オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

喜歌劇「こうもり」

2016年12月22日 22時20分22秒 | 私の名曲アルバム
今年もあと僅か。楽しく年忘れ。こういう時は、やはりオペレッタ!オペレッタの王様は、やっぱりヨハン・シュトラウス2世の喜歌劇「こうもり」!
私の手元には3種類のDVDがあります。ベーム盤、C・クライバー盤、グシュルバウアー盤の3種類。
その中で私の一番のお気に入りはグシュルバウアー盤。198012月31日ウィーン国立歌劇場での公演の映像。
胸元がちょっと気になりますが可愛いロザリンデのルチア・ポップを初め、ベルント・ヴァイクル、ワルター・ペリー、エーリッヒ・クンツ、ブリギッデ・ファスベンダーなど当時の最高のオペラ歌手の面々。そして何と言っても若さはじけるグル様(エディタ・グルベローヴァ様のこと)の魅力あふれるアレーデ!世界の一流のオペラ歌手たちによる極上の楽しい舞台を見ていると仕事のことなど忘れてしまいます。
さてCDではC・クライバー盤が名盤の誉れが高いですが、その他でも楽しさ一杯!ボスコフスキー盤(EMI)でのフィッシャー=ディースカウの歌う贅沢なファルケ博士やオスカー・ダノン盤(RCA)でのアンネリーゼ・ローテンベルガーが第2幕で歌うワルツ「春の声」の見事さなど聴きどころいろいろ。
まさに、お楽しみはこれからだ!






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チャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」

2016年11月01日 14時26分38秒 | 私の名曲アルバム
先週聴いた兵庫芸術文化センター管弦楽団の定期演奏会。
アレクサンドル・クニャーゼフのチェロ独奏のチャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」の演奏を聴いて、この作品の魅力に強く惹かれてしまった。
ロシアのロマン、抒情性、懐かしさなどが一杯に詰まっているような気持ち。
演奏会では、アンコールでフィナーレが演奏されたのも嬉しかった。
私が持っているこの作品のCD は1枚のみ。
ロストロポーヴィチのチェロ、小澤征爾指揮のボストン交響楽団による1985年の録音(エラート盤)。
今も、スピーカーから流れている。
しばらく演奏会の余韻が残りそうです.




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チャスラフスカ、そして連作交響詩「わが祖国」

2016年09月09日 12時31分39秒 | 私の名曲アルバム
9月5日、NHK・BS1で先月30日に亡くなった往年の金メダリスト・チェコのベラ・チャスラフスカのドキュメンタリー番組「チャフラフスカ もう一つの肖像~知られざる激動の人生」の再放送がありました。
1964年の東京オリンピックと1968年のメキシコオリンピックの女子体操の個人総合での金メダリスト。
メキシコオリンピックの年、1968年のチェコスロバキアの民主化運動(「プラハの春」)の支持を表明して「二千語宣言」に署名。しかし彼女は「二千語宣言」への署名撤回を拒否。オリンピックの金メダリストですが「二千語宣言」への署名撤回を拒否し続けたため、迫害を受け、たいへん苦しい立場、苦しい時代が続きました。
昨年の撮影当時、チャスラフスカは73歳。その容貌から、私がテレビで見たメキシコオリンピックの時の面影は残念ながら見ることは出来なかった。
アップで映る顔のしわの一つ一つは「二千語宣言」への署名撤回を拒否し続けたため、そのための圧力や迫害との戦いと苦悩、そして病魔との戦いの苦闘の跡といえるでしょう。
しかし、そのしわだらけの顔からの眼差しは昔と同じで、私自身、何か安堵するものがありました。
さて、この番組でバックによく流れていたのがスメタナ作曲の交響詩「モルダウ」でした。
チェコの人々にとって「モルダウ」は特別な作品。
交響詩「モルダウ」はスメタナぼ連作交響詩「我が祖国」の第2曲。
6曲というのは順に

