今年はドイツの作曲家、リヒャルト・シュトラウス生誕150年の記念の年である。
多くのクラッシック音楽ファンにとってシュトラウスは「英雄の生涯」や「ツァラトゥストラはかく語りき」といったオーケストラ音楽の作曲家のイメージが強いかもしれません。しかし私にとってのシュトラウスはオペラ、そして歌曲の人である。
シュトラウスのオペラの中で私の好きな作品に楽劇「エレクトラ」があります。
そして、このところ続けざまに「エレクトラ」の全曲CDを2組、手にしました。
①楽劇「エレクトラ」
エヴェリン・ヘルリツィウス(エレクトラ)ヴァルトラウト・マイアー(クリテムネストラ)アンネ・シュヴァネヴィルムス(クリソテミス)ルネ・パーペ(オレスト)フランク・ファン・アーケン(エギスト)
クリスティアーン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン、ドレスデン国立歌劇場合唱団(2014年1月28日ベルリン、フィルハーモニーでのライブ録音、ドイツグラモフォン盤)
②楽劇「エレクトラ」
ビルギット・ニルソン( エレクトラ)レオニー・リザネク(クリソテミス)レジーナ・レズニック( クリテムネストラ)ヴォルフガング・ヴィントガッセン(エギスト)エーベルハルト・ヴェヒター(オレスト)
カール・ベーム指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団、合唱団(1965年12月16日ウィーン国立歌劇場でのライブ録音、ORFEO盤)
2組ともライブ録音ですがティーレマン盤は演奏会形式、ベーム盤はヴィーラント・ワーグナーの演出による実際のオペラの舞台での録音と条件が違います。またベーム盤は残念ながらモノラル録音。
さて、このオペラ大編成によるオーケストラ、そして、そこから生まれる巨大な響きに負けない声量と力量のある歌手が必要。
それから言うと2組とも見事な顔ぶれで、たいへん聴き応えがあった録音でしたが、ティーレマン盤は巧いのだが鬼気迫ると言うか、何か迫ってくるものが気薄に感じてしまった。落ち着いて聴くことが出来ました。
このオペラがドレスデンで初演されたのが1909年。初演から100年経ち、今では、すっかりオペラ劇場の定番となり、またオーケストラの技術も高くなり、難曲らしく聴こえなくなってきたためでしょうか?
逆にモノラル録音ですがベーム盤からは、何か冷静になれない熱いものが伝わってきます。指揮者のベーム自身、シュトラウスと親交があった方だけに、作品に対する思い入れが感じられ、最新録音のティーレマン盤との差は、ここからきているのでしょう。しかし、これも時代の流れ、世代も変わっていき、いたしかたないのかもしれません。
そう、今回、2組の「エレクトラ」の録音を聴いて、時代の流れというものを強く感じてしまいまいた。
ところでベーム盤はエレクトラはビルギット・ニルソン、クリソテミスにレオニー・リザネクと当時の世界最高の組み合わせで、このオペラを聴くことが出来るのは、この2人の組み合わせによるスタジオ録音がないだけに本当に嬉しい。
さてさてベームにはシュターツカペレ・ドレスデンとの1960年のスタジオ録音、そしてウィーンフィルとの1981年制作の映像があり、私は両方とも所持していますが、両方とも「エレクトラ」を語るには欠かせません。
シュトラウスのオペラでベームの録音があると、現在でも私は、どうしてもベームに行き着いてしまいます。
なお下の写真はいつもお世話になっているシフ様が、この夏、ドレスデンへ行かれた時に撮影された「エレクトラ」が初演されたゼンパーオーパー(ドレスデン国立歌劇場)の写真です。素晴らしい写真なので、たいへん申し訳なかったのですが、シフ様のブログよりお借りしました。申し訳ございません。
私自身、ぜひドレスデンを訪ねてみたいものです。
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