交響曲第3番

2008年05月09日 12時00分00秒 | 朝比奈 隆(生誕100年記念)
ブルックナー 交響曲第3番 ニ短調「ワーグナー」

第1楽章 より遅く、神秘的に
第2楽章 アダージョ
第3楽章 スケルツォ
第4楽章 アレグロ

第3番はブルックナー自身が「ワーグナー・シンフォニー」と呼んでいた作品。作曲者が、さんざん失敗を繰り返したあげく、やっとこさ彼の尊敬するワーグナーに捧げた交響曲だからである。ところがワーグナーに献呈する作品が2番だったか3番だったか分からなくなりワーグナーに尋ねてしまった。
「トランペットで主題で始まるニ短調のほうでしょうか?」
それからというもの、ワーグナーはブルックナーが話題になると「ああ、あのトランペット」と言って笑っていたというエピソードを聞いた事があります。
作品は1番、2番のあとですが、充実度、スケールの大きさには目をみはるものがあり、朝比奈隆による名演奏によっては後期の作品に匹敵するのではないかと思うくらいである。

さて第3番の楽譜は複雑で頭が痛くなってくる。1873~4年版の第1稿はワーグナーの作品からの直接の引用を含んでいたがブルックナーが第2稿で削除してしまった。そして1888~90年シャルク兄弟の説得でいやいや?再改訂したものが第3稿である。
1929年組織された国際ブルックナー協会は原典版をロバート・ハースによって編集、出版されることになったが第3番はハースではなくエーザーによって編集された。エーザーは第2稿を編集したものであり、後年ノヴァークは第3稿を底本としている。

①大阪フィルハーモニー交響楽団(エーザー版、1977年大阪フェスティバルホールでのライブ録音)ジャンジャン盤
②大阪フィルハーモニー交響楽団 (ノヴァーク校訂第2稿1977年 1984年大阪フェスティバルホールでのライブ録音)ビクター盤
③大阪フィルハーモニー交響楽団 (ノヴァーク版、第3稿 1993年 大阪フィルハーモニー会館でのスタジオ録音)キャニオンクラッシックス盤
詳しくはこちら
参考CD
④ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団(第3稿による改訂版 1954年ウィーンにて録音)デッカ盤

朝比奈隆は3度、第3番を録音したが全て使用楽譜が違います。ハース盤が無い為いろいろ思案した為と想像されます。②はエーザー版をノヴァークが校訂したもので世界初録音だったと記憶しています。なお②は二枚組のレコードでしたが最後の面には第2楽章の異稿で第1稿と第2稿の間、1876年の作が収録されていました。そして③は従来のノヴァーク版である。朝比奈隆がノヴァーク版を使用したのは、大変珍しいことである。
③は朝比奈隆が残した数多く残したブルックナーの録音の中で最高傑作といっていいでしょう。ブルックナーを聴く醍醐味や緊張感を見事に満喫させてくれます。第1楽章ヴァイオリンのさざ波に乗ってトランペットでの第1主題から始まって第4楽章のコーダまで朝比奈隆の気迫あふれる演奏と雄大さに圧倒されるのみである。また大阪フィルが完璧にブルックナーの響きを自分たちのものにしているのには驚かされる。
なお①と②もいい演奏ですが③が素晴らし過ぎて陰が薄くなってしまいました。
さて参考CDの④ですが大変古い録音ですが第1楽章と第2楽章での当時のウィーンフィルの音色の美しさ、いじらしさ、やるせなさ。あの音色は現在失われてしまった!なお④の使用楽譜はノヴァークの原典版ではなく、シャルク兄弟と初演指揮者ハンス・リヒターの書き込みが印刷されたものといわれている。この作品の楽譜の複雑さに、ますます頭が痛くなってきます。

黒澤明監督、没後10年

2008年05月09日 01時14分47秒 | 映画
今年は映画監督黒澤明の没後10年と言う事でNHKBS2で特集が組まれ毎晩録画ですが黒澤作品を見ています。この数日は初期の作品の「姿三四郎」「一番美しく」が放送され見終わって胸が一杯になりました。「姿三四郎」での最後の決闘シーンでの雲の描写の物凄さ。「一番美しく」では演出のみずみずしさ!黒澤作品で女性を主人公にした作品は「一番美しく」のみ。黒澤監督は女性を描かせても一級の監督である事を実証しています。

私自身、黒澤明監督作品は「デルス・ウザーラ」以降は全てリアルタイムで初公開のロードショウで映画館で見ました。黒澤監督の新作映画を見る前の胸の高まり、作品への期待感は忘れがたいものがあります。新作を見る前にこんなワクワク感を持たしてくれる日本の映画監督はいなくなりました。
「七人の侍」「天国と地獄」「白痴」などはリバイバル上演。「羅生門」「生きる」などは名画座で。その他の作品は全てレンタルビデオで見ていますが、今回の放送で再度じっくりと全作品を見直してみるつもりです。

没後10年の特別番組で今は亡き映画評論家の淀川長治氏のインタビュー(淀川氏の死の2ヶ月前の収録)が放送されました。その中で「七人の侍」の面白さにふれ、普通アクションシーンを誰もが挙げますが淀川氏は、この作品の一番素晴らしいのは男優さんの表情であることを述べられていました。この作品の放送があるときは、じっくりと見てみたいと思っています。

最後に私が好きな黒澤明監督作品のベストスリー。
①「赤ひげ」
②「用心棒」
③「夢」

N響アワー「ペレアスとメリザンドの世界」

2008年05月04日 23時40分13秒 | NHK交響楽団
NHK教育放送の「N響アワー」で久しぶりにシェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」を聴く。。ペレアスとメリザンドの愛の世界もシェーンベルクにかかると物凄い世界になる。しかし私自身はシェーンベルクの作品では「清められた夜」の方がやはり好きである。今回、N響の映像を見ていて音楽と直接関係ないが、オヤ?と思ったことがあった。フルートのソロを綺麗な女性奏者が吹いているではないか。ネットでN響のメンバー表を確認してみるとフルート奏者の欄には女性の名前は無かった。彼女はいったい誰だ!?
シェーンベルクのペレアスでは私の秘蔵(大げさな!)のCDでベームがウイーンフィルを指揮した1969年のライブ録音があります。ベームとシェーンベルク、何かアンマッチのようですが、ベームはシェーンベルクと同時代のベルクと親交があり歌劇「ヴォツェック」のスペシャリストだっただけに、なかなかの演奏を聴かせてくれます。

「ペレアスとメリザンド」はフォーレの素晴らしい組曲がありますし、シベリウスにも組曲がありますが、何といっても「ペレアスとメリザンド」といえば、やはりドビュッシーのオペラを一番に思い浮かべます。このオペラの全曲盤には今年生誕100年を迎えたカラヤンの素晴らしい全曲盤があります。フォン・シュターデの魅力的なメリザンド、そしてカラヤンの指揮するベルリンフィルの絶妙な音色。カラヤンの多くの録音は何か、お仕事と言う感じが私にはしますが、この録音はカラヤンがどうしても録音したかった!ベルリンフィルと演奏したかった!という演奏家魂を感じます。生誕100年記念でいろいろとCDが発売されているようですが、この歌劇「ペレアスとメリザンド」の全曲盤が登場しないのは私としては残念です。

今回は酒に酔っていて番組からかなり脱線してしまい失礼しました。