第1曲「高い城」 
第2曲「モルダウ」 
第3曲「シャールカ」 
第4曲「ボヘミアの森と草原より」 
第5曲「ターボル」 
第6曲「ブラニーク」

全曲に貫かれているのは作曲者の祖国への、そしてボヘミアの美しい自然への愛情でしょう。民族の共感あふれた作品。
「モルダウ」は全6曲の中で一番有名で、よく演奏される作品ですが、私は第1曲「高い城」と第4曲「ボヘミアの森と草原より」も好きです。
私は始めて全6曲を通して聴いた時、第1曲の「高い城」の冒頭のハープの独奏を聴いて、何か別の世界に連れていかれるような気持ちになった記憶があります。
そして第4曲の「ボヘミアの森と草原より」は正にボヘミアの自然讃歌そのもと言っていいでしょう。
そんな作品だけに、私は必ずしもお国ものというものにこだわる方ではないですが、どうしてもチェコフィルによる演奏になってしまいます。
ただ今回、紹介する録音はチェコフィルの演奏ではなく日本のオーケストラの演奏。
1968年9月12日、東京でのマタチッチ指揮NHK交響楽団による演奏会のライブ録音。
この演奏会の直前、8月20日、ソ連率いるワルシャワ条約機構軍が「プラハの春」の民主化運動を押さえるため、チェコ国境を突破し侵攻して軍事介入したチェコ事件が起き、チェコフィルとの関係が深かったマタチッチは、この事件への抗議と怒りの意志を伝えるため、そしてチェコの芸術に対する愛情を表すため当初のプログラムを変更して「わが祖国」を演奏したと伝えられています。
N響の演奏も現在と比べて上手ではありませんがマタチッチの指揮に乗せられて熱い演奏を聴かせてくれます。
激動の1968年。その時の、まさに時代の証言と言うべき演奏の記録として伝えられていくべき録音でしょう。




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武満徹「系図 ―若い人たちのための音楽詩」

2016年06月14日 16時27分53秒 | 私の名曲アルバム
この12日の日曜は私の誕生日だった。
とうとう節目の年齢まで、あと1年となってしまった。
いよいよカウントダウンが始まった!残り少なくなってきた砂時計の砂が、いっそう慌ただしく落ちだしたような気分である。
仕事面では、余計な事を考えず、前を、しっかりと見据えて、とにかく来年の6月12日まで全力で頑張りたい。
さて毎週日曜夜の私の細やかな楽しみであるNHK・Eテレ「クラッシック音楽館」でのNHK交響楽団の定期演奏会の放送。
12日は私が待ちに待った作品が放送された。
聴きたくて聴きたくてしかたがなかった作品。
今年没後20年の武満徹作曲の「系図 ―若い人たちのための音楽詩」である。
私自身、年齢を重ねていっての誕生日に、こういう作品を聴くと普通の気持ちになれない、本当に心に強く響くものがあります。
どうしても今は忘却の彼方になってしまった私の幼い日が、蘇ってきて、どうにもならなかった。
また私自身、この作品のテーマにある父、祖父、祖母はすでに他界してしまって、この世にいない。
それだけに、いろいろな感情が込み上げてきて、実際、聴いていて涙が流れてきて困った。
この作品は谷川俊太郎の詩集「はだか」から武満徹が6篇の詩を選んで作曲した作品。

