OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

計画停電の際の賃金について

2011-03-16 18:27:03 | 労務管理

15日の時点でアップした計画停電による休業の際の賃金についての以下のブログですが、厚生労働省労働基局監督課長名で通知(平成23年3月15日基監発0315第1号)が出ております。正確な通達の内容は人研ニュースに記載があります。
http://www2.odn.ne.jp/ourszkn/CCP.html


15日の確認内容と16日の通知は内容としては同様ですが、根拠とした通達が異なっているものでした。「昭和26年10月11日付基発696号」としています。また総合的判断の表現が細かいものですので併せて載せておきます。以下内容です。

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計画停電に伴い会社を休んだ日の賃金(休業手当)の支払いについてですがご質問等が多く有り、通達等根拠を準備した上で、厚生労働省に問い合わせましたところ考え方が整理されたとのこと説明を受けました。

労働基準法第26条の休業手当は、
使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合に、平均賃金の100分の60以上の手当の支払いを義務付けています。
(もちろん休んだ部分について100%賃金を支払う場合は何も問題はありません)

今回の地震による計画停電の際の会社の対応としては以下のケースがあると思いますが、その場合に「使用者の責めに帰すべき事由」の休業かどうかが休業手当支給の判断の基準となります。

1 計画停電の場合の休業について
①計画停電の時間帯の休業→(原則)使用者責にあらず→(原則)休業手当不要
②計画停電の時間帯以外に休業を命じた→(原則)使用者責→(原則)休業手当の支給必要
③計画停電を含め1日全体を休業とする場合
 →代替手段等手を尽くした上での休業であるかなど総合的に判断する(ケースごとに監督署に相談)
(16日の通知で、「他の手段の可能性、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、計画停電の時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められるときには、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて原則として法第26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しないこと」としています。)

   ・・・この部分については計画停電の時間数及び業務量等を勘案して、
   計画停電により仕事にならないような状態なのか、
   それともあまり影響が大きくないのかにより判断されるようです。
   今のところあくまで(原則)がついております。

2 計画停電の場合の交通機関混乱による休業について
①計画停電があるので出勤を控えるよう会社が命じた場合→使用者責→休業手当の支給必要
②計画停電等の交通機関の混乱により労働者が自主的に出勤を控えた又は出勤できなかった場合→使用者責にあらず→休業手当不要

少し古いですが、昭和23年に関連する通達が出ており、こちらが今回も考え方の根拠になっているようです。

【休電日の休業手当】昭和23.3.17基発461号
「電力事情の逼迫による休電日の休業は、事業主の責めに帰すべき事由と認むべきではないが、この場合支給する休業手当は平均賃金の計算に算入することとなり・・・・・・・・・」
と有ります。

「使用者の責めに帰すべき事由」労働基準法コンメンタールより
「使用者の責めに帰すべき事由」とは、
「不可抗力によるものは含まれない」とされています。
従って今回の地震に起因する交通の混乱による原材料等輸送が不可能になったことでの工場等の閉鎖については、
不可抗力ということで「使用者責」には該当しないと考えます。

今後通達等が出る可能性も有り、その際は通達等をご確認いただければと思います。
(「平成23年3月15日基監発0315第1号」が16日に出ましたので確認の上、上記内容に加筆してあります)