オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

今日、聴いたCD 3月7日

2013年03月07日 12時28分59秒 | 今日、聴いたCD
ベートーヴェン 歌劇「フィデリオ」(全曲) ハンス・クナパーツブッシュ指揮バイエルン国立歌劇場管弦楽団、合唱団(1961年録音 ドイツグラモフォン盤)

ベートーヴェンの数多い作品の中で最高傑作は?と聞かれたら、私は、やはり「ミサ・ソレムニス」や交響曲第3番「英雄」、そして弦楽四重奏曲やピアノ・ソナタの作品の数々を挙げてしまいますが、一番好きな作品は?と聞かれたら、迷うことなく交響曲第6番「田園」と歌劇「フィデリオ」を挙げます。
今回、以前から聴いてみたいと思っていたクナパーツブッシュ指揮の全曲録音のCDが届きました。これで歌劇「フィデリオ」の全曲盤はDVDを含めると、私にとって11組目の全曲盤になります。ちょっと異常かな?その中でカール・ベームが指揮した録音が5組。う~ん。
このオペラのどこに魅力を感じているのかと問われたら、正直、答えがありません。
ただ序曲の冒頭を聴いただけで血が騒ぐものがありますし、やはりベートーヴェンが試行錯誤を重ねた唯一のオペラであり、合唱の聴き所もあるのが要因かもしれません。
そして、やはり第2幕の第2場。

フェルナンド「(ロッコに)お前がこの人(フロレスタン)の墓を掘ったならば、今や彼の鎖を解いてやれ。いや待て。(レオノーレに)彼を自由にするのは、ただあなた、高貴なる女性よ、あなただけにふさわしいことなのだ」
レオノーレ 「ああ神様、何といううれしい時!」
フロテスタン「何という幸せ!」
フェルナンド「ああ、神よ、汝のさばきに正義あれ!」
すべての人々「ああ神よ!何という時!こよなき幸せ!神よ汝のさばきは正しい。神はためし、神は我々を見捨てない!」

私は、ここの場面が大好きで、この場面の音楽を聴きたくて、あれこれ全曲盤を購入しては聴き比べをしては、一人自己満足しているのでしょう。

さて、今回のクナパーツブッシュ指揮の全曲盤。面白かった。
以前までウエストミンスター・レーベルで発売されていたもので、今回はドイツグラモフォンからの発売。
レオノーレはセーナ・ユリナッチ、フロレスタンはジャン・ピアース、ドン・ピツァロはグスタフ・ナイトリンガーが歌っている。
クナの指揮による演奏は予想通り、ゆっくりとしたテンポで、これがオペラの最後まで貫かれている。
だから第2幕第1場のレオノーレ、フロレスタン、ドン・ピツァロによる緊迫した場面でも、このテンポが守られているのだから、劇的効果ということから考えると正直不満ですが、これも聴く前から予想したこと。クナでないと出来ない演奏と思うと、クナの前で、ただひれ伏すのみ。ベームやワルターの熱気あふれるライブ録音とは別世界の演奏。正にクナの世界である。
そのかわり、このあと演奏される「レオノーレ序曲 第3番」はスケールの大きい演奏で、それまでのモヤモヤを吹っ飛ばしてくれます。
この全曲録音は歌劇「フィデリオ」を聴くというより、やはりクナパーツブッシュの演奏を聴く録音と言えます。
クナパーツブッシュの指揮する歌劇「フィデリオ」を最後まで聴き通して面白いと思えるのも、いろいろな全曲盤を聴いてきた賜物かもしれませんな。