第1曲 むかしむかし
第2曲 おじいちゃん
第3曲 おばあちゃん
第4曲 おとうさん
第5曲 おかあさん
第6曲 とおく

少女の語り手とオーケストラのための作品である。
作曲家自身、語り手は、12歳から15歳の少女が望ましいと語っている。
今回の語りは女優の山口まゆさん。2000年生まれの現在15歳。作品のイメージにピッタリでした。
マイクを使っての語りなので、実際に会場では、どう聴こえたのかよく分かりませんが、テレビでの放送では何も気になるところはなく、少女らしい自然で素晴らしい語りでした。
第1曲の「むかしむかし」で語りが始まると、その美しい日本語に、すっかり、この作品の世界に引き込まれてしまった。
また一言一言変わっていく山口まゆさんの表情も素晴らしかった。これはテレビではないと分からないでしょう。
この作品は1995年ニューヨーク・フィルハーモニックの創立150周年を記念して委嘱されレナード・スラットキン指揮ニューヨーク・フィルハーモニックによって世界初演された。
そして今回の指揮は、その世界初演の指揮者レナード・スラットキンである。初演の時の語りは英語だったとのことですが、今回、作曲者の没後20年、そして日本のオーケストラと日本語による語りでの演奏は指揮者自身、深く心の思うものがあったに違いありません。
私が初めて、この作品を聴いたのは調べてみると1997年のシャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団による演奏の放送でした。
それまで、よく聴いていた武満徹の作品にないノルスタジックで、どこか心の中に懐かしさを感じ驚いたものでした。
この時の放送はビデオテープで録画していたのですが、数年前、DVDの普及でビデオテープを大量に処分した時、一緒に処分してしまい、あとで「しまった!」と思った時は後の祭りでした。
CDで購入したかったのですが、後手になってしまいCDを手にすることが出来ない状態で今に至ってしまった。
小澤征爾指揮サイトウキネンオーケストラの演奏のCDは手に入るのですが、残念ながら語りが英語。
せっかくの谷川俊太郎の詩。日本人なら日本語で聴きたいものである。
今回も、しっかりと録画。そして、2度と手放すまい。
武満徹はオペラを書きたいと思っていたらしい。
言葉を大切にした素晴らしい作品になっていたでしょう。
返す返す、その早い死が残念です。




1997年のNHK交響楽団の演奏の動画を見つけました。指揮はシャルル・デュトワ、語りは女優の遠野凪子さん。あの時も語り手は白いワンピース姿。
何か郷愁にかられる気持ちになります。




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ブルックナーの交響曲第8番

2016年03月15日 14時43分16秒 | 私の名曲アルバム
毎週日曜日夜の私の細やかな楽しみはNHK・Eテレで放送される「クラシック音楽館」です。
3月13日の放送は、いつものNHK交響楽団ではなく珍しく読売日本交響楽団の演奏会。
スタスニラフ・スクロヴァチェフスキ指揮でブルックナーの交響曲第8番。
スクロヴァチェフスキは何と92歳。指揮台には椅子などなく立っての指揮。
年齢のためか背中がかなり丸くなっていましたが、かくしゃくとした指揮振りと生まれてくる演奏からは高齢など感じさせないものがありました。
今回のブルックナーの演奏は「剛健」な演奏と言っていいでしょう。ただ、聴いていて朝比奈隆の「豪放」な演奏が懐かしくなる部分もありましたが、この交響曲の魅力は十分に伝わってきた演奏だと思います。

さてブルックナーの交響曲第8番。やはりブルックナーの最高傑作。
もし古今東西の数多くの交響曲の中で1曲だけ選びなさいと言われたら私は躊躇することなくブルックナーの交響曲第8番を選ぶでしょう。
第1楽章冒頭、第1主題が盛り上がってフォルテシモで達した時、私は居てもたってもいられない気持ちになります。何か大きな創造物を仰ぎ見るような感じです。
豪快で魂の乱舞と言える第2楽章のスケルツォ。
そして8番の核心といえる第3楽章のアダージョ。チェロが奏でる第2主題の美しさ。そしてブルックナーを聴く至福の時の頂点といえるコーダの素晴らしさ。この世に、これだけ美しい音楽があるのかと思うくらいである。
最後の壮大な第4楽章。まさに宇宙が鳴り響いているような感じ。聴いていて胸がワクワクします。

今日は久し振りにカール・シューリヒト指揮ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団の録音(1963年録音、EMI盤)を聴く。
速めのテンポですが、やはり最高のブルックナーが鳴り響く。
特に第3楽章の美しさは何と言っていいのでしょう!
シューリヒトのこの録音はブルックナーの交響曲第8番を語るには絶対に外せない録音と言っても過言ではありません。

