オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

「マエストロの肖像ウォルフガング・サヴァリッシュ」

2013年03月05日 12時47分10秒 | 名演奏家の思い出

昨晩遅く、NHK・BSで、去る2月22日に亡くなったNHK交響楽団・桂冠名誉指揮者のウォルフガング・サヴァリッシュの追悼番組として、ドキュメンタリー「マエストロの肖像ウォルフガング・サヴァリッシュ~音楽に愛された男」が放送され、深夜遅くまで見ました。
NHK制作の番組ですがN響との関係は一切触れず、生い立ち、学生時代、そしてドイツの歌劇場やアメリカのフィラデルフィア管弦楽団との活動の足跡をたどった番組でした。
2003年に放送された番組の再放送とのことですが、私は見た記憶がありません。
印象に残ったのは番組の最後、撮影当時にグラッサウの自宅で心境を語った言葉。

「(指揮者は)自分の感性を音に託して表現し、それを聴く他の人々に影響を与え、感動を与え、陽気にさせたり悲しみに誘ったりできるのです。
 芸術の一部門として人々の感情を動かし、楽しませたり悲しませたりできる全ての職業の中で最も美しいものの一つなのです」

音楽をやめたら何をしますか?の問いに
「何だって?
 音楽をやめることはありえません。音楽をやめたら私はもう生きていません。
 生きている限り、そして健康が許す限り、音楽に身を捧げていきます」

そして、このインタビューの前に、シューベルトの即興曲・作品142から第2番を淡々と自宅のピアノで弾いているサヴァリッシュの姿が、たいへん心に残りました。
都会の喧騒と全く無縁のミュンヘン郊外グラッサウの素晴らしい自然に囲まれた自宅で、そして地位や名誉などとは別世界の中で、既に亡くなっている夫人の写真の傍らでピアノを弾き、そして音楽を熱く語るサヴァリッシュ。
この、数年、病気や体力の衰えのため指揮台に立つことはありませんでしたが、おそらく、死の直前まで、淡々とピアノを弾いていたのであろうか?そう思うと、何か目頭が熱くなってきました。

私とサヴァリッシュとの初めての出会いは高校1年の時。NHK交響楽団の演奏会でのブラームスの交響曲第1番のテレビ放送。確か、この時、初めてブラームスの交響曲を聴いた時のはず。第1楽章の冒頭で衝撃を受け、第2楽章の美しい旋律、そしてスケールが大きく、雄大な第4楽章。
あれから、たいへんな年月が経ってしまった。

今日、朝起きて、手にしたCDはシューベルトの即興曲集。
演奏は内田光子。1996年録音のPHILPS盤。
シューベルトの音楽からウィーンのロマンをはぎ取って、人間の寂しさや暗さが詰まっていると言える演奏か。
昔、カール・ベームが亡くなって葬儀の時、シューベルトの室内楽が演奏されたと言う話を思い出しました。
ベームの言葉。
「私が死んだら、きっとモーツァルトを私のために演奏してくれるだろう。しかし私としては、シューベルトも忘れて欲しくないね」
今後、私自身、シューベルトの音楽の向き合うことが多くなりそうである。