さてブルックナーの第8番にはクナッパーツブッシュ、ヨッフム、ヴァント、マタチッチ、ケンぺそしてシューリヒトなど定評のある録音がたくさんありますが私が一番好きな録音は朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団による1976年8月神戸文化ホールでの公開録音のジャンジャン盤です。
シューリヒト盤を聴いたあと、続いて朝比奈隆の1976年録音のジャンジャン盤を聴く。
晩年の朝比奈隆の人気は長年の朝比奈ファンの私も驚く凄いものがありましたが、私が好きなのは、まだ一部のファンの知る人ぞ知る存在だった頃の録音。
2001年の大阪フィルとの最後の録音(オクタヴィアレコード盤)に比べてオーケストラの技術は落ちますが、馴れのない、オーケストラの「今から最高のブルックナーの演奏を創造するのだ!」という熱い思いが伝わってくる演奏は、後年の録音から強く感じさせないものがあります。
その熱さがブルックナーの本質から逸脱していないのが凄いと思います。
ブルックナーの交響曲の魅力を知って、もう約40年近く。昨年はルドルフ・ケンぺ指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の録音のCDも手に入りご機嫌だった。これから、ますますブルックナーの世界へ深く入って行くのでしょうなあ。





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マーラーの交響曲第3番

2016年02月16日 08時13分48秒 | 私の名曲アルバム
毎週日曜夜の私の細やかな楽しみはNHK・Eテレで放送される「クラシック音楽館」です。
2月14日(日)の放送は昨年12月のNHK交響楽団の定期演奏会からシャルル・デュトワ指揮によるマーラーの交響曲第3番。
素晴らしかった!本当に素晴らしかった!
NHK交響楽団はデュトワ指揮の時は、やはり、いつもと違う。
演奏時間約1時間40分に及ぶ長大な交響曲。
第1楽章からして約35分の長さ。そしてアルト独唱や女性及び児童合唱を経て、息の深い最後の第6楽章。そして大編成のオーケストラ。
これだけの作品。技術だけでは及ぶことの出来ない、この長大な作品を包みこむことの出来る指揮者の大きな人間力が不可欠な作品でしょう。
それだけにシャルル・デュトワは本当に素晴らしい指揮者です。私たちは、こんな素晴らしい指揮者が毎年、定期的に日本のオーケストラの指揮台に立つことを誇りに思わなければいけません。
またオーケストラの各パートのソロも多く、力量のある首席奏者がいなければ、この作品を聴く楽しみは半減でしょう。
それだけにNHK交響楽団の演奏は本当に見事であり、各パートの掛け合いを映像で見ることが出来るのも、今回の放送の魅力の一つでしょう。
第1楽章の冒頭。豪快な8本のホルンによる演奏。それを映像で目の当りで見ることできる醍醐味。また第1楽章ではトロンボーンのソロが素晴らしかった。
そしてこの楽章の最後は何かジッとしていられない盛り上がり。
この日のコンサートマスターは昨年、着任したばかりの伊藤亮太郎氏。今後も末永くN響を引っ張って欲しい。
また第3楽章では舞台裏から聴こえてくるポストホルンの響き!神秘的で、そして清々しさを感じさせる響き!いつまでも聴いていたい響きだった。
ポストホルンを吹いていたのはN響の首席トランペット奏者の菊本和昭氏。演奏後、デュトワと抱き合っていたのが、たいへん印象に残りました。
そして、やはり最後の第6楽章。
「感動」という言葉を安易に使いたくはないのですが、今回の第6楽章の演奏は正に感動的でした。
特に最後のコーダ、この長大な交響曲を締めくくるエンディングの凄さ。N響の響きは凄かった。2台のティンパニの連打を見事に捉えている映像。
この放送を見ることの出来た幸運や喜び、そしてデュトワとNHK交響楽団への感謝の気持ちで一杯です。
私自身、この交響曲の中で一番好きなのは、やはり、この第6楽章。
何か、今までひたすら人生を走ってきて、しかし、ふと立ち止まって、今までのことや出会ったひとのことを回顧して感慨ふけるという趣きを私は聴くたびに感じます。
これも私が年齢を重ねてきて節目の年齢が間近になってきて感じやすくなってきたためでしょうか?

さてマーラーの交響曲。
私は若い頃は熱心に、よく聴いていましたが、最近はあまり聴かなくなりました。
しかし、その頃は第3番は、どちらかというと避けていました。あまりにも長大でつかみどころがなく、よく理解できなかった、若かったというのが理由でしょう。
そしてマーラーの交響曲をあまり聴かなくなった今、なぜか第3番だけは、よく聴きます。
マーラーの旋律を長く聴いていたい。そして、その果ての人生を回顧するような第6楽章。
これも長年?クラシック音楽を聴いてきた変遷でしょうか?
マーラーの交響曲のCDは、やはりバーンスタインの録音が本命ですが、特に大好きな第3番の最後の第6楽章だけを聴きたい時は、必ず朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団の録音(1995年大阪シンフォニーホールでのライブ録音、CANYO CLASSICS盤)を聴きます。
格調の高さと、やはり朝比奈隆の持つ人間としての大きさ、包容力が彼の得意としたブルックナーの演奏以上に出ている演奏で、私の愛聴盤となっています。
また、この第6楽章といえば、数年前、フジテレビ系列で放送された松本清張原作の「駅路」でも効果的に使われ、印象深いドラマでした。
さてさてデュトワの指揮するマーラーの交響曲。もっと聴いてみたい。
第4番や第7番、そして第9番。ぜひ!






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ストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」

2016年02月02日 13時59分37秒 | 私の名曲アルバム
今まで当ブログではグラシック音楽のカテゴリーは「音楽」「今日聴いたCD」「オペラ」の3つでしたが新たに「私の名曲アルバム」を加えました。
いろいろな作品への思い、思い出などは、こちらのカテゴリーに加えます。
おそらく、かなり気分しだいの行き当たりばったりとなると予想されますが、いろいろな曲目が登場して、長く続くと私の名曲手帳になると思います。
第1回はストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」でスタートしますが、先週の「ブラームスのヴァイオリン協奏曲への思い」も、こちらのカテゴリーに変更しました。
当ブログが続く限り続けたいと思います。


全米フィギュアスケート選手権が終わって欧州選手権を挟んで日も経ってきているというのに、毎晩必ず見ているのが、全米選手権でのグレーシー・ゴールドのフリーでの「火の鳥」の演技である。
このストラヴィンスキーのバレエ音楽はフィギュアスケートのプログラムでよく登場する、すっかりお馴染みの曲となりました。過去では安藤美姫さんや中野友加里さんのプログラムでも、強い印象に残しましたが、今回の全米選手権でのゴールドの演技は最高でした、正に火の鳥が氷上に舞っているようで、目も耳も釘付けになりました。
さて2009年、中野友加里さんが、この年のシーズンのプログラムを「火の鳥」と発表した時、当ブログで、この作品を紹介しました。
この時のコメントを紹介します。何か手抜きのようで申し訳ございません。これ以上のコメントは出来ないと思うので・・・。

(2009年5月9日、再録)
「火の鳥」は「春の祭典」「ぺトルーシュカ」と並ぶストラヴィンスキーの三大バレエの一つであり一番最初の作品である。
世界のバレエ界を席捲していたロシア・バレエ団の主催者ディアギレフの依頼により1909年冬から翌年の春にかけてかなり短い時間に作曲される。1910年の6月25日、パリのオペラ座でディアギレフ・ロシア・バレエ団によって初演され、無名だったストラヴィンスキーの名前が一躍有名となった作品である。当時ストラヴィンスキーは28歳の若さであった。
「火の鳥」はロシアに古くから伝わるおとぎ話から題材を得た作品である。

狩に出た若い王子イワンは夜になって魔王カスチェイの庭園に迷い込む。そこで黄金のリンゴの実る樹の周りをはばたく火の鳥を見つけ捕らえる。しかし捕らえた火の鳥の願いにより放すことになる。そして、その恩返しに1本の羽をもらったが、その羽には魔力を除く力を持っていた。
そこへ魔法をかけられた13人の王女たちが現れ、王子はその中で一番美しいツァレーヴナに恋をする。しかし王女たちは魔王カスチェイの捕らわれの身であり、捕まった男たちは石にされるという事を知らされる。
彼女たちと魔王の宮殿にはいると、魔王の手下に捕らえられ魔法により石にされそうになるが、王子は火の鳥からもらった羽を振ると魔法がかからないばかりか、再び火の鳥が現れる。そして火の鳥は王子に手箱に隠された卵による魔王カスチェイの不死の秘密を教える。
王子はこの手箱を探し出し卵を見つけ、この卵を地面にたたきつける。すると魔法は消え、捕らわれていた王女たちは自由の身に、石にされていた男たちも元に戻る。
そして王子は美しい王女ツァレーヴナに求婚し、大団円のフィナーレとなる。

ストラヴィンスキーはこのバレエ音楽を三度、演奏会用に組曲に編曲している。一般によく演奏されたり録音されるのは組曲形式である。(1911年版、1919年版、1945年版)現在、よく演奏されるのは1919年版である。
私が初めて「火の鳥」を聴いたのは高校生の時、テレビの放送による組曲による演奏で、残念ながら、あまり魅力を感じなかった。その後、1972録音の小澤征爾指揮パリ管弦楽団の全曲録音のレコードを聴いて本当に驚いた。全く違う作品のように聴こえたからである。
全曲は演奏時間が約45分であるが組曲は約20分である。そしてオリジナルの全曲版は管奏が舞台上が34人の4管の大編成のオケによる演奏であるが、よく演奏される1919年版の組曲は管奏は少なくなり18人の2管編成のオケによる演奏である。
全曲版はオケの編成が大きいのはけっして大きな音を出すだけではなく個々の楽器から出る色彩感を多彩に出すためだと思います。はじめて小澤さんの全曲録音を聴いて組曲と別物のように聴こえたのは、この点かもしれません。
組曲を指揮する指揮者は多数いますが全曲を指揮する指揮者となるとかなり限られてくるようです。オリジナルの全曲で録音しているのはブーレーズ、小澤征爾、デュトワ、アンセルメ、そしてコリン・デイヴィスといった顔ぶれでスペシャリストの顔が見えてきます。


今、私の「火の鳥」全曲盤の愛聴盤は1910年オリジナル版によるコリン・デイビス指揮ロイヤル・コンセルト・ヘボウ管弦楽団による録音です。(国内盤 PHILIPS UCCP-3202) 1978年11月アムステルダムにて録音。
PHILIPSは現在DECCAに吸収されてしまいましたが、私の持っているCDのロゴは当然ながらPHILIPSと表示されています。(ここが大切)
名門ロイヤル・コンセルト・ヘボウ管弦楽団の底力のある響きは正に極上で、他にも、いろいろと録音はありますが、やっぱり私は、このデイビス盤が一番好きです。
また当時のPHILIPSのアナログ録音の素晴らしさ!
同じストラヴィンスキーのバレエ音楽の「春の祭典」も、このコンビで最高の録音があり、この時期のロイヤル・コンセルト・ヘボウ管弦楽団は最高だったのではと思ったりします。

さてさてフィギュアスケートのグレーシー・ゴールドの「火の鳥」のプログラム。
音源を当然ながら組曲からではなく全曲版からである。
曲目は演奏順ではなく、ランダムに曲目が並んでいて、ゴールドの演技の要素に合わせて並べられていると言えるでしょう。
演技順に次の曲目が登場しています。

①火の鳥の嘆願
②カスチェンたち一党の凶悪な踊り
③火の鳥の踊り
④王女たちのロンド
⑤カスチェン城と魔法の消滅~石にされていた騎士たちの復活、大団円(終曲)

今年の3月の世界選手権はゴールドの自国アメリカ(ボストン)での開催。
この前の全米選手権同様、大いに会場を沸かせて欲しいものです。




2016年、全米選手権より


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ブラームスのヴァイオリン協奏曲への思い。

2016年01月29日 10時45分57秒 | 私の名曲アルバム
フィギュアスケートシーズン、真っ盛り。
どうしても当ブログも、話題はフィギュアスケートが多くなっていますが、クラシック音楽の方も休みの日にはコツコツと聴いています。
さて久し振りに新譜の新録音のCDが届く。
女流ヴァイオリニストのジャニーヌ・ヤンセン独奏によるブラームスのヴァイオリン協奏曲の新録音。
アントニオ・パッパーノ指揮ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団との共演。2015年8月録音のデッカ盤。
私はブラームスのヴァイオリン協奏曲が大好きです。
この曲の魅力に引き込まれた最初の録音はアンネ‐ゾフィー・ムターの独奏、ヘルベルト・ヴォン・カラヤン指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団による1979年録音のドイツ・グラモフォン盤。
まだレコードの時代。今はすっかり大家になってしまったムターも当時16歳。
第1楽章序奏の分厚いく豊かなカラヤン指揮ベルリンフィルの響きから始まって、ムターの16歳と思えない鋭さと情熱のこもった気迫のある演奏に、すっかり私の愛聴盤になり、一時、しょっちゅう聴いていました。
その為か、今まで、この作品は何故か女流演奏家の演奏を好むという変わった?方向に走ってしまいました。
男性演奏家の演奏のようにガッチリした演奏というよりも、情熱がほとばしり、この作品に真正面から、ぶつかっているような女性演奏家による演奏の魅力をムターの1976年の録音から教えてもらったからと言えるでしょう。
さて時代はレコードからCDの時代へ。
ムター盤もCDで再発売されると、すぐに購入しましたが、CDを聴いてガックリ。
アレアレ?あのレコードから流れてきた豊かな響きが聴こえてこない。特にオーケストラの響きが薄くなっていた。
この時、CDでの再生が必ずしもレコードを上回ると限らないということを身に染みてしまいました。
これ以降、女流演奏家のCDをいろいろ入手して聴きましたが、残念ながら1976年録音のムター盤を忘れさせる録音にまだ出会っていない。
しいて言えばリサ・バティアシュヴィリ独奏クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンによる2012年録音のドイツ・グラモフォン盤がムター盤に続いているかな?というのが私の本音。
チョン・キョンファに期待していたのですが、ラトル指揮ウィーンフィルとの録音(EMI盤)は大コケ。1996年のケルンでのライブ録音は素晴らしい演奏ですが海賊盤なので別格でしょう。
そして今回のジャニーヌ・ヤンセンの新録音。
たいへんな期待だった。しかし、う~ん、だった。
よくまとまっているのですが、ヤンセンだったら、もっと出来るのでは?という気持ちが強い。
期待がデカかったかな?
ただ、おそらく音楽評論家は大絶賛でしょうなあ。
やはり若い時に一生懸命に聴いた演奏や録音のイメージを払拭させるということは、本当に難しく大変なことなのでしょう。
他人様から見ると、何故、そんなにこだわるの?と思われてもしかたありませんが・・・。
さて、そのヤンセン。
2月のNHK交響楽団の定期演奏会に登場してブラームスのヴァイオリン協奏曲を演奏します。指揮はパーヴォ・ヤルヴィ。
バティアシュヴィリも以前NHK交響楽団の定期演奏会に登場して、ブラームスを演奏していますが、私はCDよりもN響とのライブの方が好きだな。指揮はシャルル・デュトワだった。
今も録画したDVDを、よく見ています。
2月の定期演奏会のテレビでの放送は4月頃かと思いますが、とにかくライブに期待しましょう。






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